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酔っ払い

 そうして話していると、次々むさくるしい男たちが酒場に入ってきた。

 「ありゃ無理だ!」

 「モスキーパイソンまで居やがったぞ! ダイノウルフもだ、とても山には入れん」

 口々に愚痴を口にする男たち。

 山に向かったのだろう。

 あの山は無理だよ。そう思いながらビールをアルコール度数の高いお酒に変えちびちび飲んでいると、4人の男たちがからんできた。

 山からほうほうの体で逃げてきたためか、気が立っているみたいだ。

 「ようお嬢ちゃん、美人だな。いくつだ?」

 はて、そういえばいくつぐらいなんだろ?

 「いくつに見えます?」

 「そうだな二十歳ぐらいか」

 それぐらいに見えるのか。

 「じゃーそれで」

 「……まぁいいや、それよりおじさんたちと遊ばないか、いい思いさせてやるぜ」

 「連れがいるので遠慮してもらえますか」

 そういうと男たちが囲んでくる。

 マスターは中に逃げていった。

 「つれないこと言うなよ、金が必要なら払ってもいいぜ」

 「来なよ、天国見せてやるからよ」

 

 つまり私のことを娼婦か、何かだといいたいわけだ。

 上等、代わりに地獄でも見せてあげましょうかね。

 「表に出ませんか」

 「ほーこいつは剛毅だね、外でやるのが望みかい」

 それを無視して外に出る。

 酒場の入り口付近に棒きれが、立てかけてあったので、それをつかんで道の真ん中へ向かう。

 酒場の前の道は馬車の往来があるので比較的広めだ。

 朝早くなので、人通りはほとんどなく、好都合だった。

 道の真ん中まで来て男たちのほうへ振り替える。

 「私の名前はオリヴィア、私に勝てたら好きにしていいといえばどうする」

 満面の笑みでそういう彼女に、ついつい見惚れてしまう男たち。

 まさに天使の微笑みだった。

 男たちの反応に”?”となるオリヴィア。

 「あの……おじさんたち……どうしました」

 ふっと我に返る男たち。

 「あんたのような美人に傷をつけたくね、悪いことは言わないから……」

 「全員でかかってきていいよ、でないと」

 その瞬間雰囲気が変わった。

 「殺しちゃうかもよ」

 ここまで来てさすがに男たちも気が付いた。立ち上る強者の気配に。


 それでも矜持というものがある。多分勝てないだろうが。

 「お手柔らかに頼む」

 「はい」そう言ってにっこり微笑む。

 天使と悪魔を体現したような少女である。


 4人は腰の剣を抜きオリヴィアを取り囲もうと動くが、そうはさせないとばかりに先にオリヴィアが動く。

 左側の男に向かう、焦って剣を突き出してくる。

 「いい動きだね、基本ができている、でもね」

 単調な突きを軽やかにかわし、上段から首筋をひとなで、1回転して、下から棒きれを跳ね上げ次の男の剣を持つ手をひとなで、そのままの流れでその横の男の首の横すれすれに棒を突き入れ、そのまま横に振りぬき最後の男の首筋に当たる寸前で止める。

 男たちは茫然自失になったまま立ち尽くすのみであった。

 全て振りぬいていない、触れただけ、通過させただけなのに、そこが粟立つほどの恐怖を感じる。

 「うん、基本はできてる、でも実践向きじゃない単調すぎるよ。実践向きの稽古をすると絶対強くなれる、保証してあげる」

 男たちはなぜか直立不動になり「はい! ありがとうございました!」そう叫んでいた。

 それを見てオリヴィアは大いに笑った。

 「気に入った! 一緒に飲もう!」

 そういって男たちを再度酒場に誘うのであった。

 「是非おごらせてください」

 「えっまじで! うれしーありがとう!」

 「オリヴィア様、もし・仮に次あなた様に勝てたら……」

 「抱かれてもいいよ」

 「まじですか」

 「俺もう一度頑張る」

 などという話をしながら、酒場に向かう一行であった。


 「ああいうのは昔と変わらない」

 宿屋の窓から一部始終を見ていたアリソン。

 昔よく見た光景だ。

 でも今は女なんだからちょっとは自重しろよ。

 なんだよ抱かれてもいいかなって。

 英雄オルテガは色を好む。

 それこそ日替わりで付き合う相手が変わっていたこともあった。

 姉さんが意見してもそれだけはどうにもならなかった。

 女に生まれ変わってもそこだけは以前と同じだったら……そう思うと頭を抱えたくなる。

 考えても仕方がない。俺が兄上に意見などできるはずないのだから。

 あとで姉さんに報告しとこ。

 姉に丸投げするという結論に達し、これ以上考えるのをやめた。

 

 「姐さんって呼ぶな! 海賊の親分みたいで嫌なの! 私はオリヴィア呼び捨てでお願いしまーす」

 そう宣言してから始まった飲み会。

 

 時間はすでに昼過ぎ、いったい何時間飲み続けているのか。完全に出来上がってしまっている。

 「でも残念ですねオリヴィア」

 「なんで」

 「それだけの腕前があれば、絶対武闘大会で上位を目指せるでしょうに」

 「なんで」

 「えっ?」

 「なんで私は出られないの、武闘大会!」

 「英雄様を探す大会ですからね……女の人は……」

 「なぜ男で転生すると決めつけてんのよ」

 「は?」

 「なんで誰も女に転生してくると思わないのかと聞いているんです~! 例えば! 例えばの話だから! 私がオルテガだったら、どーすんのよっ~て話! なにが男だけの大会よ、みんな視野が狭いー、ねえねえ私も出たい――――」

 そう言って隣の男の袖を掴み甘えるように言うオリヴィア。

 その場のだれもが酔っぱらいのたわごとだとは思っていなかった。

 先ほどの戦い方を見ればなおのことである。

 「そもそもあの刀、私のだけど、わたししか抜けないんですけど、返せー。私の”桜花七輪正宗”返せー! 私のなんだから、なんで勝手してるんんん……んー?」

 

 そう言ってそのまま眠ってしまう。後の残された4人の男たちと酒場のマスターは茫然として動けなくなってしまった。


 「どうか!」

 その時横合いから大きな声が聞こえてくる。

 「どうか今の話、他言無用でお願いします!」

 一人の青年が横合いから飛び出してきて土下座でお願いしてくる。

 何がどうしてこうなったのか……。

 兄上……ほんとお願いします。勘弁して。


 例え、男として転生したとしても、名乗り出るつもりなど毛頭なかったのである。

 なにせ、もし本当に転生してきたら、国ごと譲り渡すという国まであるのだ。

 それも法律でそう定めている国すらある。

 冗談じゃない。今更国なんかもらっても邪魔になるだけ。

 前世でもそれでどれだけ後手に回ったか。

 なので転生しても秘密にしようということで話はついていたのだが。


 「そういう話でしたよね」

 頭に怒りのマークを7個ほど付けたエアリスが凄む。

 床に正座させられたオリヴィアがうつむいてしょんぼりしている。

 「こっちを向け!」

 「はい!」

 そうして顔を上げるオリヴィア。

 目が泳いでいる。

 「そういう話でしたよね!」

 「はい」

 「言い出したのは誰でしたか」

 「私です」

 「なのに言っちゃったんですか」

 「言っちゃったみたいです。えへへへへ……」

 ばん!

 机を叩く大きな音が響き渡る。

 ビクッとなり再び俯くオリヴィア。

 実は前世においてエアリスが兄に対してこのように意見することは殆どなかった。

 言っても「俺に任せておけ」

 この一言で全て済んでしまっていたのである。

 なのにこの兄様は……。

 なんでこんなにも頼りないの。

 反応の仕方がいちいち可愛くて逆に神経を逆なでする。

 これは、上の兄や下の兄が相手だったら絶対手玉に取られる。

 そう確信した。

 私がしっかり躾なければ。

 猛獣使いの心境である。

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