02 巨大スライム
投稿に失敗していましたTT
巨大なスライムと戦う覚悟を決めたものの、有効打になりそうな武器も道具も無い。
「こんなことなら火魔法を習得するまで頑張っとくべきだったか。」
魔素の存在を知ってすぐ、魔法を使えるようになりたいと色々試行錯誤してみたものの、現在魔法が使えない事から結果は分かるだろう。
その練習の中には当然火魔法についてもしたのだが、結果は散々たるものだった。
まず魔素はそのままでは何も起こらない。
もし魔素が集まったら魔法が勝手に発動するのであれば、こんな魔素が充満している場所では様々な魔法が吹き荒れ、何も無い荒野になっている事だろう。
だが魔素は魔法の基となっているという矛盾。
最初はそれが理解できなかったが、魔素を燃料みたいな物と考えたら何となく分かりそうな気がした。
「多分良いところまでは行ったのだと思うんだけどなっと。」
地球でも燃料、例えば発火性のガスの場合で考えてもガス単体では燃えたりしない。
ガスを燃やすにしろ爆発させるにしろ酸素が全くないところでは不可能なはずだ。
ガスと酸素の混合気体に種火というエネルギーが加わることでガスが燃えて火が付いたり爆発したりする。
魔素から火を発生させるには多分火属性にしたものを集めて発火させれば良いのでは?と思い、早速実践してみた。
魔素は体内に取り込んでいるものは容易に各属性に変質させたり、制御が可能だったが、周囲の魔素は周りの属性に影響を受けやすいのかころころと属性が変わるし、集めていてもすぐに拡散しそうになった。
それでも火属性に変質させ易いように焚火を前で集中して魔素を集めて拡散しないように抑えた魔法の基、魔力を集めるところまでは問題なかったと思う。
そこから火の玉を発現させようと試行錯誤していたところで・・・爆発した。
「音も風も無い爆発なんてさすがファンタジー世界ってとこかっと。」
爆風も爆音も起こらなかったがあれは爆発としか言いようが無かった。
何しろ集めてた魔素はもちろん、周囲一帯の魔素もまとめて吹き飛び、一時的に魔素の空白地帯が出来た程だった。
呆然としながら辺りを見てみると焚火は消えており、少し離れた辺りでは木々に火がつき、風も吹き荒れたりと酷いありさまだった。
しかも問題はそれだけでは収まらず、魔素の空白地帯になったところにすごい勢いで魔素が戻ってきた。
まるで地震で引いた海水が津波になって戻ってくるように勢いをつけて戻ってきた魔素が奔流となって襲ってきた。
恐らくその魔素の濃度の急激な変化にさらされたせいか動くのも辛い中、後始末に追われるはめになった。
「でもあれは魔法という事なんだよな?っと」
何もないところに火や風が起こったということは魔法としか説明する言葉が思いつかない。
魔素を集めて魔法が発動する直前の状態、恐らくそれが『魔力』で、それが制御出来ていなかったので爆発に似た現象が起こったのだろう。
だとするとあれは小説とかにある『魔力の暴発』という事になるのだが、あれがもし発動していたら火の玉か爆発かが起こっただろう。
ただ、あの爆発の規模から考えるとどれくらいの被害になっていただろうと思うと今更ながらぞっとする。
「どのみちあれをここで試したくても集中させてくれる訳も無いし、一撃でしとめなければ逆に危ないから却下だなっと。」
巨大スライムへの対抗手段を検討するも、なかなか良い案は浮かばず、その間もこいつは死角から体の一部を伸ばしてこちらを絡めとろうと狙ってくる。
こちらは魔力を込めてたたき返すしかなく、叩き返しても少し凹んで本体に溶け込んで別の場所が伸びてくるという堂々巡り。
ちぎることも出来たのだが、ちぎった塊は動かなくなるものの、本体が触れるとすぐに吸収されてまた攻撃に加わってくるので意味も無いどころか下手に放置していたらいきなり足元から攻撃されかねない。
落下地点がスライムの外側かせめて端っこの方であれば遠くに投げるなりして対処が楽だったんだがあいにくと中心近くで核の方が近い。
「いい加減餅つきには飽きてきたなっと。」
叩き返す感触といい、音といい、まるで餅つきのこねる方になっている気分でどうしても気がそがれる。
だが、こちらもまだ魔力には余裕があるとはいえ、叩き返しているだけなので当然相手にはほとんどダメージは無く、魔力が尽きたら取り込まれて終わる事を考えるともう少し焦るべきか?
「でも、対抗属性の線は使えるかもなっと。」
いつまでもこの巨大餅つきをしていてもらちがあかないので早速魔力の属性を色々変えて反応を観察してみた。
結論から言うと火属性が苦手属性なのか吸収されづらく避ける傾向があり、更に魔力を込めると白煙を出しながら溶けていった。
地属性と風属性はあまり変わりは無かったが、水属性に至ってははじくどころかくっついて来たので慌てて手を引っ込めた。
「とりあえず方針は決まったなっと。」
水属性以外の魔力を表面に纏って、それも面積を広げるため掌打を素早く連打・・・って簡単に言えば相撲の突っ張りの事なんだが。
そういえば相撲って限られた狭い空間での格闘技では結構強いらしい。
某格闘ゲームでも張り手の弾幕には飛び道具が無いと苦戦させられたし、あれを参考にやってみますか。
「オラオラオラオラ・・・」
別の漫画のキャラのような声と共にスライムの体を押しのけるようにジリジリと進む。 核に近づく程に抵抗も激しくなり、進みが遅くなって行くが、何とか手の届くところまでたどり着いた。
後はこいつを・・・
「取ったど〜!!」
どっかの芸人のような雄たけびと共に火属性の魔力を込めた手を突っ込み核を引っこ抜いた。
もちろんスライムの体に触れない様に引きはがし、核についていた残りもこそげ落とした。
「これで終わったか?ってやばっ!」
フラグのような言葉を呟いてしまってから慌てて核を観てみたが、幸い動く様子は無かった。
核には結構な魔力が残っており、死んだわけではなさそうなので、恐らく植物の種のように休眠中なのだろう。
とりあえずまたこいつと戦うのは面倒なので水や水属性の魔力に近づけない方が良いだろう。
「下手に壊そうとしたら何が起こるか分からないしな・・・」
面倒な事は後に回して今は疲れたのでゆっくり休みたい。
そもそも火属性魔力で爆発だとしたら、水属性魔力の塊のこいつが下手に魔法が発現したら大洪水とか起こるんじゃないか?
しかも周りには水属性魔力がたっぷりなスライムの元本体が残っているし最悪こいつが何体にも増殖してしまうんじゃ・・・。
「って、崩れてきている!」
制御する核が無くなり、形を維持できなくなったスライムの体がゆっくりとだが、確実に押し寄せてくる。
「これに核が触れたらまたやり直し?」
どうやら昼寝はまだできないらしいと諦めながらここを乗り切る方法を探し始めた。