いいジョブ引いたぜ
おう。
その時、コンタクトが一言。
「え、なに? お前アイプチなの? 本当は目、一重なのか?」
「うっさいわね! そういうあんたはコンタクトでしょ! ニャル! こんな名前はプライバシーの侵害よ! 今すぐ変えなさい!」
がなり立てるアイプチ。
だがニャルは取り合わない。
『え~、だってせっかく何百っていうプレイヤーたち全員の名前が被らないように、それぞれを代表する特徴をつけたんですよ~。全員分考えるのに一五分もかかったんですから、そのままでお願いしますね♪』
「全然労力かかっていないじゃないの!」
『はいはーい、では職業をふりわけますよー』
今度は何だろう。
俺の中に、職業の知識が流れ込んで来る。
職業名:兵士
能力:毎晩指定したプレイヤーを人狼の夜襲から守ることができる。警戒態勢として、自身を守る事もできる。その場合は、自分が襲われた時、職業の力を失ってしまう。
よっし来た!
やっと来たよ兵士。
ファーストゲームでの職業説明で、ニャルが例として出した職業だ。
仲間を直接的に守ることができる、そして犠牲者を減らすことができる、最高の職業の一つだ。
これで、ツインテとポニテを交互に守れば生存率はぐっと上がるぞ。
途端に、指輪の事を思い出す。
指輪。
セカンドステージで俺らが組んだ仲間のプレイヤー。
童顔で臆病な男子で、でも俺らの仲間になった時は本当に嬉しそうだった。
でも死は平等だ。
俺の仲間の指輪は、夜襲であっさりと死んでしまった。
それがこの人狼ゲーム。
議論を上手く誘導して、自分や仲間に投票されないようにしても、人狼に狙われてしまえば意味が無い。
おまけに誰が人狼か解らない以上、議論でどう立ち周れば人狼から狙われないかも解りにくい。
でも、兵士の力があれば、その人狼から仲間を守れる。
『はいはーい、ではみなさん、議論をお願いしまーす♪』
ニャルが言うと、俺は落ち着いてイスのせもたれに体重を預けた。
よし、まずは目立たず、様子を見よう。
最初に発言するのは誰だろう?
「お前達に聞きたい」
最初に発言、というか、いきなり席からサングラスが立ち上がって、円卓に身を乗り出してきた。
なんだこいつ?
サングラスは名前の通りサングラスをかけていて、その黒いサングラスのレンズの奥から、妙な威圧感を感じる。
「みんな、正直に答えてくれ、メガネ」
「え? 俺?」
なんで急に俺に話を振るんだよ。
俺は嫌な予感を感じながら、つとめて冷静に振る舞う。
「なんだサングラス?」
「お前は人狼か?」
なんて直球な質問だ。
「そんなわけないだろ? 俺は村人だよ」
なんなんだ?
なんでサングラスは俺を疑っているんだ?
こいつが大預言者?
いや、なら俺を人狼だなんて思わないはずだ。
「そうかわかった、じゃあ次糸目」
あっさり引き下がるサングラス。
なんだよ、俺が人狼だっていう確信があるわけじゃないのかよ。
「お前は人狼か?」
「え? ああ俺か? なんでそうなるんだよ?」
ミュールの爆乳の谷間に、糸目を見開いて熱い視線を送っていた糸目が、慌てて弁明し始める。
「そうか」
すると今度もまたあっさりと引き下がるサングラス。
今度は狐目に同じ問いをする。
サングラスの意図は解らないけど、とにかくそうやって、サングラスはプレイヤー全員に『お前は人狼か?』という質問を投げかけている。
そんで当然だけど、全員に否定されて、あっさり引き下がった。
最後にアイプチに聞いてから、サングラスは自分の席に座った。
「そうか、ならいいんだ。みんな、議論を始めてくれ」
どっかりと席に座ったまま、そう言って終わるサングラス。
こいつは一体何がしたかったんだ?




