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ウィルとアーサーとクリスマスの次の日

作者: ハルユキ
掲載日:2022/12/24

 クリスマスの次(つぎ)の日(ひ)の朝(あさ)、ウィルはもみの木(き)の下(した)でくまのぬいぐるみを見(み)つけました。


 ウィルはぬいぐるみの頭(あたま)にうすく積(つ)もった雪(ゆき)をはらい、自分(じぶん)の赤(あか)い毛糸(けいと)のぼうしをかぶせました。


「あったかい。ありがとう」

「どういたしまして。ぼくはウィル。きみは?」

「ボクはアーサー。ともだちをさがしてるんだ」

「まいご?」

「ううん。これから見(み)つけるところ」


「……よかったら手伝(てつだ)うよ」



 ◇



 ウィルは、森(もり)で一番(いちばん)力持(ちからも)ちのくまのところにアーサーを案内(あんない)しました。



「ぴったりだと思(おも)うんだ」



 くまは喜(よろこ)んで一緒(いっしょ)に遊(あそ)びました。



「遊(あそ)んだだけでこわれちゃうのはちょっと」


 アーサーはウィルのところに帰(かえ)ってきました。


 ウィルはアーサーの破(やぶ)れた背中(せなか)をちくちく縫(ぬ)って直(なお)しながら肩(かた)をなでます。


「きみって本当(ほんとう)にいい手触(てざわ)りだね」



 ◇



 ウィルは、森(もり)で一番(いちばん)おしゃべりなリスのところにアーサーを案内(あんない)しました。



「ぴったりだと思(おも)うんだ」



 リスは喜(よろこ)んで一緒(いっしょ)に遊(あそ)びました。



「静(しず)かでつまらないわ」



 ウィルはアーサーと背中(せなか)合(あ)わせで本(ほん)を読(よ)みながらつぶやきました。


「きみがいると落(お)ち着(つ)くね」



 ◇



 ウィルは、森(もり)で一番(いちばん)遠(とお)くへ飛(と)べるタカのところにアーサを案内(あんない)しました。



「ぴったりだと思(おも)うんだ」



 タカは喜(よろこ)んで一緒(いっしょ)に遊(あそ)びました。



 空(そら)から落(お)ちてくるアーサーをウィルが受(う)け止(と)めます。


「背中(せなか)に乗(の)せてもすぐに落(お)ちてしまうんだ」



 ウィルはアーサーを抱(だ)きしめて言(い)いました。


「このふかふかが好(す)きだよ」



 ◇



 ウィルは、森(もり)で一番(いちばん)元気(げんき)な犬(いぬ)のところにアーサを案内(あんない)しました。



「ぴったりだと思(おも)うんだ」



 犬(いぬ)は喜(よろこ)んで一緒(いっしょ)に遊(あそ)びました。



「すぐに汚(よご)れちゃうもの」



 犬(いぬ)は申(もう)し訳(わけ)なさそうにアーサーを口(くち)から放(はな)しました。



 ウィルはアーサーとお風呂(ふろ)に入(はい)って歌(うた)います。


「洗(あら)ったらほら、こんなにいいにおい♪」



 ◇



「つかれちゃったね。今日(きょう)はもう寝(ね)て、また明日(あした)探(さが)そうか」



 ウィルとアーサーはベッドに横(よこ)になり天窓(てんまど)から星空(ほしぞら)を見上(みあ)げました。



「きっといいともだちが見(み)つかるよ」


「あのね、ボク、キミに伝(つた)えたいことがあるんだけど」


「なに?」



 ウィルはアーサーの方(ほう)を向(む)きました。

 アーサーもウィルの方(ほう)を向(む)きました。



「ボクと、ともだちになってくれない?」


「へ?」



「ボクはウィルとともだちになりたい」



「でも…………」


 長(なが)い沈黙(ちんもく)のあと、ウィルが震(ふる)える声(こえ)で言(い)いました。


「あのね、きみにはいいところがたくさんあるけど、ぼくにはなんにもないんだ。なんにも」


 アーサーは思(おも)わずウィルの手(て)を握(にぎ)りました。


「ぼくは人(ひと)が苦手(にがて)だし、目(め)を合(あ)わせるのも怖(こわ)いんだ。人(ひと)が集(あつ)まるところも苦手(にがて)。ちくちくしたものもトゲトゲしたものも苦手(にがて)」



「ボクはウィルがいい。気(き)づいてないの? ウィルは、お裁縫(さいほう)ができるし、本(ほん)が好(す)きだし、あったかくて綺麗(きれい)好(ず)きだよ。それになにより、とってもやさしい。ボクもウィルにやさしくしたい。ボクたちいいともだちになれないかな?」


 アーサーはウィルの涙(なみだ)をぬぐいました。


「ほんとうはね、ぼくとともだちになるのはどうかなって思(おも)ってたんだ。断(ことわ)られたらって思(おも)ったら怖(こわ)くて言(い)い出(だ)せなかった。きみは勇気(ゆうき)があるね。きみに勇気(ゆうき)をもらったよ。アーサー、ぼくとともだちになって」


「嬉(うれ)しい! もちろんだよ! ボクたち相性(あいしょう)ぴったりのいいコンビになるね」


 ふたりはぎゅっと抱(だ)き合(あ)いました。


 あったかくて、やさしくて、いい心地(ここち)です。


 シャンシャンと、どこか遠(とお)くでふたりの友情(ゆうじょう)を祝福(しゅくふく)するみたいに鈴(すず)の音(ね)が響(ひび)きました。


お読みいただきありがとうございます。

冬の童話祭大好きです。

寒さがほっと和らぐあたたかさを。

あなたさまにとって心地よい日になりますように。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とっても優しくて素敵なお話でした(*´∇`*) 読ませていただきありがとうございます♪
2023/02/01 18:44 退会済み
管理
[良い点] アーサー君のために、一生懸命友達を探してくれるウィル君。 紹介しては、うまくいかないアーサー君を励ますウィル君は優しくて、もう自分が友達になっちゃえばいいのに、と思って読み進めたら、ウィル…
[良い点] アーサーの良いところをウィルが教えてくれるところは、涙ぐみました。ええ話や(´;ω;`) ウィルのお友達を探しているようで、本当はアーサーがお友達が欲しかったのかな。 とってもいい出会い…
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