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睡眠代行業(一話完結)

 私の仕事について話たいと思います。


 とは言いますものの、はてさて、どこから話せばいいのか…。


 まず、不眠症に悩む人は、多いらしいです。

 らしい、というのは、顧客が途切れたことがないという理由からで、実際には全国でどのくらいの人が不眠症で苦しんでいるのか、など、統計的に正確な数字などは、何も知りません。


 脱線して申し訳ないですが、あらためて、私の仕事は「他人の代わりに睡眠をとる」ことです。

 やり方は以下の手順で、割とシンプルです。

 何故できるのか、は説明できないので、追及は勘弁願います。


 (1)最初に、私が依頼者の目を見る。

 (2)「私が」睡眠を5~6時間ほど取る。

 (3)起床したら再度、依頼者の目を見る。


 手順はこれで全てです。


 これが終わると、依頼者は「よく眠れてスッキリした」感覚となり、体の方も、実際に眠ったかのような状態になる、と、依頼者は話されます(本当にそうなのかは、私は確認できません)。

 また、ちょっとした怪我や傷、筋肉疲労などが急に治ることもあります。絆創膏を貼ってたところが治ったとか、ほんのちょっとだけですが。

 逆に、私のほうはといえば、特に何かダメージとか、疲労がある、ということもないです、ないと信じてます。


 料金は、元手もいらない商売なので、睡眠時間1時間につき、千円(税別)をいただいています。

 顧客の評判では、良心的な値段だ、と言われていますが、どう考えても重労働ではないので、ぼったくりのような気がしないでもありません。


 ところで、「なぜ、できるか?」という話についてですが、最近、少しだけ気づいたことがあるので、メモしておきたいと思います。

 

 またまた脱線して申し訳ないですが、大学を中退した20歳の頃、どうも自分は多重(二重)人格らしい、と気づいたのです。


 二人の人格には、あまり差はありませんでした。

 私に似ているが別の人格1と、同じく私に似ているが、1とは微妙に違う別の人格2、といった二人でした。

(実は現在、人格1と2は融合気味で、あまりはっきり区別できなくなっています。)

 どちらか一方の人格が出ているとき、もう一方の記憶がなくなる、ということもありませんでした。

 人格1と人格2の境界も、どうもあいまいで…。


 あれ? ちょっと脱線してましたが、あらためて、こうして文字に書いてみると、「それは同じものなのでは?」と思えますね。

 似ていて、区別できなくて、境界もあいまい、だと。

 それって、要するに、同じものじゃね?


 おっと、また脱線気味ですが、ただ、一方の人格が他方の人格から「突然、思ってもいない視点から文句を言われる」、といったこともしばしば発生したので、感覚としては、完全に「私」とは違う、別の二人の人格だったと思います。


 そういえば『星の王子様』で有名なサン=テグジュペリが、著書の中で「人間の人格はA、B、Cの3人いる」と書いていますが(正確な記述は忘れました)、もしこれが本当なら、二人の別人格というのは、おそらく「崇高なA」ではない、BとCあたりなのかも知れません。

 なになに、自分だけ崇高なふりをするのはやめろ、ですか? 確かにそうですね。

 何も、いわゆる私が、「Aで自分の中心なのだ」とは、言えないですものね。うんうん。


 …度々脱線してしまって申し訳ないですが、それで、その頃、困った問題が起き始めました(結局、それが大学中退の原因になったのですが)。

 何事かと言いますと、どうやら、それぞれの人格で別々に睡眠時間が必要なようだ、ということでした。 

 二度寝した、とかいう生易しいレベルではなくて、一つの人格が6~7時間の睡眠を取り、その後、覚醒するのですが、すると直後に人格が入れ替わって、また6~7時間の睡眠を「体が要求する」のでした。

 ひどい時期は、1日に20時間くらい眠りが必要だったこともありました。


 このままでは人生を棒に振ってしまうぞ、と危機感を覚えて、20代後半くらいまでに散々、いろいろと試しまして、何とか、まともな生活ができる程度までは改善しました。

 紙面がないので、詳細は割愛させていただきますが、ごく簡単に言えば、一人当たりの睡眠時間を減らした、ということです。


 まあ、減らすにはコツがいるのですが、いやむしろ、あるいは、その方法をここで紹介すれば、誰かの役に立つのかも知れませんが、今はやめておくことに致しましょう。

 とはいえ、こんな文章、誰も何度も見たいとは思わないでしょうから、今、ちょっとだけ書いておくことにしましょう。


 一言で言うと、「覚醒しているときの活動でのエネルギーのロス、特に、精神的な葛藤でロスするエネルギーを減らす」ですかね。

 これって、私としては、自動車とか機械とか、そういった物の運転と同じじゃないかと思います。


 例えば、赤信号の交差点で停車したときに、アイドリングストップだとか、アクセルの空ぶかしをしないとか、省エネな運転をすると、結果として給油量、給油に必要な時間、エンジンとか機械部品の摩耗・疲労も、僅かかも知れませんが、減りますよね?

 で、そういった省エネ運転を、とことんやれば、もしかすると、そういった無駄なロスや車検も半分になるかも知れないぞ、と。


 すみません、自動車に脱線するのはこれくらいにして、じゃあ、人間ではどういうことになるか、ですが、非常にたくさんの方法で、あらゆる角度から省エネはできるんですが、ほとんど無数にできるのじゃないかとすら思えますが、ここで無数に書くわけにはいきませんから、2~3だけ書いてみようと思います。


 えーと、脱線、はしてないか。

 どこからでもいいのでしょうけれど、ではまず「善行をなすべきか、悪行をなすべきか」という観点から行きましょうか。


 よく、比喩的表現で、心の中で天使と悪魔が、やるな・やれの押し問答をしている絵を見ますね。


 まあ、そういう場面に遭遇することは、多々、あるのかも知れませんね。

 道で100円拾ったから交番に届けようか、ネコババしようか、とかいったことですかね。

 まさにこの、押し問答が葛藤であり、エネルギーのロスですね。


 迷う必要はありません、ネコババして下さい、あ、間違えました、交番か施設管理者に届けて下さい。


 つまり、「善行をなすか、悪行をなすか」では、何も考えずに善行を成してください。

 何故かというと、それが非常に省エネな生き方だからです。


 善悪を織り交ぜて行動する人は、「あの件では悪事を働いたから発言などに注意しないと」とか、「あの件では善行をしたからアピールしないと」など、いちいち色々なことに気を使って生きないといけなくなるわけです。実はこれは、ものすごいエネルギーのロスになるのです。


 しかし、善行しかしない人であれば、何かの嫌疑をかけられたとしても、何も考えずに、

「知らん、ほかを当たれ」、そう、人生において、何事もこの一言で片付いてしまうのです!

 また、何かの事で褒められたとしても、何も考えずに、

「いつもやっていることだ、気にするな(俺に構うな)」、この一言で片付くのです!


 おや待てよ、もしかして、全てにおいて悪行を成す人も…。


(げふんげふん)、やや脱線しましたが、これくらいにして、今度は別の角度から。


「UFOだとか、幽霊だとか、超能力だとか、そういったものを信じるか、信じないか」という命題がありますね。

「万人が確認できる手段がありませんので、分かりません」これで終わりです。

 あれ、正確じゃなかったでしょうか。

「証明されておらず、否定もできないので、分かりません」これでどうだっ!


 何々、「証明も否定もできない」とは何か、ですと?


 そうですねえ、例えば皆さんにおたずねしますが、私(著者)って、存在するでしょうか。

 え?「どの人格の"私"が著者か?」ですと?


 そんなことは、まさに、私のほうが質問したいところです。


 すみません、かなり大幅に脱線してしまいました。

 また、大変、読みにくい文章になってしまい、申し訳ございません。


 よし、気を取り直して、では改めて、ここまでが前置きだったのですが(え?)、本題に行きましょう!


 本題ですが、え、なになに「お前の仕事について話したいのではないか?」ですと?

 いや全然、そんなことは話す気ないですね。


 本当に申し訳ない、次こそ本題です。


「脱線したところが人格が入れ替わったところ」です。え?(了)

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