セカンドステージ二日目
『グッモーニングですよ皆様♪ それはセカンドステージ二日目スタートでーす♪』
次の日、会場からは赤髪の姿が消えていた。
赤髪とは一言も喋っていない。
でも、やっぱり人が死ぬというのはいい気がしない。
ファーストステージを生き残った俺だけど、これだけは慣れない、いや、慣れてはいけないと思う。
『では一時間の議論タイムをどうぞ♪』
いきなり鼻ピアスが、
「メガネとか地味なやつに限って人狼とかあるんじゃね?」
ドクロネックレスが、
「早く大預言者名乗り出なさいよね!」
オールバックは、
「おいお前、妙に大預言者を気にしているけどさ、もしかしてお前が人狼で早く大預言者を消したいだけなんじゃないか?」
青髪が否定する、
「いやぁ、僕はそれじゃあちょっとそのまんますぎると思うなぁ。耳ピアス君とかエリートなのがボスキャラって感じが」
「私を疑うのか?」
耳ピアスが、鋭い上から目線で青髪を射ぬいた。
「ご、ごめん、でもサスペンスや推理ものだとさ、いかにも頭良さそうな人がみんなを掌の上で転がしているって感じするでしょ? 少なくとも地味なメガネ君が毎晩
『今日は誰を殺そうか』とか考えているシーンは思い浮かばないし……」
「ふんっ、人狼はランダムで決まるんだ。この場にいる誰が人狼でもおかしくはない。もっとも、その考えならば確かに私も可能性はある。だがな君達に断言しておこう。私は人狼などではない!」
そんな感じで、なんだか議論にまとまりがない。
赤髪が殺されただけじゃあてがかりは少ないし、仕方ないのかもしれないけど。
第一印象を言い合うだけじゃあちょっと。
でも時間的に議論が終盤に入った時だった。
シャギーが不意に、
「ねぇみんな。とりあえずさ、この議論は全員、自分に投票しない?」
みんなの視線がシャギーに集まった。
「だからさ、こんな根拠もなくただてきとうに言い合って、それでてきとうに投票して、偶然票の多かった奴が処刑されるなんて嫌じゃん? だからさ、今回の処刑は全員自分にいれて、全員一票ずつ持つのよ。そんで明日、夜に誰が死んだのかっていうのをてがかりに議論を進めるの。ニャル。全員一票ずつなら、処刑は無しでしょ?」
水を向けられたニャルは、裁判長席にふんぞりかえった。
『やらしい事を考えますねぇ。まぁ、二人三人が同票数ならその人達での決選投票にしますが、全員一票ずつじゃあ、確かに投票のしようがありませんね』
「ほら、だからみんな今回は全員自分に入れなさいよ」
何人かの奴が冷たい視線をしているけど、何も言わない。
たぶん、一人でも多く減ってくれた方が人狼をみつけやすいとか、論理的な考えがあるんだろう。
でも、あからさまに批判を買うようなことをすると、自分が投票で狙われる。
だから面と向かって批判はしない。
そんなところだろうか。
するとポニテが、
「わ、わたしは賛成です。誰かに殺す票をいれるなんていやです……」
ツインテも、
「そうね、私も賛成よ」
俺も慌てて賛成する。
「俺も賛成だ、こんななんの根拠も手がかりもないままてきとうに投票して殺すなんて反対だ。それこそ人狼が有利になるだけだ」
集団心理。
次々賛同者が出て来ると、その流れに乗って自分も同意しないといけない空気ができあがる。
そしてツインテがとどめを刺す。
「これでもしも、私、ポニテ、メガネ、シャギーに一票ずつ入っていて四人で決選投票になったら、他の人達は誰にも入れなかったのがバレバレね」
みんなの表情に電流が走る。
茶髪が、
「あたしも賛成するわ。人狼を追い詰めるための作戦には積極的に参加しないと、ゲームが進まないよ。ニャル、投票タイム入っていいわよ」
一部の奴が茶髪を睨む。
でも、誰も否定はできない様子だ。
『まっ、そろそろ時間ですしね、反対意見もないようですし、じゃあ投票タイムに入りますか、ではどうぞ♪』
いつも通り、円卓の前にボタンが現れる。
俺は、あえて自分で自分のボタンを押した。
しばらくして、
『では投票結果をどうぞ♪』




