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墓守ジョブ

「ちょっとお邪魔するわよ」

「わわ、どどどうしたのみんなっ」


 指輪の部屋のドアが開くと、ツインテは強引に入室。

 俺らも後に続いた。

 動揺し、あわてふためく指輪を無理矢理ベッドに座らせて、ツインテは立ったまま、気弱な指輪を見下ろした。


「単刀直入に言うわ指輪。私達三人は全員村人でチームを組んでいるわ。そしてポニテの探偵スキルで、貴方が村人の墓守であることも解っている」

「え!?」

「だから要求するわ。私達に墓守の能力を明かし、仲間に入りなさい。明日の議論で、人狼を見つけて、ゲームの生存者を五人にするわ」


 ツインテの冷たい声が、指輪を取り囲む。


「それで、答えは?」


 途端に、指輪の童顔の目に涙がたまった。

 ツインテが怖すぎたのかな?

 こういう弱気な奴なら、威圧的な方が言う事を聞くと思ったのかもしれないけど、失敗か?

 そして指輪は、


「た、たすかった~!」


 ベッドの上にあおむけに倒れて、脱力した。


「う~、こわかったよ~、でもよかった~」


 指輪は心の底から安堵した様子だった。


「じゃあ私達の仲間になるのね?」


 指輪はすぐに上体を起こす。


「それはもちろんだよ! 僕だって助かりたいもん。えっと、それで墓守の能力だよね? 墓守の能力は、死んだ職業が解るんだ」

「死んだ職業?」


「うん。三日目の議論が終わった後、ちょうど今からでないと使えないんだけど、今までどんな職業が死んだのかが解るんだ。でも死んだ、もういない職業が解るだけで、死んだ誰がどの職業だったのかは解らないよ。それに、ゲーム中に一回しか使えない。でないと、人が死んだ後にすぐ使えば、新しく増えている職業が今死んだ人の職業だってわかっちゃうからね」


「なるほど、でも使えそうね。指輪君、さっそく使ってもらえる?」

「うん!」


 指輪は怯えた顔ではなく、やる気に満ちた顔で元気よく頷いた。


「えーっとね…………うん、解ったよ。死んだのは、大預言者、預言者、警察、猟師、格闘家の五人だよ」

「エーコ。俺らはチームだし情報の共有ってできないのか?」


 俺の問いに、エーコが頷く。


『はい♪ では今言った五人を解り易く♪』


 エーコが指を鳴らすと、部屋の中央の空間に、五枚のイラストが浮かんだ。

 能力は書いていないが、職業名の上に解り易いイラストが載っている。


 一枚は杖と書物を持った女性。

 一枚は書物を持った乙女。

 一枚は若い青年警官。

 一枚は猟銃を手にした青年。

 一枚は露出度の高い服装で、拳を固めている少女。


「預言者と大預言者?」

「おそらく、大預言者の能力を弱くしたような能力でしょうね。でも、既に大預言者が死んでいるのは有利よ」

「どういうことだ?」


 ツインテは不敵に笑う。


「メガネ君、貴方の記者スキルとのコンボで、人狼を追い詰める」


 ポニテが目を丸くする。


「そ、そんな事ができるんですか?」


「ええ、感謝するわよポニテさん。貴方の探偵スキルで墓守を見つけて、指輪君の墓守で大預言者が死んでいる事を発見して、そして最後に、メガネ君の記者スキルで人狼が誰か解るわ。エーコ、すぐに今まで三回分の議論映像を見せて」


『メガネ様』

「あ、一応俺の許可必要なのか。うん、記者スキルを使うよ。頼むエーコ」

『はい♪』


 エーコがいそいそとテレビの準備をする中、ツインテはメモ帳とペンを取り出す。


「いーいみんな? これから、死んだ五人が誰を疑っていたかを注目するの。指輪君、この部屋にはメモ帳とペンが備え付けているはずよね? みんなに貸してあげて」

「あ、うん」


 言われるがまま、指輪は机のメモ帳を数枚破いて俺らに渡して、それからペン立てのペンも貸してくれた。


「死んだ中に、ゲーム開始時から人狼の正体が解っている大預言者がいる。つまり、死んだ五人の中の誰かは、みんなが人狼に投票するよう、議論を誘導しようとした人がいるということよ。だから、死んだ五人が誰を疑っていたか、誰を人狼にするべく議論を誘導しようとしていたか、それを探るのよ」


『映像の準備ができました♪』


 ちょうどツインテが喋り終わると、テレビに一回目の議論の映像が映った。


「じゃあ、みんな、作業を始めるわよ!」


 俺ら四人は、議論内容を一言も聞き逃さないよう、集中した。

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