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6・更なる定番も試せるかも

 スライムは実験の間一度も瘴気を出すことは無かったが、すべてが順調だったわけでもなかった。


 最初のオマルひとつの時にはまるで問題が無かった。


 そこから量を増やしていく毎に問題が発生した。


「観察用の瓶にスライムがあふれかえってしまいました。どういたしましょうか?」


 ある日そう言ってきたスーケ。非常に触り心地が良さそうなキツネ耳が魅力だ。


「スライムが増えたのか?」


 そう言って記録を見せてもらうと、徐々にスライムが肥大化して分裂している様だった。


 そういえば、川のスライムはそこまで量が多いという事も無かった訳だが、掬ってきて汚物や残飯を吸収させているスライムは当初から肥大化しているんだなと、今更ながらに記録を見て思った。


 さて、増えたからと言って川に戻すのは違うだろうし、今後、実際に街の処理場を建設した場合、増えすぎたスライムをどうするかが問題となる。どうしよう?


 前世のゲームであれば、スライムを倒せば魔核を得る事が出来たが、現実にスライムを殺せたりするんだろうか?


「スライムを殺す事は出来るだろうか?」


 スーケに聞いてみる。


「それは可能です。魔物も生き物ですので潰すか急所を刺せば倒せますので、スライムも核を刺すか潰せば死にます」


 核を潰しちゃうのか。じゃあ、ゲームの様な魔核を得るという事は出来そうにないわけだ。


「ならば、いくらか処分して様子を見よう」


 スーケにそう言って退出させようとして気付いた。


「処分したスライムは河原近くに埋めておく様に。間違ってもその辺に捨て置いたりしては駄目だからな」


 そう注意して退出させた。


 それから数か月、処分したスライムから瘴気が出るなんてこともなく時が過ぎていたのだが、僕が実験場を視察に向かうと、不思議と草が生い茂っている場所が散見された。


 当然、もうすぐ秋なのだから当然と言えば当然なのだが、所々育ちすぎているように見える。


「あの草が生い茂っているのはなんだ?まさか、周りの草が無い所はスライムを棄てた場所とかではないよな?」


 そう、スライムを埋めた場所が不毛の地となるようだとこの街自体がいずれそうなりかねない。瘴気を出さないと僕らが錯覚しているだけで何かあるのかもしれない。


「いえ、スライムを埋めた場所は草が生い茂っているところなので、特に問題は起きていないと思います」


 記録をつけていたスーケがそう言ってきた。


 それならよかったが、まだ調べることもある。


「それは良かった。ところで、あの草が魔物だったり、魔物をおびき寄せると言ったことは無いのだろうか?」


 そう、もし、魔物を棄てると魔物が寄って来るとかだとシャレにもならん。


「それは大丈夫です。以前草刈りをしましたが、瘴気を出したり鳴き声を出す事はありませんでした。もちろん、魔物が寄って来る頻度が増えたという事もありませんよ」


 バルナが胸を張ってそう言う。ところで、それ、記録に載ってないんだが?そう疑問を呈すとニヤァっと笑っていた。まあ、猫だから仕方がないとはいえ、気を付けてもらおう。


「そう言う事も記録をしておく様に」


 はいっと返事は良かった。


 そうか、ならば、後は毒性を調べて特に問題が無ければ定番のスライム肥料にでもしてしまおうか?


 この世界、魔物が居る。コボルトやゴブリンを食べることは無いが、風魔法を使う厄介なイノシシ、ウィンドボアなる魔物が居る。そして、コイツは普通の猪と違って毛の色が薄い事で見分ける事が出来るが、なにせ、味が良いので狩りの対象でもあるらしい。が、風魔法で矢を吹き飛ばされたりするので狩るのは難しいとか。


 酷いのになると火魔法を使う鳥が居るので、コレは要注意だそうだが、早々お目にかかることは無いとの事らしい。


 と、言う事もあるので、たぶんスライムだって毒にはならないと思うんだ。


「あの草を馬や牛に食べさせてみて様子を見ておいてくれ、問題ない様ならスライムは肥料に使えるかもしれない」


 一瞬、ビックリした顔をしたがバルナはどこかへと駆けだしていった。どこ行ってんだろう?


 そんな姿を見送って、実際のスライム処理を見学したのだが、鍬で叩き殺すって・・・・・・


「スーケ、フェケテ、さすがにそれは危ないので核を刺せる道具を作ろう」


 あまりの事に、さすがにもっと効率よく仕事ができるように道具を作ることにした。


 館へ帰って少し考えて見たが、良い考えは浮かんでこない。


「うん、コレでアイスピックでも作ろうか」


 目についた特に使う当てもない魔鋼を練り練りして棒状にしていく。


 アイスピックで良いと思ったが、それだと鍬で叩くより危険行為になりかねない事に思い至り、最終的にはレイピア状に長くなってしまった。まあ、これで安全に作業が出来るだろう。とりあえず3本作って3人衆に渡しておこう。



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