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12月17日。
”きみさえいればそれだけでもういいのに”
あなたは唄う。
午後6時、吐く息が白く煙る12月の空の下。
空にはすでに星が映っている。
誰に宛てた言葉なのかも知らない。
わたしは今日も、あなたの前で足を止める。
駅の階段を降りて、外に出ると並んだ木々の全てをを小さな光が形どって輝いている。
そしてその先にいつもあなたは居て、静かにギターを響かせている。
12月17日。街はクリスマス色に溢れていて、どこからか聞こえてくるメロディーはいつだって鈴を鳴らす。
あなたの声を掻き消すように。