皆さんには人狼ゲームをやってもらいます
途端に俺らは顔を見合わせあった。
俺を含めた一〇人は戸惑う。
戸惑いながら、誰か知っているか目配せして、でも誰も知らない。
知っていても、
「名前だけなら」
「アメリカのゲームだっけ?」
「発祥はヨーロッパって聞いたけど」
ぐらいだ。
でもシャギーが、
「なるほどね、あたしもやった事ないけど確かアレよ。人狼って村人の中の人狼が誰なのか当てるゲームよね。それで早く当てないと人狼に村人がみんな殺されるっていう。パーティーゲームだっけ?」
またアフロが騒ぐ。
「おいおい、これからいきなりみんなで仲良くパーティーゲームで遊びましょうってか? なんのパーティーだよ」
『アフロ様、そう怒らずに』
バニーガールの一人が歩み寄ってくる。
アフロは彼女の深い谷間を見下ろして鼻の下を伸ばす。
「ま、まぁそうだな。とりあえず話を最後まで聞こうぜ」
なんて、
自分が一番騒いでいたのに途端に平静を装う。
『ハイ! ではまずルール説明なんですが……うんっ、とりあえず一回やってみましょうか?』
こいつ、ルール説明が面倒になりやがった。
「あのう、ちょっと聞いていいですか?」
相手は子供だけど、これだけの事を用意できるんだ。
きっとお金持ちのお嬢様だろう。
庶民である俺は地位と金と権力の前に屈服しながら言葉遣いに気を付ける。
「ルール説明以前に、まずなんで俺らがこんなところにいるのか説明してもらえます? 俺、確かふっつーに学校から帰る途中だったんですけど? もしかして拉致られた感じですか?」
『………………ニヒィィィィ』
童女が、顔を曲げ歪めて妖しく笑った。
『だから言っているじゃないですかー♪ みなさんはコロシアゲームをするためにいるんですよぉ♪ でもそうですねぇ。このゲームを生き残ることが出来た人には、真実を教えてあげますよ。スベテね♪』
「え? それってどういう」
『ハイハイお喋りちゃんはそれまでそれまでっ。ではでは楽しいゲームの始まりですよ♪ 言っておきますけど、これはあくまでルール説明の為の模擬ゲーム。ここでの事は本戦に何も関係無いので、深くは考えずにかるーくやっちゃってくださいね♪』
童女の隣の立つバニーガールの一人が、爆乳を揺らしながら、
『それでは皆様ぁ♪』
童女が叫ぶ。
『ゲームゥ♪ スタートでーす♪』
会場に朝を告げるような、明るいラッパが鳴った。
童女が語る。
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