3.伝説の剣、その名も包丁。
しかし、電動エアーガンがそれなりに効力があるとはな。重力が軽い世界ではBB弾ですら凶器になるのか。
……そんなわけ無いよな。重力が軽くなったからと言ってBB弾の威力が変わる訳じゃない、良いところ飛距離が伸びるくらいだ。
俺は木の枝に向かい電動ガンを撃った。一発のBB弾が当たると枝は折れ地面に落ちた。
ハンドガンタイプのノーマルエアーガンにこれほどの威力はない。俺はその落ちた枝を広い折った。バキバキ折れる。まるで発泡スチロールのようだ。そのまま枝がついていた木を殴ると殴った場所から木はポキリと折れた。
脆い脆すぎる。なんだこれは重力が軽いとかじゃないぞ。俺は石を二つ拾いクルミ割りのように二個を擦り合わせ力を込めた。それはクルミよりも簡単にボロボロに砕けた。
最後の検証だ、少し怖いが俺は電動エアーガンを左の手のひらに向けて撃った。
「つっ!!」
痛い、痛いがこれは地球と同じ程度の痛みだ。つまりあの化け物をひっくり返すほどの威力は無いと言うことだ。
考えを少しあらためないとダメかもしれない。
そもそも地球より重力が軽いと大気は惑星にとどまれないとかなんとか言っていたし。そうなると、この世界の重力は地球と変わらない。ただ、生成されているものが地球に比べ弱すぎると言うことだ。この世界では地球産プラスティックが鉄に勝つかもしれないな。
では、なぜ荷物が軽くなったのか。考えられるのは二つ
先ほども言った通り重力が軽い、もうひとつは不思議な力で強くなった。
取り合えず俺の知能で考えられるのはこの二つ。そしてあの白い靄だ、あれが関係あるのかもしれない。
そうなると、俺のパワーアップは後者の理由と言うことになるのか。呪いの力で強くなる。俺の忘れかけてた中二病がうずきそうだ。
まあ、それは置いておいて。この世界では俺はかなり強いと思われる、石すら握って破壊するのだそう簡単に殺されることはないだろう。そしてこの世界は脆い下手なことをすると敵対行動ととられかねない注意しなければ。
それでも、強いとわかればもうなにも怖くない。俺は意気揚々と城の方へと向かった。
そして現在、俺は完全武装をした兵隊に取り囲まれている。
「「「ルミン! ルミン!」」」
兵士に話しかけてもそれしか言わず、何やら俺には理解できない言語で話し合っている。ぶん殴るわけにもいかず困り果てていると、一人の女性が正門から護衛を従え出てきた。
「コンニチハ ワタシハ イルハ ト モウシマス」
「日本語!?」
イルハと言う女性の服は大きな胸がこぼれんばかりに胸元が大きく開けられており、スカートにはスリットが入ってかなりエロい。エメラルドグリーンの髪の毛は自然の美しさを醸し出している。
彼女は俺に挨拶をするとペンダントをかけようとする。なにか危険があるかもしれないので俺は後ろに少しさがるが兵士に囲まれているので逃げ場はない。
「ダイジョウブ デス キケン ナイ」
敵対行動を取って印象を悪くするのも良くないな。まあ、おとぎ話の世界でもあるまいし呪いのアイテムとかでもあるまい、入場許可書みたいなものか?
俺は覚悟を決め頭を差し出した。女性は俺の首に赤く光る宝石が埋め込まれたペンダントをかけた。
「これで話が通じますね、流民様」
「あれ片言じゃなくなった? 流民?」
「はい、そうです。あなたのような別な世界から来た方を流民と呼んでおります」
俺以外にもこの世界に来たものがいるのか。しかしすぐに別の世界とわかるものなのか? とは言え、みんな髪の毛がカラフルだ。それに顔立ちがなかなかに端正で、弥生顔で目が細い俺とは全然違う。それに俺以外にも結構来てそうだし判別するのは簡単か。それにそんなに来ているなら帰る方法もわかるかもしれない。
「なら話が早いです。元の世界に帰るにはどうしたら良いでしょうか?」
「残念ながら、流民で戻られた方は一人もおりません」
うそだろ、もう帰れないの? まだゾンビアニメ全話見てないのに? 全部見るまで死ねないとか言ってたのに? あわよくば二期、三期期待とか言ってたのに?
くそがぁぁぁぁぁ!!
「流民様の心情は察します。それで、よろしければ流民様の今後について話し合いたいのですが、よろしいでしょうか?」
よろしいもなにも、帰れないならこの人たちと友好を結ばないと生きていけない。人は一人では生きていけない悲しい生き物なのさ。
俺は町の中にある兵士の詰め所へと案内された。そこでイルハは俺に、この国の国民になるように勧めてきた。
もちろんそのつもりだ。ただ、国民になるための条件があるのだと言う。
地球の物を王に献上するか、兵士として帰属するかのどちらかだと言う。前者は王が気に入るものでなければダメで、お勧めは後者だそうだ。
もちろんその両方もできる。
「取り合えず、王様に献上で良いですか?」
「何を出せますか?」
俺はバックパックから100均商品をずらりと並べた。他にも本やらなにやらあるがまずは100均で様子見だ。
「こんなにですか! あ、これはもしかして伝説の剣の包丁ですか? しかも鞘までついてるとは。本当によろしいのですか?」
「ええ、構いませんよ。元々献上するつもりで持ってきたものですから」
伝説の剣……。100均の包丁がか? まあ木が発泡スチロール並みの固さだそれもあり得るか。
木と言えばと、おかしいことがある。今、俺が座ってる椅子は木なのだ、あの発泡スチロールみたいな。俺が座ってられる強度など無いはずなのだが問題なく座れている。
「すみませんイルハさん、この椅子壊してみて良いですか?」
「ええ、構いませんが。なにか怒らせるようなことしましたでしょうか?」
まあ、いきなり椅子壊しても良いか(威圧)なんてしたら怒ってると思うわな。
「いいえ、ちょっと気になるので」
そう言って俺は椅子の背もたれを握った。木はバキバキ音を立てて潰れていく。なるほどやはり柔らかいつまり日常生活で使う分には壊れないが、怖そうと思えば俺的には簡単に壊せるわけか。