フォースステージ二日目の犠牲者は?
二日目の会場は、驚きに包まれた。
『なんと初日の犠牲者はいないのでーす♪』
「マジかよ!?」
「すげぇ!」
「いきなり兵士活躍かいな!」
一〇人そろっての朝に、皆は驚く。
そして、
「では発表致します。実は私、緑シャツが大預言者なのです」
赤シャツ、青シャツ、黒シャツが、
「って、お前かよ!」
「緑シャツ君だったんだ」
「へぇ、初めてだな。っで、人狼は誰なんだよ?」
まずい。
俺はポニテを見る。
彼女が人狼だとバレたら終わりだ。
俺の独裁者スキルで守れるのは一回だけ。
明日の投票で確実にポニテが殺される。
俺は、緑シャツが大預言者であるという事を否定する方法を必死に考える。
緑シャツはキメ顔を作り、びしっと一人のプレイヤーを指差した。
「人狼は包帯さん、貴方です!」
頼む、時よ止まってくれ!
「……え? ええええええええええ!?」
包帯が素っ頓狂な声を上げて、イスから転げ落ちそうになる。
え?
なんで包帯?
でも、確かにどう見ても、緑シャツは包帯を指差している。
「ちょっと待ちなさい、私は人狼ではないわ。どうしてそんな嘘を、まさか、貴方が人狼なんじゃ」
そうだ、人狼はポニテだ。
まさかポニテが俺を嘘を言うはずもない。
ていう事は、緑シャツが嘘を?
でもなんで大預言者なんて嘘をつく必要があるんだ?
「じゃあこの場で、他に大預言者を自称する人はいますか? いるなら答えて下さい。そしてその人と私とでどちらが本物の大預言者かを争いましょう」
誰も何も言わない。
追い詰められて、包帯が叫ぶ。
「じ、実は私が大預言者なのよ。そして人狼は緑シャツよ!」
「そんな見え透いた嘘に誰が騙されますか。さぁニャルさん。今回はもうこれで終わりでいいですよ。投票へ移って下さい」
「待ってニャル! 私はまだ」
ニャルはアゴに手を当てながら唸る。
『う~ん、そうですねぇ~。皆さん、もう皆さんの気持ちは決まっていますか?』
「そうだな」
「うん」
「オレは決まってる」
「包帯にいれるわよ!」
「悪いなぁ包帯。でも、ウチも生き残りたいんや」
口々に肯定されて、包帯は青ざめた。
『では投票、スタートでーす♪』
「待って! 私は人狼じゃないの! 信じて!」
反論も空しく、みんなは円卓の投票ボタンを押していく。
俺は押さない。
それよりも気になる。
どうして緑シャツは包帯が人狼だなんて嘘を言ったんだ?
そうこうしている間に、投票が終わる。
『はいはい、それではみなさん、あちらの画面に注目してくださいな♪』
包帯が頭を抱える。
大画面には、
包帯 六票
一発の乾いた銃声が、包帯の額を撃ち抜いた。
みんな、これでゲームが終了したと思ったのだろう。
安堵の顔を浮かべている。
もしかして、今回は人狼が二人いるっていうルールなのか?
それなら事前にルール説明くらいはあると思うけど、ニャルの意地悪だろうか?




