人狼と村人の共闘
「なんでだぁ……」
俺は自室でベッドに倒れ込んで落ち込んだ。
隣ではポニテが心配そうに俺を見下ろして、
ツインテが重い溜息をついていた。
「あのねぇメガネ君。このゲームはチームを組んでいるイコール村人じゃないのよ」
「どういうことだよ?」
俺はベッドから逆エビ反りで上体を起こした。
「ルールを思い出して。このゲームは村人が全滅したら、じゃなくて四人になったらゲーム終了。つまり人狼の他に村人は三人まで生き残れるわ」
「あっ……」
俺ば馬鹿っぽく口をあけた。
「気付いたみたいね。つまり人狼が村人に、お前を食べないかわりに自分が疑われたら弁護しろ。そう脅しをかけてチームを作る可能性もあるのよ」
ポニテが震える。
「そそ、そんなぁ……」
「なるほどな、このオールジョブ人狼ゲームは実際のゲームの違って敗者は死ぬ。村人チームVS人狼のチーム戦のようで、でも実は自分が生き残れるかどうかの個人戦。自分が生き残るためなら、人狼との共闘もありってわけか」
でもよう。
「でも酷いだろ。俺らはシャギーと同じグループで、一緒に戦った仲間じゃないか」
「あのう、それはちがうとおもいますぅ」
意外にも反論したのは、ポニテだった。
ポニテはおそるおそる、ためらうようにして喋る。
「あの、わたしは赤髪さんと茶髪さん、青髪さんと同じグループだったんですけど、皆さんべつに仲がいいわけではありませんし。むしろお互いに疑心暗鬼になりあったままこのステージに来てしまったような……」
「そういうことよメガネ君。シャギーは私達と敵対こそしてないけど、仲良しこよしのお友達チームだったわけじゃない。それに人狼はランダムで決まる。前のステージで仲間だった人が、今度は人狼かもしれない。それがこの人狼ゲームよ。シャギーの対応は、至極当然のものだと思わない?」
「で、でも俺はツインテのこと」
「メガネ君、世界がみんな貴方みたいに能天気じゃないのよ」
俺は礼儀正しく頭を下げた。
「すいませんでした……」
「でも」
ツインテのやわらか手が、俺の頭に、ぽんと乗った。
「貴方が能天気で助かったわ。おかげで三人チームを作れたものね」
「ツ、ツインテ」
俺は胸にジーンときてしまった。
このデスゲームで、ツインテに会えてよかった。
俺は、あらためてそう思った。




