転生第002話 さあどうやって資金を稼ごう??
「くっそぉー!!あの白髪の幼女ババア悪魔め!!」
この世界の神だと名乗る者はある言葉を残してその場から姿を消した。
(ラビトよ脱兎に賭けよじゃ!!)
「俺は脱兎のごとく逃げ回る人生は嫌なのによりにもよってなんで脱兎に賭けなくちゃいけないんだ!!」
俺は怒りが収まらずそのままその場で大声を上げた。 その時だった。
ブワァーーーーン!!
突如俺の身体から何とも言えない光のようなものが溢れ出した。
「な・なんだこの光は!!」
俺は両手で目を覆いながら光のようなものが収まるのを待った。
「うん?なんだこれは?」
光のようなものが収まったので俺は目を覆っていた両手をどけた。
「ラビト・ファースター 15歳 ヒューマン 男 」
そこには何やら自分のステータスらしきものが表示されていた。
「現時点で使えるスキル 基本スキル箱 速系スキル速足
速系スキル強奪以上!?」
俺は目の前に表示された自分のステータスを見て唖然とした。
「これって!!俺が元の世界でやってたのともろ変わらないじゃないか!!」
俺は唖然を通りこして意気消沈した。
しかし意気消沈したからと言って何かが変わるはずもない。
「・・・しょうがないとりあえず何とかして行動しなくちゃな・・・とりあえずまずは誰か人を探して・・・」
俺はそう思い辺りを見回す。
すると遠くの方に荷車を引いてこちらにやってくる人の姿をみつけた。
「よしとりあえずあの人に話しかけてみるから!!」
俺はそう思いその場から歩き始めようとした。すると
(えっ!!)
ビューン!!
特に何もしている理由ではないのに気がつくと俺の目の前に荷車を引いた男の人の姿が現れた。
(な・なんだ俺はただ普通に歩こうとしただけなのに)
「お、しょ・少年、君もの凄く俊敏な足をしてるんだな!!」
荷車を引いた男の人が驚いたように声をかけてきた。
(うん?これは一体どう言う事なんだ・・・)
俺はそう思い今までの出来事を思い返した。
(お主が寝ている間にお主のステータスを速振りしておいた)
「なるほど速振りってそう言う事か・・・」
俺は自分の中で納得すると荷車を引いた男の人の方に顔を向ける。
「あの・・・すいません!!俺・・じゃなくて僕ラビト・ファースターって言います、何とかしてお金を稼がなくちゃいけないんですけど、何か僕にでも出来る仕事とかってありませんかね?」
「ほへぇー、そうなのか・・・少年のその俊敏な足があるなら何かしらお金を稼ぐ方法はあると思うが、年齢的に仕事をするのはちょっと厳しいかもしれないな・・・それで少年現在所持金はいくら持っているんだい?」
「すいません・・・全くの無一文です」
俺は元気なく答える。
「うーん!!そうなると冒険者ギルドで仕事を探す以前に登録料を払う事も出来ないと言う理由か・・・」
(冒険者ギルド?登録料?ようするに今のままでは真っ当なお金稼ぎが出来ないって事か・・・)
「少年・・・すまないが私では力になってあげる事が出来んすまないね」
「あっいえ・・・そんな事ないです・・・」
そうは言ったものの俺は落ち込む気持ちを隠し切れないでいた。
「ま・まあでも少年・・・ラビトとかいったかい?君のその俊足はきっと何かの役に立つよ」
「ほ・・・本当ですか?」
「あーその脱兎のごとき俊足は神様から与えられた才能だ!!」
「ありがとございましたー!!」
「っておいもういなくなってる・・・」
「うーーーん!!ほんとにどうしたものかな・・・」
俺はそう思いもう一度自分のステータスみたなものを表示させてみた。
「俺の現時点で普通に使える能力は速系スキル速足と強奪、
それからあの白髪幼女ババアが事前に振り分けた速振りによる能力値か・・・」
「へっへっへ今日もたんまり稼がせてもらったなぁー」
「やっぱ弱い奴脅して金を巻き上げるのが何よりも手っ取り早いっすもんね」
ふと俺の前方の方から柄の悪い2人組男がこちらに向かって歩いてくる。
(なんだ・・・いわゆるゴロツキみたいなものか?全く・・・なんて胸糞悪い・・!!)
そこまで考えて俺はふとある事を思いついた。
「よっしそれじゃこの金で酒でも飲むか!!」
「あのー初めましてこんにちはー!!」
「なっ!!なんだお前いつの間に!!」
荷車を引いていた男の人の時と同じような反応が返ってくる。
(よし!!速系スキル強奪発動!!)
「失礼しましたー!!」
「あっおいちょっと待てって・・・あれもういない?」
「一体何だったんでしょうね?あのガキ?」
「まっそれはさておき酒でも・・・って!!」
「どうしたんすか?」
「か・金が全部なくなってやがる!!」
(俺が現時点でお金を入手出来ておまけに合法なやり方、それは他者からお金を巻き上げて悪どい事をしてる連中からお金を奪う事!!)
「とりあえずこの方法で冒険者ギルドの登録料を稼いで、冒険者としてさらに安定した資金集めをする!!そうすれば何とかなるだろう!!いや何とかしてみせる!!」
俺・・・宇佐原速人・・・ではなくラビト・ファースターは心の中で深くそう頷くのであった。