16話 アルラウネとの出会いと密猟者
「と言うわけでレン!この雑草を焼き払ってしまおう!」
マリアが高々と宣言すると、サラも同調する。
「この手のを処理するのにはルドルフが適任なんだけど…いないなぁ…」
そんなことを言っているのでアルラウネはビビっている。
「何で私を焼き払う前提なのよ!」
「しかしまぁ…この森の生物も少ないなぁ。前はもっといた気がするで」
「あぁ確かにこのアルラウネとマタナイタケ以外を見ないな…」
するとアルラウネがこう言ってきた。
「だってその坊やの覇気が強すぎるんだもの!」
覇気?
僕は腰に入れたスタータスブックを眺める。すると
『魔物覇気。一定以下の強さの敵対意志を持つ魔物は持ち主を避けるようになる』
あぁこれか。僕がいつの間にか魔物を威圧しちゃってたんだ…
「でもあのケルベロスはレンに向かっていたぞ?」
「あれは多分魔石で異常に強化されてて判断力を失ってたんだと思う。同じ定規で測れるものではないよ」
僕はそうマリアに説明してみる。まぁこの森の生物はそれでも少ない気がするけど。
「でも私は植物で動けない生き物だから覇気に照らされても動けないのよ!離れてちょうだい!」
アルラウネはそう震える。
「じゃあゴウエンタケの場所は分かるのか?」
「まぁ分かるには分かるわよ。今向こうにある巨木の下に何本か生えてるわ」
僕はケルベロスの鼻を使って探しに行く。
「ワンワン!」
走って行くので僕はその背中に乗って走って行った。そのスピードは速く全てを置き去りにする。
「よし行け!」
僕が走っていると急にダメージが入った。
「キャンッ!」
「ケルベロス?!」
僕はそこから飛び降りる。
「昏睡系の魔法攻撃?!何でここに…」
昏睡系の攻撃は植物型の魔物が持つこともあるが魔法弾なんて人為的なものがある訳ない。こんな物を打てるのは…人間?!
ぞろぞろと武装した人間が入ってくる。騎士の格好ではないな。
「外したか!クソが!」
「おめぇは下手だからなぁ~」
「ってコイツ珍種のケルベロスじゃねぇか?」
「おいマジか!って上にガキ乗ってんじゃねぇか」
闇ギルドの密猟者だ…この辺りの森は保護されている(出ないとあのアルラウネはとっくに荼毘に付してただろう)のに勝手に密猟する非公認の不届き物。そして僕の大事なペットを奪おうとする天敵…
ケルベロスが立ちあがって僕の前に立ち、吠えつける。
「ガルル!」
「何だこの犬。反抗的だな!」
「もう一発撃とうぜ」
「バカ生きて連れて帰るんだろ。それが依頼者の求めだからな」
そうして密猟者たちは僕とケルベロスに武器を向ける。
「させるか…」
僕は立ち上がって密猟者を睨みつけた。