愛ゆえに
それを見て、ポニテは全てを諦めたようにして、天井を見上げて静かに目を閉じた。
「独裁者スキル発動!」
俺は叫ぶ。
ポニテを守る為に!
「ニャル! 俺は俺の職業スキル! 独裁者を発動させる! 投票の結果なんて知った事かよ! 黒シャツを処刑しろ!」
「はぁっ!? てめぇ何を言って」
『ほいほーい♪』
ポニテではなく、黒シャツの足下の床が開く。
黒シャツが奈落の底へと落下する。
その様子を、俺は無機質に見送った……
『残念ながら黒シャツさんは人狼ではありませんでした。でもゲームクリアおめでとうございまーす♪ では皆様はフィフスステージへどうぞ♪』
ニャルが手を叩いて喜ぶ中、ポニテが震えた瞳で俺をみつめる。
「そんな……メガネさん……わたしの為に」
人としての何かを、一つ失った俺は、何の摩擦もなく言葉を流した。
「何を言っているんだポニテ……誰かが死なないといけないんだ。なら、俺は黒シャツよりもポニテに生きて欲しいんだ」
メラメラは俺を睨む。
「メガネ! あんた、まさか人狼を守る為に!」
「そうだ」
「そうだって……あんた」
「俺はポニテが大事だから、ポニテを守る為に職業の力を使った、それだけだ。それともメラメラ、お前は大切な人を守る力があるのに、それをつまらない正義感や道徳心であえて使わず見殺しにするのか?」
「それは、でもっ」
「メラメラちゃん」
ぽわぽわが、メラメラに真摯な眼差しを向ける。
「メガネくんは、ポニテちゃんの事が好きなんだよ」
「あ…………」
途端にメラメラは表情を変えて、逆に申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんメガネ……あんたは、間違っていないよ……あたしも、あんたと同じ立場なら、きっとそうしたと思う」
続けて、ぽわぽわが柔和な笑みでポニテに語りかける。
「ポニテちゃん。メガネくんを責めないであげて……メガネくんは、ただポニテちゃんの事が大好きなだけなんだから」
ポニテはためらいがちに俺を見てから、またうつむいて、苦悩しているようだった。
「お前らは、俺を許してくれるのか?」
ぽわぽわは、俺にも温和な笑みを見せてくれた。
「何を言っているのメガネくん。あたしたちは、こんなゲームにまきこまれちゃったんだよ。メガネくんの言う通り、誰かが死なないといけない。だからみんな、自分の身を守る為に嘘をついて、議論を誘導して、でも、メガネくんは自分の為じゃなくて、他人の為に頑張ったんだもん。男の子が好きな女の子を守るためにしたことを、責める権利なんてあたしにはないよ、ね、メラメラちゃん」
同意を求められて、メラメラは、
「ま、まぁそうかもね。アタシは誓うわよ。今回の事で、別にあんたに不信感なんて持たない。次のステージが一緒でも、アタシはあんたと敵対する気はないわ」
そう言ってもらうと、少しだけ胸が軽くなる。
それでも、身内を守る為に意図的に他人を殺した、その事実は安く無い。
「それに、アタシ達の敵は」
メラメラは、ニャルを見上げた。
「あいつだしね」
ニャルの顔が邪悪に歪む。
『にひっ。では皆さん、約束通り、どうして皆さんをこのゲームに招いたのか。そしてどうしてわたしに感謝しなくてはいけないのか、お教えしましょう。全員一緒にね!』
刹那。
俺らの視界がブラックアウトした。
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メガネ
容姿:C
幸運:A
ひらめき:B
頭脳:C
精神力:C
演技:C
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ツインテ
容姿:A
幸運:A
ひらめき:A
頭脳:A
精神力:A
演技:A
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