17話 vs密猟者&僕の秘密
「うるせぇクソガキ!」
密猟者が魔法弾を僕に向かって撃ってくる。
僕は身をかがめて何とかかわす。僕には幸運補正があるので弾が致命傷になる確率は非常に低い。ただケルベロスはそうではないようで、主人である僕が撃たれたと察知するや否や一気に噛みつきに行く。
「待て!君じゃ勝てないから!」
僕は何とかテイマー能力で動かそうとするも、それが動く前にケルベロスに弾が向かう。僕はケルベロスに飛び込んで上からかばった。背中に背負ったマントが軽く破れ、仕込んであった魔法が発動する。
「クソ…致命傷にならなかったか。マントにこれほどの防御魔法が仕込んであるとはコイツの身内によほど優秀な魔導技師がいるらしいな…」
魔導技師とは魔法使いと科学者を融合した職で、道具に魔法を仕込みいつでも発動できるようにする仕組みである。僕の仲間の一人がそれに精通しており僕の周囲に防衛機構を作ってもらっているのだ。しかもこのマントは防御魔法だけではなく別の機能も併せ持つらしい。
アーロンはギルドの床に寝転がり、競馬場から敗走してきたルドルフに湿布を貼ってもらっていた。
「あのなお前鍛えすぎなんだよ!大鬼族のてめぇはもうムキムキを超えたムキムキの怪力ゴリラなんだから鍛えなくてもいいだろ!」
「うるせぇ!魔法頼りで女子からモテモテのもやし魔導士君には分からんだろうがな。俺様の立ち位置は肉体が資本なんだよ!」
「ならなおさら筋肉痛で倒れちゃダメだろ。娘さんにいいとこ見せたいのか知らないけどほどほどにしやがれ」
「フン…待て。今寒気がしなかったか?お前の貼った湿布のせいじゃあないよな」
「あぁ俺も今感じたよ。これはマスターが加害されたことを示すアラートだね…」
ばたんと扉が開いてルナも出てきた。
「エレーナちゃん。マスターは今どこにいますの?」
「今はマリア様やサラ様と一緒にフィン様の商会の護衛に向かっています」
「は?レンが護衛に?!あの人は護衛するよりされる方だろう」
「お三方が丁度いなかったからマスターが代理で行ったんですけどね」
エレーナは頼りない男たちを見下ろす。
「他のメンバーもいるでしょう。と思っていましたが皆出払ってるんですわね…」
「全くマリア姐さんとサラがいるとはいえレンは大丈夫なんだろうな?」
「マスターは幸運が強いからきっと誰かが助けに入っていると思われるが…」
そう僕がダメージを受けるとそれがメンバーに自動的に通知されるようになっているらしい。とはいえ大半のメンバーが帝都にいる以上今すぐ助けに行くのは厳しいのだが。
森の中
「ハッ…レンが攻撃されている!サラ。場所は感知できるか?」
「うん今レンちゃんの向かった方向はあそこだから…今あの子の匂いで追えるよ!」
「よし!今から助けに行くぞ」
そうしてマリア、サラ、シルファはレンのいる方向に走って行った。
「あの…ワイは?」
フィンは一人置いてけぼりにされた。