15話 キノコ採集
僕らは街の中にいた。この街ドライアは帝都ほどの大きさと規模はないが隣国との国交の要衝として知られる都市である。
「今日は商品だけ採取してその後でこの街に一泊する予定や。中々来れる街やないしな。アンタらの分も部屋取らせておくで」
フィンはそう言って部下に宿屋に入らせておき、こちらに向きなおった。
「ほな取りに行くで」
「帝都商会のフィン様ですね。商品をお預かりしておりますよ」
女性店主は積まれた箱を一気に持ち上げるので怪力だなぁと僕は感心した。僕なんかじゃ二つが限界だろうなぁ。
「はいはいおおきに。そいで…ん?ゴウエンタケは無いんか?」
ゴウエンタケ…確か魔法薬の原料の一つじゃ無かったっけ?
「あれ~あったと思ったんですけどね…すみませんね」
「困るなぁ~。ん?あぁそう言えばレンたち連れてきてたんやったな。一緒に採取してくれるか?」
フィンは僕に言ったのですぐに頷いた。
僕たちは近くの森に来ていた。
「このあたりの森はキノコが名産なんですよね」
「よう知っとるな。そうやこの森は湿度が高くてなぁ…良いキノコの聖地や…ゴウエンタケも生えとる。まぁその他のキノコも大量に生えとるんやがな…」
フィンはそう考えた。
「キノコは必要数だけ取って帰るで。この森は魔物と共生してるらしくてな。過剰に採取すると生態系が崩壊して変な魔物が目覚めるっていう噂や」
「そうですね。皆やろう!」
僕、マリア、サラ、シルフィの四人は森を回ってキノコを集めていく。
「これは何だレン?」
「これはミズタケだねマリア。抜くとそこから水が湧き出てくる特殊なキノコだよ」
「レンちゃん。これは?」
「それはマタナイタケ。抜こうとすると逃げ出す植物と言うかモンスターの一種だよ。焼くと美味しいらしいけどね」
仲間たちが僕に質問してくるので僕は笑顔で答える。
「レンちゃんってめっちゃ物知りだよね!」
「まぁ本しか読んでないし…」
「じゃああの花は何さ」
僕らが歩いていると向こうに赤や黄色の綺麗な花が見えた。
「凄い綺麗だよね。少し持って帰っても」
サラが走って行くので「ダメ!!」と大声で止めた。
「え?」
すると「チッ…そう上手くはいかないか…」何故か花がしゃべりだし…
花冠の中からきれいな女性の上半身が這い出て来た。
アルラウネ…近づいたものを食べるという植物型の女性魔物…
「ホントはね…奥にいる少年を食べちゃうつもりだったんだけど」
食べる!?僕をあの消化酵素で消化する気だな!でもより怒っていたのはマリアとサラの方だった。
「レンを食べる…そんなことが許されると思っているのか!?彼はまだ10代だぞ!」
うんうんもっと言ってやれ!
「そうだよね~レンちゃんの初めてはウチが貰うし!」
初めて?僕はサラに食べられるのかな?
「サラ!貴様私に黙って抜け駆けする気か!」
「アタシの方が若いし!マリアっておばさんでしょ?」
「わ、私は純潔の騎士だ!」
女性人二人が何故か揉めている。奥からフィンが来て…
「レン…変な女に囲まれてアンタも大変やなぁ…」
と呟いたのだった。