サードステージ二日目の夜
「残念だけど、まだ議論の内容を見直すだけの進展がないわね」
その日の作戦会議は沈鬱な雰囲気に満たされていた。
また俺の部屋にツインテとポニテが来ている。
でも、流石のツインテも今回はまいっているようだ。
「気になるのは、ツケマに四票も入っていることね」
「あ、それは私も気になりました。ツケマさんって、そんなに怪しいところありましたっけ?」
「ない、よな? ていうか俺は誰にも投票していないんだけど、二人は?」
俺の問いに、ツインテがちょっと憤慨する。
「入れるわけがないじゃない。まだ誰が人狼なのか、手がかりがゼロなのよ」
「わたしも、無責任に処刑の投票なんてしませんよぉ」
「悪い悪い。でもそうなると一二人中、九人しか投票しないで、四票も集まったんだよな? 半分近くがツケマを疑ったっていうのか?」
ツインテが、神妙な顔になる。
「私達には気付かない何かに気付いた? それとも……すでに四人チームが出来上がっている?」
「「え?」」
俺とポニテが、同時に声を上げた。
「そう考えると自然だと思わない? 現に私達は三人チームを組んでいるもの。他に、ファーストステージとセカンドステージの間にチームを組んでいる連中がいてもおかしくないわ。そしてその四人が自由時間中に議論して、ツケマに投票するようあらかじめ決めていた」
「それならつじつまは合うけどよ、でもツインテ、そうなると俺らにはどうしようもないんじゃないか?」
「そう、ですよね。だってわたし達は三票ですけど、向こうは四票も動かせるんですから。もしもそのチームさん達がわたし達の中の誰かに目をつけたら……」
ポニテは眉の両端を垂らしてしまう。
「人狼だけじゃなくて、他チームにも目をつけられないようにしないといけないなんて、うかつに動けないわね……」
「くそっ…………」
俺らの議論はそれで終了。
あとは各人の部屋で考えることになった。
人狼と四人チーム。
サングラスがいてくれたら、こんな事にはならなかったかもしれないのに……
俺は二人が帰ると、ベッドに倒れ込んで頭を抱えた。
勝って当然のはずだったサードステージ。
それが今では、もっとも過酷なステージになってしまった。
まだ晩御飯前だが、不安を抱えたまま、俺の意識はまどろみの中に沈んで行った。




