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人狼の正体

 ミツアミを指で指す。


「貴方の正体は! 人狼だったわ!」

「そ、そんなはずないよ! あたしは兵士だもん! いい加減な事を言わないで!」


 身を乗り出して必死に否定するミツアミ。

 だがツインテは畳みかける。


「メガネ! 貴方、ミツアミにオールバックとロングが怪しいって言わなかった?」

「なんで知っているんだよ!?」


 こいつ本当にエスパーなんじゃないか!?


「死んだのがロングだからよ。ミツアミが『オールバックが怪しいから、明日は一緒にオールバックに投票しようね』なんて言ったらわざとらしくなる。でも、貴方が容疑者を提示したなら、そのどちらかを消せば確実に貴方は残った方に入れる、ミツアミ自身もその人に入れれば、五人しかいない投票で、二票が一人の人間に集まる。そうなればこの投票で処刑されるのはその人にほぼ確定するわ。メガネ、貴方の言動から、たぶんシャギーのことを疑っていないでしょうから、オールバックとロングの名前を出して、だからミツアミは昨晩、ロングを消した。全てはオールバックを殺す為に!」


 ミツアミは目に涙を溜めて歯を食いしばってから、叫んだ。


「違うもん! あたしは人狼じゃないもん! なんでそういう事を言うの! そもそもツインテさんは本当に探偵なの!? 本当はツインテさんが人狼であたしを陥れる為にそうやって嘘を」


「私が人狼ではない事は、メガネが証明してくれているはずよ、そんなことも忘れるなんて、かなり焦っているわね」


「ぐっ、それにさっきから聞いていたら全部ツインテさんに都合のいい想像じゃない! そうだよ想像だよ! ツインテさんが作った妄想! ストーリー! でっちあげ! ここは推理マンガの世界じゃなくて現実なんだよ! そんなツインテさんの机上の空論通りに事が運んでいるわけないじゃない! 今のはツインテさんがあたしを人狼にしたてあげるために、それっぽい事実を繋ぎ合わせて作った脚本だよ! よく言うじゃない、一度疑うと全てが疑わしく見えて来るって! あたしが人狼に見えるような脚本を一晩かけて考えれば、そりゃそれらしいものは作れるよ! メガネくんもそう思うでしょ!」


「え!? ま、まあ言われてみれば……」


「ほらね! だったらあたしも言うよ! 最初にツインテさんが言った推理、シャギーさんが殺されていないからあたしが怪しいって推理。うん、いいよ、凄く頭いいと思う。でもシャギーさんが人狼で、みんなにそう思わせてあたしを疑わせる為の作戦かもしれない。オールバックくんだって、あえて男子の自分に不利なシャギーさんを残す事で、自分じゃないっていう証拠にしようとしたのかもしれない! ほら、最初から疑ってかかって、その人が人狼に見えるように解釈しようとしたら、誰だってできるんだよ! だからツインテさんの想像は証拠になんてならないよ!」


 そ、そうかな……

 それにしては、ツインテの話には妙なリアリティが……

 ミツアミの説は、


『シャギーやオールバックが人狼かもしれない』


 ていう感じだけど、ツインテのは違う。

 一つ二つの事柄じゃなくて、ミツアミの言動全てが一つに繋がって、いや、まるでパズルのピースみたいに組み合わさっていく。


「ふぅ、やれやれ」


 ツインテは目を閉じて頭を振った。


「ここまで言われても認めないなんて……なら、物的証拠を出すしかないようね」


 言いながら、ツインテは胸ポケットからスマホを取り出した。


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