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スタッフさんがエロかわいすぎる

『おはようございますメガネ様♪』


 食堂にはシャンタがいた。

 むしろシャンタが調理していた。

 テーブルにはいつも通り、バイキング形式で料理が乗っている。


「って、何でお前がいるんだよ?」

『あ、わたくしは昨日のシャンタとは別のシャンタですよ♪』


 朝からハイテンションに笑うシャンタ。

 俺は軽く、


「あ、そう」


 とだけ返した。

 そういえばシャンタってたくさんいるんだっけ?


『ちゃんと見てくださいメガネ様、昨日のホールで会ったシャンタよりもわたくしのほうが胸がちょっと大きいんですよ♪』


 フライパンから手を離して、シャンタは自身の爆乳を両手でむぎゅっとわしづかんで持ちあげる。

 俺は思わず目を血走らせて注目する。


「いやいや、そうじゃなくて……えーっと、ここのご飯ってお前らが作っているんだ」


『はい♪ わたくしどもが作っておりますですよ♪ ニャル様の魔法で出すこともありますが、料理好きのシャンタもいますので♪ 昨日の朝はニャル様の魔法で出した料理ですが、今日のメガネ様担当はわたくしでございます♪』


 魔法。

 それで昨日は食堂に誰もいなかったのか。


「でもその、俺担当っていうのはどういう意味だ?」

『はい♪ 皆さんの姿が見えないのは気付いてますよね?』

「ああ」

『実は皆さんも今はちゃんと食堂にいるんですよ。ただ別位相空間の食堂ですが』

「な、なんだよそれ、なんでそんな事するんだよ?」


『朝に誰が死んだのか、それはあくまでも会場についてからのお楽しみです。朝の時点で皆さんで点呼でも取られたら興ざめではありませんか♪』


「悪趣味な奴だ」


 シャンタはとびきり美人でスタイルも抜群で、だけど表情は可愛らしく幼くて明るくて、これだけならとんでもなく魅力的な女の子だけど。


 俺は奥歯を噛む。

 こいつらはニャルの眷属。

 ニャル側の人間だ。

 つまり、俺達に殺し合いをさせている。


「おいシャンタ。お前は、えーっと、まぎらわしいからシャンタA。お前は、このゲームに疑問を持たないのか?」

『疑問ですか? 疑問なんてありませんですよ♪ わたくしたちは何も悪いことなんてしていないのですからぁ♪』

「ちっ」


 俺は舌打ちをして、てきとうに料理を取っていった。

 こいつの料理を食べるのしゃくだけど、食べないの頭も働かないだろう。

 俺はゲームをクリアーするために、しっかり食べることにする。

 そして俺らに殺し合いをさせるとんでもねぇ野郎だけど……


「うまい……」


 嘘はつけなかった。

 席について、味噌汁を一口飲んだだけでそう言わされた。


「この味噌汁、ダシは何を使っているんだ?」

『はいぃ♪ そのお味噌はわたくしが個人的に作っているお味噌で、さらに、各海鮮食材からダシを取りつつ、野菜の煮汁を使用して味噌を溶かしました。味は濃過ぎずややたんぱくに、ですが海の幸の濃厚な味わいを楽しめるはずですよ♪』


 おたま片手に、


『キャハ♪』


 っと、とびきりの笑顔で笑うシャンタA。

 クソガぁッ!

 めちゃくちゃ可愛いじゃないかこんちくしょう!

 これからデスゲームに向かうのに雰囲気ブチ壊しだよ!


「なんでそんなに料理にこだわるんだよ?」

『だって自分が作った料理を食べてもらっておいしいって言ってもらったら嬉しいじゃないですかぁ♪』

「お前はさっさと誰かの嫁になれ!」

『あ、じゃあゲームに生き残ったらメガネ様が嫁にして頂けますか? シャンタ達は年を取らないので生涯十代のムチムチツルンボディですよ♪』


 俺は顔が熱くなるのを感じながら、黙ってご飯を食べた。


「ったく。ていうかお前らからすれば、俺なんてただのゲームの駒なんだから、変な気を使うなよ」

『駒……だと雑に扱うのですか?』

「?」


 見ると、シャンタAが不思議そうな顔をしている。


『ふむ、やはり我々と貴方方人間とでは、価値観が違うようですね』


 シャンタはキッチンから出てきて、俺の向いの席に座った。


「お、おいお前」

『我々シャンタ共は、ニャルの享楽をサポートすると同時に、共に享楽を楽しむ者。ですが、その享楽の為の駒、人間を雑に扱ったことなどありません』


 その声は冷静で、落ち着いたものだった。


『消費と浪費は違います。無駄遣いは致しません。高級食材を作るように丹精込め、最小の消費で最大のカオスを演出する。そして成果を出せば愛玩ペットのように可愛がり、事故で死ねば美術品が壊れたようにして悲しむ。人間は『道具のように』という単語を悪く使いがちですが、道具はそんなに悪い事でしょうか? それに確か、日本ではペットなど動物は法律上、物扱いでしたね。貴方にとって物であるペットは、どのような存在なのでしょうか?』


 一瞬、納得しようになって、俺は頭を振った。


「人間をペット扱いかよ! 随分偉そうだな」

『神ですから』


 今度こそ俺は黙ってしまった。

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