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探偵と予言者の違い

「預言者? なんか名前通りの能力だな」


 大預言者は、ゲーム開始時、最初から誰が人狼か解るという能力だ。

 そんでただの預言者は、指定した人が人狼かどうかわかるから、人狼に当たるまで少し時間がかかる。


「でもそれって探偵に似ているよな」


「そうだな、だが両者には大きな違いがある。まず探偵は一ゲーム中に一人の事しか調べられない。対して預言者は一日一回ずつ調べることができる」


 サングラスは、顔のサングラスの位置を指でくいっと直す。


「探偵のほうが調べられる回数が少ないが、そのかわり、調べた対象の職業なんなのかも解る。対して預言者は、人狼でないかどうかは解るが、職業が何なのかまでは解らない。探偵は量より質の職業で、預言者は質より量の職業と言えるな」


「丁寧な解説ご苦労さん。それで俺はどうすればいいんだ?」


「うむ。問題は俺に人狼を殺す力が無い事だ。こうなると、人狼が誰か解ったとしても、あくまで議論で処刑するしか方法が無い。だから明日以降の議論で、俺に容疑がかかった場合は弁護してくれ。当然、お前に容疑がかかった時は俺が弁護する。承諾してくれるだろうか?」


「おう、もちろんだ。人のウソが見抜けるなんて、心強い仲間ができて嬉しいよ」

「そう言ってくれると助かる。では俺はこれで失礼する」


 言って、サングラスは立ち上がるとドアへと向かった。


「もう行くのか?」

「ああ。それじゃあ、明日から頼むぞ」


 サングラスはてきぱきと外に出て行って、ドアが閉まった。


「ツインテ、ポニテ、もういいぞ」


 俺の言葉で、風呂場へのドアが開いた。


「ふー、緊張しましたぁ……」


 大きく安堵の息を吐き出すポニテ。

 続いて、冷静な顔でツインテが出て来た。


「風呂場から話を聞かせてもらったけど彼、凄い能力者ね。まさか人のウソを見破る事ができるプレイヤーがいるだなんて」

「まったくだな」


 俺は同意して息を吐いた。


 人狼ゲーム。

 それはいかにして他のプレイヤーを騙すかというゲームだ。


 人狼は自分は村人だとウソをつき。

 村人は自分が怪しいと思う人間が処刑するよう議論を誘導、広い意味でみんなを騙してゲームを進める。


 なのに、そのウソそのものが通じないだなんて、チートにも程がある。


「それとメガネ君。一つだけ聞いてもいいかしら?」

「なんだ?」


 首を傾げる俺に、ツインテの視線が突き刺さる。


「その子にいつまでそうさせているのかしら?」

「え?」


 見下ろすと、エーコが俺の膝の上に座ったまま、腕にむぎゅむぎゅ抱きつき、胸板にすりすり顔を押しつけている。


「おー、気持ち良すぎて忘れていたぜ」

「まったく貴方は。シャンタ達は一応ニャル側の連中なんだからあんまり甘やかすのは感心しな」

「あ、シャンナちゃん、今日は一段と可愛いですね♪」

『にゃおにゃおー♪』


 ポニテになついている、元から小柄で童顔のシャンタ。

 シャンナが猫耳ロリメイド姿で現れ、ポニテの足に抱きついている。

 ポニテは頬をほころばせてシャンナの頭をなでている。


「貴方達、そいつらのせいでこんなデスゲームに参加させられているのに良くそんな子達を可愛がれるわね」

「ふえっ!?」


 ポニテがびくりと肩を跳ね上げる。


「そそ、それは解っていますけど、でも、でもやっているのはこの子達の主のニャルちゃんであって、この子達は社長に従う部下だし、それにこんな状況だからこそ癒しが欲しいじゃないですかぁ……」


 ポニテはシャンナをむぎゅっと抱きしめる。



「俺は……」



 よくわからない。

 それが本音だ。


 ファーストステージでエーコに言われた事に反論ができない。

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