覚悟
その日の夜。
俺はポニテと、真剣に話し合うことにした。
俺の部屋で床に座って俺らは向き合う。
ポニテは緊張した面持ちで、スカートの裾をぎゅっと握りしめている。
「正直に言うよポニテ。今夜、人狼が夜襲に成功したら。このステージはクリア。だから、ポニテが今夜、誰かを襲えば、確実にポニテは助かる」
「っ……」
ポニテが悲しそうな顔を歪めてうつむいた。
それでも、俺は言わないといけない。
「それが駄目な場合は、明日の議論で、ポニテ以外の誰かに投票されるよう。議論を誘導することになる。でも、これはオススメできない。だって、もう疑わしいのはポニテだけなんだから」
「え……」
ポニテは顔を上げて、言葉を失った。
俺は歯を食いしばってから説明する。
「今残っているのは、俺と黒シャツ。ポニテとぽわぽわとメラメラ。この中で占い師を自称するぽわぽわが、俺とメラメラは村人だって言っているし、黒シャツは猟師を自称することで村人であることを証明している。村人だって証明できていないのはポニテ、お前だけなんだ……」
「たしかに……メガネさんの言うとおりです、よね」
ポニテが力無くうなだれる。
その様子が、まるで自分の死を受け入れているようにも見えて、俺は辛かった。
「やるとするなら、ぽわぽわが占い師に、黒シャツが猟師になりすましている人狼だって主張する事だけど、二人の話は筋が通っているし、現実味がある。何の証拠もないポニテ以上の疑惑をかけるのは難しい。それにだポニテ。確かに、自分が助かる為に夜襲する相手を自ら指名して、誰かを犠牲にして助かるのは良くないのかもしれない。でも、じゃあ議論はどうだ?」
俺は言葉に熱を込めて、ポニテに訴える。
「明日俺らは、少なくとも俺は、お前を助ける為に、容疑が他の奴に向かうよう言葉を労する。これは、夜襲をするのとどれだけ違う? やり方が違うだけで、結局は同じじゃないのか?」
「ッッッ……」
ポニテは答えず、下唇を噛んで、涙を流した。
そして……
ポニテは泣いてしまった。
子供のように、
涙をぼろぼろこぼしながら泣いた。
泣いて、ただ泣き続けて俺に抱きついた。
嗚咽混じりに俺の名を呼ぶその少女に、俺はもう何も言えなかった。
気付く。
俺は何を馬鹿な事を言っていたんだ。
ポニテが助かる為に……ポニテに人殺しを頼むなんて……
気付けば、俺の心から不安が抜けおちた。
ゆっくりと目を閉じて、俺はポニテを抱き締める。
「ごめんなポニテ。今のは俺がいじわるだったな……ポニテは誰も殺さなくていいよ。明日は、全部俺が何とかするから……」
そう言って、俺は決めた。
無傷で大事なものを全部守ろうなんて、都合が良すぎたんだ。




