フォースステージ五日目
ゲーム五日目。
やはり、俺の予想通りになった。
議論が始まると、メラメラが語る。
「犠牲者ゼロ。今回のステージじゃ、随分と人狼の調子が悪いみたいだけどもう無理よ。アタシには人狼の正体が解っているんだから!」
拳をぐっと握って、メラメラはポニテを指差した。
「一人だけ村人だって証明できていないポニテ! あんたが人狼よ!」
「そ、それは…………わたしは」
ポニテはうつむき、目を泳がせる。
「そうなのメラメラちゃん? でもポニテちゃん、緑シャツくんが処刑された時、涙を流していたよ? そんな子が」
「嘘泣きぐらいアタシ以外の女子は標準装備に違いないわ! みんなも異論はないでしょ!」
黒シャツも頷く。
「ああ、俺も異論は無いぞ」
覚悟を決めている俺は……一応説得しておく。
「待てよ、それは単純すぎる。ことが上手く運び過ぎているんじゃないか?」
「何だと?」
「黒シャツ。お前が村人だって証明はない。自称猟師じゃあな。普通に人狼が夜襲しただけなのを猟師だって言って、自分が村人である事を印象づけようとしたんじゃないのか?」
「バカ言うんじゃねぇよ。あのなあ、俺はこれでも自分が村人を殺した事を反省しているんだぞ? 第一オレが人狼なら、自分でプレイヤーキラーを告白して反感を買うようマネ、わざわざするかよ」
「だからこそだ。誰もが普通はそう思うから、あえてしたんだ」
黒シャツの額に、青筋が浮かんだ。
「てめぇ、なんか無理矢理オレを人狼にしようとしてねぇか? お前、なんでそんなにポニテをかばうんだよ?」
「それは俺がポニテの仲間だからだ! そして、俺は彼女が村人だって知っているんだ!」
俺は嘘をつく。
「じゃあポニテの職業言ってみろよ!」
「それは言えない! 何故ならポニテはそういう職業なんだ!」
「そういう職業だと?」
「たぶん、赤シャツもそうだったんだろうな。覚えているか? あいつ、自分が死んだら他の人もまきこむ呪われた者って職業だった。なのにその事をみんなに言わなかったら。それはポニテと同じで、自分の職業名や能力を他のプレイヤーに伝えたらペナルティで処刑っていう能力だったからだと思う。だからポニテは村人だ! 職業は言えないけど、ぽわぽわに村人だって証明してもらっている俺が証明する! ポニテは絶対に村人なんだ!」
でも黒シャツは止まらない。
「そんな言い訳聞くかよ! ニャル! もういい、さっさと投票を始めろ!」
黒シャツがそう言うと、俺はニャルに目くばせをした。
俺の視線に気づいたニャルは、俺の方を見てにやりと笑う。
それは、新しいおもちゃを見つけた、悪魔のような顔だった。
『いいですよぉ……じゃあ、投票タイムでーす♪』
円卓に投票ボタンが出現する。
投票の結果が、すぐに大画面に表示された。
ポニテ 二票
それを見て、ポニテは全てを諦めたようにして、天井を見上げて静かに目を閉じた。




