13話 vsゴブリン盗賊団
僕たちは馬車に揺られる。
「それで…何で皆僕の隣に座るの…」
馬車の中で僕の両脇にマリアとサラがちょこんと座っていた。
「何でってマスターを守るためだが?」
「そうそうもし横から盗賊が弓矢飛ばして来たら危険でしょ?」
二人はそう微笑む。
「なぁ~レンよ。君その調子でホントに護衛できるんか?」
向かい合わせに座るフィンがそう聞いて来たので僕は答える。
「まぁ…戦闘以外なら」
「戦闘できないんじゃ意味ないやろ!それで己の身どうやって守るんねん!」
フィンにそう突っ込まれるとマリアが答える。
「無論私が二人とも守ります。そもそもレンはステータスSランクですよ?」
「そうそうレンちゃんは有数の天才なんだから!」
そう言ってマリアは帳簿を渡す。
「うわぁ…マジでSランク、しかも攻撃以外最高やんけ」
フィンはそう言って目を丸くしていた。
「しゃーけど…ここまでで攻撃手段ないってのも恰好悪いなぁ…うん」
「やはりそうですか…」
僕がそう言うとマリアがこう言った。
「まぁいつもレンを守るとはいえ、この護衛任務ではフィンを優先せざるを得ないな」
「いつもこちらを優先していただきたいなぁ…おっ?」
突然馬車が止まる。僕の魔力感知が敵襲を感じる。
「なんやなんや?」
「敵襲だ?!皆迎撃して!」
「「「了解!」」」
すぐにマリアとサラとシルフィが馬車から飛び降り、僕も窓から顔を出す。
攻めてきたのは山賊ゴブリンの群れだった。
「ナハハ!俺らはゴブリン一味!覚えておけ!」
「見たところ商隊か…財宝が埋まっているだろうな」
「皆殺しにしても良いがな、全て置いていけば見逃してやろう」
連中は緑の肌をしていて手に武器を持つ凶暴な種だ。背が小さいが連携行動を得意としており、小さいからと舐めてかかった者を集団でボコボコにするのが常套手段である。
「ゴブリン…醜悪な山賊などに身を堕とすなど…」
「あ~もう邪魔だから早くけそーよ」
そう言って二人は駆けていく。
決着は早かった。マリアは長身の割りに柔らかく体を動かし、ゴブリンをばったばったとなぎ倒す。サラも同じく手に持ったナイフを振り回して、ゴブリンの身体を切り裂いた。
「おのれ…メスの癖にぃ…」
隊長と思しきひときわ身体が大きなゴブリンが大棍棒をもってサラの後ろに迫るが…
「邪魔」
シルフィが陰から出てきて弓矢で貫き討ち取った。
「お、おのれぇ…こいつら強いぞ…」
大柄なゴブリンが倒れたところでマリアが直ぐに後手に縛ってしまう。その他のゴブリンも同じであり、盗賊団は一瞬で捕縛された。
「お~助かりましたわぁ~おおきに」
「お礼ならマリア達に言ってあげてください」
フィンに頭を下げられるので僕はそう答える。
「このまま近くの村の牢獄に入れましょう」
「うん。そうしてくれるとありがたいよ」
マリアに僕はそういった時、脳内に別の強大な魔力を感じた…これはマズい…
それに呼応したのか縛られたゴブリンが言う。
「ククク…お前ら見たところここを通ってどっかに商談にでも行くんだろうが…この地域を無傷で通れると思うなよ?」
僕の魔力感知は最高だ。そのせいで遠くにいる怪物のことも感じることができてしまう。そしてその怪物が今こちら側に向かってきている。
「皆来るよ…とんでもない怪物が…」