失ったものは大きすぎた
次の日の午前。
俺はサードステージの二日目を迎える。
会場の席には、安心して腰を下ろせた。
仲間を守る事が出来る兵士の俺。
過去の議論を見ることができるツインテ。
人狼に襲われても一日は死なないポニテ。
そして、プレイヤーのウソを見破ることができるサングラス。
この四人が組めば無敵だ。
それに今回のプレイヤー人数は一三人。
昨晩の夜襲で一人減るから一二人。
俺らは票全体の三分の一を掌握していることになる。
これなら、サングラスが人狼の正体を突き止めると同時に、ほぼ確実に人狼を仕留めることができる。
勝てる。
このサードステージもクリアできる。
俺は確かな希望の火を胸に感じた。
ただし、一つだけ警戒することがある。
それは猟師の存在だ。
サングラスの話だと、猟師という職業はゲーム中に一度だけ、指定したプレイヤーを殺せるらしい。
でも、俺らの中に猟師はいない。
なら、他のプレイヤーの中に猟師が潜んでいる可能性がある。
人狼にはサングラスのハッタリが聞いているけど、猟師には解らない。
もしも猟師が、人狼探しに積極的なサングラスを、
『自分が人狼なのを誤魔化す為に喋りまくっているんだ』
なんて疑って、サングラスを殺すようなことがあるかもしれない。
その為には、一日でも早くゲームを終わらせないと。
俺は円卓の下で、硬い握り拳を作った。
席には次々プレイヤーたちが座って行く。
ポニテはもちろん、昨晩は俺が守っていたツインテも当然、席に座る。
そうして席が埋まって行く中、ニャルが。
『おやおやみなさんおそろいですねぇ……それじゃそろそろ始めますか』
は? まだ全員来てないぞ?
「おいニャル、まだプレイヤーが歯抜けじゃないか」
円卓には、サングラスを含めて、まだ空席がいくつかある。
いくらなんでも一晩でこの数が死ぬのは有り得ないだろう。
『もう来るからいいですよ別に、あ、そうそう。それと昨晩の犠牲者なんですけど、先に発表しておきますね』
他の出入り口から、ようやく他のプレイヤーたちが小走りに円卓へ近づいてくる。
まだ全員が席に座らない中、ニャルは、
『村人達はサングラスさんの死体を発見しました。人狼が村に潜んでいると解り村は大パニックになります♪』
……………………………………………………え?
「はああああああああああああああ!?」
俺は思わず立ち上がって、叫び声を上げた。
でも見れば、円卓は一三の席の内、一つを除いて全て埋まっている。
空いている席のネームプレートには、
『サングラス』
と書いてあった。
ウソじゃない。
本当の本当に、
サングラスが死んだ。
「って、あいつは職業の力で人狼に襲われても平気なんじゃなかったの!?」
シャギーが円卓に身を乗り出した。
俺とシャギーだけじゃなくて、当然、ツインテとポニテもショックを受けているようで、顔色が悪い。
ミュールが興味なさそうに。
「ふ~ん、まっ、ようするにハッタリだったってことね。ニャル、人狼が職業を持つことはないんでしょ?」
『ええもちろん。というよりも人狼自体が一種の職業のようなものですから。一人のプレイヤーが二つの職業を持つことは不可能です♪』
「なら、職業の力でサングラスの能力を無効にしたってのはなさそうね。サングラスの夜襲平気発言はハッタリだった。人狼はそれを見破ったか、駄目元で襲ったら成功しちゃった、ただそれだけよ」
俺は自分をクールダウンさせながら、席に座り直す。
「随分冷静だなミュール」




