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!?

 だから俺は、泣きじゃくる茶髪に語りかけた。


「なぁ茶髪、俺らの仲間にならないか?」

「え?」


 茶髪が、可愛い顔を上げる。

「俺とツインテとポニテとシャギーは仲間なんだ。だからお前も入っちゃえよ。そうすればフォースステージだって大丈夫だ。五人の職業の力と情報を共有し合えば人狼なんてすぐに見つかる。それで五人でそいつに投票すれば、ゲームはすぐに終わる。俺達五人で、ラストステージまで生き残ろう。なっ」


 茶髪の目から、涙の流れが止まった。

「メガネ……うん、あたし」

「騙されちゃダメよ茶髪!」


 ミュールは割って入った。


「人狼はそいつらの中の誰かよ! よく考えて茶髪! 貴女が入ったら、そいつらは五人チーム。でも、このゲームは人狼を殺せないと、四人になるまで続くのよ! 五人で力を合わせれば人狼を見つけられる? そんな保証どこにあるのよ! メガネ! アナタは人狼を見つけられなかったら。いいえ、仲間の誰かが人狼に選ばれたらどうする気なの!? 誰か一人、切り捨てないと仲間でゲームを勝ち上がれないわよ!」

「っ、それは」


 俺はすぐには答えられない。


「仮にフォースステージで、茶髪が人狼になったらどうするのよ? 四人で茶髪に投票して茶髪を殺すのかしら? それとも茶髪を守る為に他のプレイヤーを殺し続ける? でも最後の四人になるには、シャギーかポニテかツインテの誰か一人を殺さないといけないのよ? それなのに、無責任に仲間をほいほい増やすような奴、信用なんてできないわ!」


「そ、そんなことは」


「メガネ、本当は、さっきから偉そうに講釈垂れているそのツインテが人狼なんじゃないの? それで、ツインテを守る為に、私達チームの支柱である私を殺す為に、茶髪を騙そうとしている。違う?」


「俺は」


「私は人狼じゃないわ! なんの根拠があるの!? さっきの私の推理を聞けば。人狼が貴女だってことは一目瞭然じゃない!」


 そのまま、ツインテとミュールは舌戦を続ける。

 そうだ。

 ツインテの推理は正しい。

 まず最初に色仕掛けが効かない男子のサングラスを殺して……殺して……


 サングラス?


 俺は異和感に気付く。


 あれ?

 変じゃないか?

 俺の記憶の底から、サングラスの言葉が溢れだす。

 あいつは何て言っていた?


 思い出せ。


 男子はミュールのおっぱいを見ていたから読心術が使えなかった。

 人狼がミュールじゃないのに、ミュールにとって都合のいい奴が襲われる場合ってどんな場合だ?


 俺の中で何かが崩れる。

 そして代わりに、別の何かが組み上がっていく。

 おい……おいおいおい……待て待て待て待て待てっ、待て!

 俺の視線はゆっくりと、とあるプレイヤーに向いた。


 ……あいつだ。


 俺は両手で円卓を叩いた。


「ミュールは人狼じゃない!」

『え?』


 誰もが俺に注目して、言葉を失った。


「な、何を言っているのよメガネ君。だって貴女も私の推理に、まさか貴方、あの女の色仕掛けに」

「そうじゃない! もう一人、人狼の可能性のある奴がいるんだ。そして、そいつの方がミュール以上にもっとつじつまがあうんだ!」

「なんですって!?」


 ミュールが背もたれに体重を預けた。


「いいわよメガネ。もしもそれが合っていたら、私を人狼呼ばわりした事を許してあげるわ」


 妙に上から目線だけど、それは無視する。


「そもそもツインテの推理は、ミュールが人狼っていうのを前提にした、先入観で出来た推理だ」

「わ、私の推理が、先入観ですって!?」


 ツインテが、ショックを受けて顔色を変えた。


「そうだ。まず最初の推理。色仕掛けが効かない男子のサングラスが殺された。でもよ、サングラスがむっつりスケベって事もあるんじゃないか? みんなのいないところなら案外乗って来るかもしれない。最初はだめでもそのうち籠絡できるかもしれない。なのに、確実に籠絡できない女子を差し置いて、籠絡しにくいってだけで男子を最初に殺すか?」


「っ、そ、それは……」

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