第1部までのあらすじ
ずいぶん前に中断し、発表をひかえていた「ふつうの人」の連載を再開しました。ひさしぶりに読みかえしてみると、内容が古くなっていました。小説の時代設定は執筆当時の2014年のままにします。あらすじを書きましたが、第1部も合わせて読んでもらえるとうれしいです。
桜木航平は東京でミュージシャンになる夢をいだいていた。飛騨高山の実家の牧場では、航平が作曲したピアノ音楽を厩舎の牝牛に聴かせていた。そんな航平を心配した両親が、岩井好美との見合い話を息子にもちかける。航平はその縁談から逃げ、キーボードを背負って上京した。
航平は東京駅で鷺下純一にスカウトされ、彼の経営する〈バー・ヘロン〉で演奏することになる。キーボード担当者が出演できなくなり、その代役を頼まれたのだ。そこで航平は、専属バンド〈ウォークインジグザグ(千鳥足)〉のボーカルの奥村華と知りあった。
航平の演奏は、バーの客の好評をえた。鷺下は、バンドのキーボーディストの義男と、サポートの航平との演奏対決を企画する。客の投票でまさったほうが、バンドの正キーボーディストになるのだ。
義男はその対決で圧倒的な演奏を披露する。航平は敗北を覚悟した。そんなおり、義男の演奏が暴走をはじめた。ついにはナイフを振りまわし、華に襲いかかろうとする。義男は薬物中毒者だった。
義男は麻薬取締官に取りおさえられ、事態は収拾した。航平は正式にバンドのメンバーになった。〈ウォークインジグザグ〉は、義男の事件で世間の注目をあつめ、SKIミュージックからメジャーデビューが決まった。
2014年の春である。
主な登場人物
桜木航平(23) キーボーディスト。コンポーザー。
岩井好美(23) 航平の見合い相手
鷺下純一(55) 〈バー・ヘロン〉の経営者。コンポーザー。
奥村華(23) バンド〈ウォークインジグザグ〉のボーカル
義男(25) バンド〈ウォークインジグザグ〉の元キーボーディスト
ウッディ(25) バンド〈ウォークインジグザグ〉のベーシスト
どら猫(25) バンド〈ウォークインジグザグ〉のドラマー




