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サードステージ三日目

 ゲーム三日目。

 俺が円卓に座ると、続けて来たミュールが艶然と笑う。


「昨日はどうだったメガネ? ツインテとポニテにアナタの部屋に行くよう勧めておいたんだけど」

「お前かぁ! お前のせいだったのかぁっ!?」


 俺は野獣のように吠える。


「はうぅうっ」


 俺を見るなり、ポニテは顔を真っ赤にしてうずくまってしまう。

 いやーっ、わすれてぇーっ。

 そこへニャル参上。

 今日はちょっと遅れてから裁判長席に座る。


『はいはいほー♪ ニャルちゃん登場ですよー♪ 昨晩の犠牲者はツケヅメさんでーす♪ では今日もはりきって議論をしましょう♪』


 こうして今日の議論は開始。

 ミュールの予定だと、この議論ではアイプチが死ぬことになっている。

 俺はアイプチを見て、心の中で謝った。

 彼女が助かるには、この議論で本当の人狼が見つかって、そいつを処刑する事だけど、それは難しいだろう。


 一応、俺はここまでのことを整理してみる。

 まず、このサードステージは最初、一三人だった。


 男子プレイヤーは。

 1俺。

 2サングラス。

 3糸目。

 4狐目。

 5コンタクト。

 の五人。


 女子プレイヤーは。

 1ツインテ。

 2ポニテ。

 3シャギー。

 4茶髪。

 5ミュール。

 6ツケマ。

 7ツケヅメ。

 8アイプチ。

 の八人だ。


 最初の夜、人狼に殺されたのは男子のサングラス。

 これは、人狼探しに積極的な奴を殺したんだと思う。


 二日目の議論で死んだのは女子のツケマ。

 これは、ミュールが自分の言う事を聞かない女子を優先的に殺したんだろう。


 二日目の夜、人狼に殺されたのは女子のツケヅメ。

 これは解らない。


 まぁ、サングラスが殺された事で、誰も議論中に喋らなくなったから、誰を殺せばいいか解らなくててきとうに殺した。


 そう考えるのが自然かな。


 一見手抜きに見える推理だけど、全プレイヤーが無特徴ではそうなってしまうだろう。


 今回の議論も、やっぱり誰も喋らない。

 刻一刻と時間だけが過ぎて行く。

 これは……ある意味凄いな。

 人狼ゲームなのに、一切の議論をしないで、ミュールの色仕掛けだけでゲーム全てコントロールされている。

 議論とは関係無く、誰が死ぬか最初に決まっている。

 議論に意味は無く、結論は最初から決まっている。

 まるで大人社会の会議みたいだ。

 昔誰がかが言っていた。

 

『議論することに意味は無い。結論は最初から決まっている』


 『議論することが大事なのではない。議論をしたという事実を残す事が大事なのだ』

 

 『議論とは結論を求める為にするのではなく、議論をしたという事実を残す為に行う』


 耳が痛いね。


 まったくその通りじゃないか。


 でも、このままだとミュールはシャギーや茶髪も殺す。


 茶髪とは全然親交が無いし、シャギーも特別仲間っていうわけじゃないけど、死んでいいはずがない。


 それに、ミュールは可能な範囲でと言った。


 つまり、ゲームが進み続ければ、ツインテとポニテも危ないという事だ。


 う~ん、でもなぁ。


 特徴が無くて困るのは人狼だけじゃなくて、村人も困る。


 なんて言っても、人狼の手がかりすらもないのだから。


 みんなは何も喋らない。


 ヒマ過ぎて、会場のシャンタ達に至っては携帯ゲームで遊び始めている。


 結局、誰も喋らないまま議論は終了。


 ニャルは唇を尖らせる。


『ぶー、つまらないゲームですねぇ。ぶーぶー。ではさっさと投票してください』


 円卓から出て来た投票ボタンに、当然俺は触れない。

 ミュールとの約束は、あくまでミュールに投票しないこと。

 ミュールの指示したプレイヤーに投票するわけじゃない。


『はいはい、締め切り終了、それじゃあさっさと画面をみやがれですよ、ぶーぶーぶー』


 裁判長席で、ニャルがふてくされる。

 画面には予想通り。


 アイプチ 四票


 と表示されている。


「ちょっと待ってよ! こんなのって、あっ!?」


 落とし穴。

 アイプチの体が地面に吸い込まれて、激突音と水音がした。


『あのですねぇ皆さん、もうちょっと真面目にゲームをやってくださいよぉ』


 ニャルが俺らにブーイングをする。


『皆さん忘れたんですか?』


 忘れた?

 何をだ?


『どうして皆さんがこのゲームに巻き込まれたのか。謎は生き残ったら教えるって言いましたよね? 皆さんはどうして自分達がこんなところでファンタジーデスゲームをやっているのか知りたくないんですか?』


 糸目や狐目、コンタクトが騒ぐ。


「人狼ゲームをやったこと連中集めてだけだろが!」

「素人がおたおたするのを見たいだけだろ!」

「そうだそうだー!」

『そんな単純なわけがないじゃないですか? ちゃんとした理由があるんですよ。そうですねぇ、じゃあこうしましょう。このステージを勝ち残ったら、真実をお教え致します。それでは皆さん、頑張ってくださいねぇ♪』


 俺達は、困惑した顔で、それぞれの出口へと帰った。

 俺達を選んだ理由?

 一体なんだって言うんだよ。



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