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こうちゃくする議論

「初日の議論なんてこんなもんか」

「まぁ、仕方ないわね」


 ホールに戻った俺とツインテは、そのまま部屋へ戻ろうとする。

 ツインテが、俺と同じ廊下へと進む。


「あれ? ツインテ今度はこっちなのか?」

「そうみたいね、部屋は一〇八だけど、メガネ君は?」

「俺は一〇七、隣同士だな」


 ツインテはあごに指を添える。


「もしかしたら、今度は男女別じゃなくて、元のグループごとに階が別れているのかもしれないわ。私達は一二人。四人になって終わった三つのグループを一緒にしたんじゃないかしら?」

「かもな、シャギーとオールバックは?」

「お腹が減ったとか言っていたから、晩御飯を食べに行ったんじゃないかしら?」

「そっか、そういえばさツインテ、お前は職業なんだったんだ? 俺は記者な、前の議論の録画映像を見られるらしいぞ」


 途端に、ツインテの表情が変わる。


「って、貴方なんでいきなり職業をバラしているのよ!?」

「え? 駄目だったか?」


 ツインテは呆れかえって、額に手を当てる。


「あのねぇ、もしも私が人狼だったらどうするのよ?」

「あ…………その時はお慈悲を下さい」


 俺はぺこりと頭を下げる。


「バカ」


 ツインテはクールな顔を崩して、唇を尖らせた。

 なんか可愛い。

 心がほっこりしてきた。


「でもいいわ、結構使える職業だわ。私は占い師、前に貴方が使っていた職業ね」

「おっ、村人は誰だ?」

「貴方とシャギーよ。貴方が村人なのはこうして解ってしまっているから、対して意味のない職業だわ」


 ツインテは落胆の声を上げた。


「でも、ファーストステージを一緒に生き残ったシャギーも村人だって解ったのはちょっと嬉しい……とか思っていない?」

「解る?」

「メガネ君て解り易いわね」


 俺は照れ隠しに頭をかいた。


「あはは、でも一二人中四人が村人だって解ったけど、容疑者八人って、推理マンガなら絞り込んだうちに入らないぞ?」

「そうね、でも貴方の能力は貴重だわ。今後、きっと貴方の能力で過去の議論内容を洗う事があると思うわ」

「その時は任せろ」


 彼女の声がしたのは、その時だった。


「あのう……」


 俺とツインテが振り返ると、ホールの方から、ポニテが自身の無さそうな顔で俺らを見ていた。

 おどおどした足取りで歩み寄って来る。


「お二人は仲がいいんですか?」


 俺とツインテは、慌てて、振り返る。

 そこにいたのはポニテ。

 ホールの方から、こちらを見ている。


「ど、どうしたんだポニテ? お前の部屋もこっちなのか?」

「あ、いえ……そういうわけじゃないんですけど、ただホテルの中って、前のと何か変わっているのかと、その、気になっちゃって」


 やや怯えながら話すポニテ。

 ファーストステージで怖い思いをしただろうし、こんな状況じゃ仕方ないだろう。


「ごめんなさいねポニテ。うちのメガネ君が卑猥な目で見てしまってすまないと思っているわ」

「いいがかりだ!」


 ツインテは無表情で首を傾げる。


「だってメガネ君終始ポニテさんの胸しか見ていないじゃない?」

「はうぅ」


 ポニテが恥ずかしそうに自分の胸を抱き隠した。


「事実無根、じゃないけど誇張表現も甚だしい!」

「それでポニテ。私とメガネ君はファーストステージも一緒だっただけで、特別仲がいいわけではないわ」

「え、俺はチームのつもりだったんだけど」

「そ、そうなんですか……あの、もしよかったらわたしも仲間に入れてもらえませんか?」

「「え?」」

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