フォースステージ初日議論
「よしっ、じゃあ議論を始めるぜ!」
赤シャツが最初に乗り出した。
「まずこの中の大預言者! 議論で人狼を処刑できる明日! そう明日だ、絶対に名乗り出ろよ! 俺はそいつを信じて投票すっからよ♪」
緑シャツが溜息をつく。
「貴方は、あいかわらず、まぁいいです」
メラメラが、
「なんか凄い職業の人で情報言える人いないの? 占い師とか、確実に村人が誰か教えといてよ」
「あ、あたし占い師だよぉ」
ぽわぽわが、眠そうな目で小さく手をあげた。
「えーとねメガネ君とメラメラちゃんは村人なんだよぉ」
「サンキューぽわぽわ。これであたしとぽわぽわ、それとそこのメガネ男子の三人はシロね!」
黒シャツがやれやれと首を振る。
「おいおい、ぽわぽわ女が人狼の可能性は考えないのかよ。まっ、明日大預言者が人狼を言ってくれればいいんだけどな」
なんだかみんな、随分と積極的だなぁ。
こんなにぽんぽん議論が進むのは初めてだ。
たぶんみんな学習しているんだろう。
議論で喋ると目立って人狼に目をつけられる。
でも議論を進めないと、犠牲者から人狼を判断することができない。
三回もゲームをやれば、そこまで気付いていてもおかしくはないだろう。
けれど俺がひたすら気になったのは、やっぱりポニテの様子だ。
ポニテは一言もしゃべらなくて、ずっと青ざめたままだ。
そのまま議論は終了。
ポケットには、また違う部屋のカギが入っている。
俺はホールに戻ると、ポニテに声をかける。
「とりあえず俺の部屋に行こうぜ」
「は、はい……」
言って、ポニテは俺の手を握って来た。
妙に積極的な行動に、俺は心臓がドキッとしてしまった。
「ねぇねぇメラメラちゃん、あの二人って付き合っているのかな?」
「でしょうね、ラブラブじゃん」
ホールにいたぽわぽわとメラメラが、俺達のことをはやしたてる。
いつものポニテならここで、
『はうぅ』
とか言って恥ずかしがるのに。
ポニテは何も言わず顔を伏せて俺と一緒に歩き続けた。
◆
俺に割り当てられた部屋に行くと、俺はすぐにカギを閉めた。
なんだか、そうしないと行けない気がした。
俺はポニテと向き合って、硬い口を開く。
「なぁポニテ。実は俺の職業のことなんだけどさ……」
「メガネさん……」
俺が言い切る前に、ポニテの目から涙がこぼれる。
「ど、どうしたんだよポニテ」
ポニテは俺に抱きついて、両腕に力をこめてきた。
ポニテのやわらかくて豊かな胸が押し潰れて気持ちいいけど、今はそんな事を考える余裕が無い。
涙ながらに俺を見上げるポニテは、絶望と悲しみが混じり合った声で告げる。
「わたし……人狼なんです」
…………………………………………え?
俺は、床が崩れ落ちる感覚に襲われた。
嘘だろ?
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職業名 預言者
能力
毎晩プレイヤーを一人指定する。次の日の朝、その人が人狼かどうかが解る。
運用
人狼か村人かどうかは解るが、職業までは解らない。そのため探偵よりも分析能力は劣るが、一ゲームに一回しか使えない探偵と違い、毎日使えるのが利点。
毎晩怪しいと思う人を選択して、人狼に当たるのを待とう。
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