メンタリスト?
えーっとじゃあそうだな。
ラッキーセブンの七にするか。
「考えたぞ」
「よし、では質問だ。お前が考えたのは一か?」
「違うよ」
「では二か?」
「違う」
「じゃあ三か?」
「違う違う」
「なら四か?」
「違うって」
「ならば五か?」
「違うさ」
「六だろ?」
「違うね」
「七なんだな?」
「違うっての」
「つまり八か?」
「違うんだよなぁ」
「ようするに九ということだな?」
「違い過ぎる」
「七だな」
「っっ!?」
「その様子だと、当たったらしいな」
俺は口角をひくつかせてしまう。
「な、なんで解ったんだ?」
サングラスは得意げな表情で、
いや、サングラスをかけているのに得意げってわかるのは、それぐらいこいつに得意げオーラがあるからだ。
こいつは雰囲気っていうかオーラが強過ぎる。
「さっき言った通りだ。俺は心理学の専門家というか、厳密には両親が心理学者で、子供の頃から心理学、さらに言えば読心術の英才教育を受けている。だから素人には気付かない、相手の本当にごくわずかな反応、表情や体の細部の動きだけで、相手がウソを言っているか、相手が意識している事柄かが解るんだ」
「ていうことは……」
「ああ、お前自身は気付いていないだろうが、メガネ、お前は俺が『七』という単語を出した瞬間、僅かだが声の調子が変わった。ソレに、まばたきが僅かに速くなった。これは、お前が『七』という数字を意識している証拠だ」
「すごいな、そんなことができるのか!?」
待てよ、ていうことは。
「おい、もしかしてお前が最初に、全員に人狼がどうか聞いていたのって」
「そうだ。あの質問で、ウソを言っているかどうかを見ていた。実はセカンドステージも同じ事をした。それで人狼が誰か解った。だから俺の職業スキル、猟師は選択した相手を夜、人狼よりも先に殺す事が出来る。俺は人狼と思われる人を選択して、一人の村人も犠牲にせず、ゲームをクリアすることに成功したのだ」
「お前、ハンパないな……じゃあもしかして今回も猟師に」
「いや、残念ながら違うな」
「違うのかよ」
あれ?
でもこいつ確かさっきの議論で。
「お前さっき、職業上自分は殺されないって言ってたよな?」
「あれはハッタリだ」
「ハ、ハッタリぃ?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「その通りだ。ミュールとの会話。人狼探しに積極的な奴を殺すと人狼に不利になるという話しだな。その話と、職業の力を自称することで、人狼が俺を狙えないようにしたのだ。あそこまでされて、なお素直に俺を狙うような人狼はいないだろう」
自信たっぷりに言ってみせるサングラス。
俺は大きく頷いてしまった。
「た、確かに……そうだ、それより結局今回の人狼って誰なんだよ?」
「それがだな……」
途端に、サングラスは気まずそうな眉をした。
「はっきりとは解らなかった」
「って! 今までの前振りはなんだったんだよ!?」
さんざん人の心が読めますアピールしといてなんじゃそりゃ!
「悪いな、実は俺の読心術には弱点がある」
「弱点?」
「さっきも言ったが、俺の読心術は相手の僅かな動きからウソを見抜く術。だから、常に動いている人や、最初から挙動不審でびくびくしている人。それと……他の事に気を取られている人は、読めないわけではないが読みにくいんだ」
「他の事って……あっ」
俺は心当たりに気付いた。
「……なぁ、サングラス……それってもしかして」
「うむ、男子勢はみんな、まばたき一つせず、視線をミュールの谷間に釘づけたままひと揺るぎもしなかったからな。全員無反応で困った」
ミュールの爆乳うううううううううううううううううううううう!
すげぇな。
まさか爆乳で捜査がかく乱されるとは。
ミュールの爆乳は兵器か何かか?




