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大逆転

「ミュール……」


 俺はその場に正座して、両手を円卓について、完全無欠の土下座を決めた。


「助けて下さい!」

「…………」


 ミュールは答えない。

 でも続けた。


「今俺らを助けられるのはお前だけだ。だから頼む。お前を疑ったのは謝る。すいませんでした。許して下さい!」

「おいてめぇ何やって」

「必死ねメガネ」


 ミュールが俺に言葉をかける。


「そんなにチームを守りたい?」

「守りたい!」


 即答した。


「顔を上げて」


 顔を上げると、ミュールと視線が合う。

 俺とミュールはしばらく視線を交え合って、そしてミュールは大きく息を吐いた。


「糸目、狐目、命令を解除するわ。好きな人に投票しなさい」

「ミュールてめぇ!」


「私は好きな人にって言っただけよ、誰もアナタに投票しろなんて言ってないわ。アナタに人望があって、茶髪が恐怖でアナタの言う事を聞けば問題ないでしょう? もっとも、アナタときたらへたくそなくせに毎晩がっついて、いつも糸目や狐目と順番でモメていたわね」


「そ、そんなの今は大した問題じゃ」


 コンタクトは、仲間の糸目と狐目に目くばせするが、二人は返事をしない。

 楽しそうに笑うニャルが立ち上がる。


『はいはーい。それでは、そろそろ投票タイムですよみなさーん♪』

「お、おい待てニャル! 俺はまだ」


 円卓に投票ボタンが出現した。

 俺は躊躇いなく、コンタクトを押した。


「や、やめろお前らぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 コンタクトは発狂したようにして叫び、自分の席のボタンを押してから、茶髪に飛びかかろうとして、体が浮いた。


『駄目ですよコンタクトさん。ルール違反は』


 ニャルがコンタクトに手を向けている。

 どうやらニャルの念動力らしい。


『ほら、見て下さいよ。投票が、め、ん』

「~~~~~~」


 コンタクト 六票


「嗚呼アアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼‼」


『うるさいですよ♪ ほいっと♪』


 浮いたコンタクトの体が、そのまま出口へと吸い込まれる。

 奥から響くマシンガンの銃声。

 そして、


『おめでとうございまーす♪ 村人は見事人狼を退治致しました。これで村は平和になるでしょう♪ みなさん、よくぞ頑張りました♪ 特にメガネさん、貴方は間違いなく今回のMVPですよ♪』


 シャンタ達からも、惜しみない拍手が送られる。

 そんな中、ツインテも、


「凄かったわメガネ君。まさか、貴方に助けられるなんてね」

「ほわわ、本当に凄かったですメガネさん。本物の探偵さんみたいです」


 ポニテが興奮して立ち上がり、シャギーも目を輝かせる。


「何よあんたやるじゃん♪ 見直したわよメガネ♪」


 そして最後に茶髪が。


「メガネ、すごい、すごいよメガネ。ありがとう!」


 嬉しそうに笑って、生き残った喜びを表してくれる。


「みんな、ありがとう。でも……ミュール」


 俺は、今回の本当のMVPに向き直る。


「ありがとうなミュール。六票目のって、もしかして」

「勘違いしないで」


 ミュールは艶然と笑いながら、余裕を含んだ声で告げる。


「私はただ、あのへたくそな男にこれ以上抱かれたくなかっただけよ。逆にメガネ、アナタの筆おろしがしたくなったわ……次のステージでは、覚悟しなさい」


 ミュールの妖艶な笑みに、俺はドキリとさせられた。


「とにかくこれで俺らは五人チーム。フォースステージもクリア確実だな」


 ツインテ達は力強く頷いた。


『はいはい、それでは皆さん、次のステージへご招待ですよ♪』


 ニャルは嬉しそうに笑って、裁判長席から立ち上がって、指を構えた。

 ニャルが指を鳴らすと、俺らの視界が回る。

 一瞬で意識を失って、そして……


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