初日の議論終了
「私はいいけど、それにしてもサングラス、アナタがんばるわねぇ」
ミュールが円卓に身を乗り出す。
一緒に、たわわな胸が揺れて、谷間の俯瞰光景が円卓の全員に見せびらかされる。
「こんなに目立っちゃって、今夜死ぬのはアナタかもしれないわよ」
「それなら安心しろ。俺は職業の能力上、夜襲では死なないからな。だからこそ、こんな風に目立つ行動ができた。それに、目立つからと言って必ずしも夜襲を受けるわけではない」
「アラ、それはどういう事?」
「人狼探しに積極的なプレイヤーばかり殺していると、そのうちに議論そのものが進まなくなる」
それは、確かにそうだろう。
「そうなると、投票による処刑は完全なるランダム、だから偶然人狼に当たる場合もある。人狼はあくまでも夜襲でプレイヤーを減らしつつ、昼間の議論では議論を上手く誘導して、自分以外のプレイヤーに票が集まるようにしなくてはならない。だから議論そのものが進まなくなると困るんだ」
なるほどな。
サングラスの言う事は解る。
議論での捜査をかく乱させるためには、一つの方向性で殺しては駄目だ。
まして、こんなにもリーダーシップを執るサングラスだ。
サングラスが初日から死ぬようなことになったら、喋れば殺されるとみんな思って、誰も喋らなくなる。
そうなれば議論が進まない。
議論自体が展開されなければ、人狼が自分以外のプレイヤーに票が集まるように議論を誘導することもできなくなる。
人狼にとっては怖いのは、推理されることと、あとは単純なる不運で死ぬ事にほかならない。
サングラスの意見を聞いたミュールは色っぽい声でサングラスに問いかける。
「誰も議論中に喋らないなら、人狼が率先して喋ればいいんじゃない?」
「そうなると、積極的に喋るプレイヤーばかりが死んでいるのに、特定のプレイヤーだけ死なない事になるから、皆の疑惑のそのプレイヤー、つまり人狼に向いてしまう。人狼ゲーム、とてもつもなく奥が深いゲームだな」
サングラスが腰に手を当てて大きく息を吐いた。
「ふぅん、アナタ、優秀なのね、私好みだわ」
対してミュールは、サングラスに流し目を送りながら、両腕を胸の下で組んだ。
ただでさえ蠱惑的な胸が、殺人的な魅力を持って俺らを魅了した。
男子は全員ミュールの胸を見る。
俺も、思わず注目してしまう。
ツインテは汚物を見る目で俺を見て来る。
ごめんなさい。
女子って別に付き合っているわけじゃないのに、身内の男子がエロ根性を出すと怒るよね。
「お前の好みは知らないが、とにかくそういうわけだから俺が今夜すぐに死ぬことはないのだ」
「アラつれない」
そんな二人のやりとりで、初日の議論は終わった。
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オールジョブ人狼ゲーム
ルール四
職業について。
職業は人狼以外の全てのプレイヤーが持っている。
職業のないプレイヤーは存在しない。
基本的に同じ職業のプレイヤーはいないが、大人数で行われる場合、やむ追えず同じ職業を二人のプレイヤーに割り振る可能性もある。
能力の使用タイミングが任意の場合、毎晩シャンタがプレイヤーの部屋を訪れて、使うかどうかを聞いてくる。(修正)
自身の職業を証明するために職業カードを見せてはいけない。(修正)
あくまで人狼ゲームは弁舌で相手を納得させるのがだいご味である。
その為、セカンドステージからは職業カードは配布しない。
ニャルラトホテプが、各プレイヤーの脳内に直接情報を送り、能力の使用も、心の中で念じれば使用可能とする。
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