アホの子かな?
「「え?」」
俺は一瞬疑った。
ファーストステージで、いかにも弱々しいミツアミに騙されたばかりだ。
ポニテは可愛くて、
一見すると弱々しくて、
臆病そうで、
とてもではないが人を殺せるようには見えない。
けれどこういう子に限って、
いやこういう子だからこそ、それを利用して男の俺を利用しようとするのかもしれないじゃないか。
俺はポニテの、泣きボクロに飾られた大きく、そして濡れた瞳を見ながら、
「俺でよければ是非」
「メガネ君。貴方、学習能力って言葉知っているかしら?」
俺は猛省しながらうなだれた。
「ごめんなさい、正体もわからない人にいきなり仲間にしてと言われても、首を縦に振ることなんて」
「あ、わたしは探偵ですよ」
「「って、いきなり正体バラしてどうするの!?」」
俺とツインテはダブルでつっこんだ。
「ふえっ!? だだ、だめでしたか!?」
ポニテは目を丸くしてショックを受けて固まった。
「俺らが人狼だったらどうするんだよ!?」
「貴方……もう少し考えたほうがいいわよ?」
「え? え? ど、どういう事ですか?」
「貴方無害過ぎて狙われなかったのかしら……貴方の能力が解ってしまったら、貴方の能力を危険視された時、真っ先に狙われるじゃない」
「え、でも探偵の能力なんて、指定した人の職業を見るだけですよ? ゲーム中に一度しか使えませんし。たまたま相手が人狼さんの時でもないと……」
「それはそうかもしれないけど……でも、貴方が探偵だって証明は」
いぶかしむツインテ。
ポニテは、
「あ、じゃあツインテさんの指示で能力を使いますね、なんでしたら今すぐ使ってもいいですよ」
「貴方本当に……いや、なんでもないわ」
ツインテは思い溜息をついた。
「でもさツインテ、これでポニテは確実に村人だって証明できたんじゃないか? 俺、前のゲームで探偵だっただろ? ポニテが人狼なら、自分以外の奴は全員村人だから、誰を調べても村人だって言える。でも、職業まで言わないといけない探偵だと偽るなんてできないぞ?」
「まぁ、確かにこの場でいきなり能力を使うよう言われたら、困るのはポニテね。解ったわ、ポニテさん、じゃあここにいる三人は村人という事で決まりよ。この中の誰かが歌が割れた時は、他の二人がサポートすること、いいわね?」
「はい」
「ああ」
その時、俺はあることに気付いた。
「待てよ、だったら仲間は多い方がいいよな?」
「? ええ、それはそうだけど」
「じゃあシャギーも誘おうぜ」
「シャギーを?」
「ああ、だって人狼は一人だけなんだから、チームを組んでいる時点で俺らは村人なんだから、シャギーも仲間になってくれるよ」
ポニテが頭上に疑問符を浮かべる。
「あの、シャギーさんも村人なんですか?」
「私の職業は占い師なの。能力は村人が二人解ることよ。それでこのメガネ君とシャギーは村人だとわかっているわ」
ポニテの顔がパッと明るくなる。
「わぁ、じゃあシャギーさんも入ってくれた四人になりますね♪」
でもうってかわり、ツインテは渋い顔をする。
「でも、シャギーさんが仲間に入ってくれるかしら?」
「なんでそう思うんだよ? 行こうぜ」
俺が誘うと、ツインテは一度目を閉じてから、
「じゃあ試しに二人で行ってみなさい。ただし、一応私も仲間である事は伏せて」
「? よくわからないけど、解ったよ。じゃあポニテ、シャギーを探そうぜ」
「はい」




