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恋の四つ巴交響曲  作者: jun( ̄▽ ̄)ノ
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第六章 道化小春は許しません 

小春、黙ってられない様相

 心に引きずる不快な未練。左手にマイクを持ち、右手にぎって歌いたくなる心。そういうのが小春の胸にあった。ちょっと前、ヤラカシターで彼女募集とかいうのを見かけた。中津井悠とかいう年下の男子がやったこと。


「モテないって気の毒ね、お悔やみ申し上げたくなるわ」


 とか思いながら誘いに乗った。気の毒な男子を救済するって意識で、まちがっても自分が色付いたサングラスをかけたいってわけではなく。


 会ってみたらまぁまぁかなと思った。だから話を進めてみて、つき合うって方向で会話。喜んだ悠は自分の家の住所に電話番号を教えた。でも保険やってた事がバレてしまう。


 小春は悠をフッた、悠は小春にフラれた。それで終わり。

 

 のはずが……


「ムカつく、なんでわたしが」


 小春は粘着質な女になってしまう。中津井悠なんかサイテー! 死ねばいいのに! とか思って、実際「死ねばいいのに」と口にしたはず。なのに納豆のように糸ひく未練がある。


 ムカつくと思う奴のつぶやきを見張る。ちょっとしたストーカー。中津井悠が、ほんとうに他の女子と結ばれるのかどうか。気にしてどうする? と思いながら、一方では気になって夜も眠れない。人形をサンドバッグにしたいくらい腹が立つ。


 しばらく、これといって色ボケしたようなつぶやきはなかった。もしかしたら他の女すべてとアウトになった? そう思えばガッツポーズ。でもある時から、チラホラ他に3つのアカウントと小さく会話したりするのが見えた。こっそり隠れているようだが、見えるモノは見える。


「まさか彼女ができた?」


 その疑いが、まさか3人とつき合ってる? と発展して怒り心頭。比較すれば地味で、モテそうにないやつがハーレム? 小春の手がワナワナ震える。かといってもう縁はない。今さら「浮気者!」とか言っても筋は通らない。


「なんでわたしがこんな事を……」


 言いながら探偵もどきになった。気になると粘着度の上がる女。朝と夜、悠の家をこっそり見張るような事を始める。バカらしいと思ったらそうでもない。変に身を結んだ。

 

 彼女がいるならいっしょに登校するかも? と考えいたのだが、女子高生らしいのが朝っぱらから悠の家にやってきたと見る。家の中に入ったからおどろき。まるで別居している妻みたいな雰囲気だったから。


「う~ん、なんか胡散臭そうな女ね」


 そう思った小春。その女子高生は、まったりな微笑みを繰り返していたが、実はしたたかでしょう? 的なモノを感じた。


「中津井、後2人彼女がいるとか?」


 考えた小春は意地になった。世間一般からは、他にやることないのかよ! かもしれないが、ジッとストーキングやって次の女を目にした。


 こんどはえらく背の高い女。大物っぽく、さっぱりした笑顔も印象的。だがその実、もしかしたらガラスのハートを持っているかも的な印象あり。


「イタそうな女だこと」


 見下す。比較すりゃ自分の方がいい女って。こうなると3人目も見てみたいとがんばる。そしてのけぞりって感じでおどろいた。


 ゴーン!


 お寺の釣鐘にヘッドバッドしたみたいにショック。制服や幼げな顔からして女子高生ではなく女子中学生と理解。だから目線が吸い寄せられる。


「なんて巨乳なの……中学生でホルスタイン?」


 火照った小春の目には、モォ~と元気な乳牛のデフォルメが浮かんだりした。いまどきはめずらしくないのかと思いはしたものの、やわらかそうな豊満に怒りが湧いて尾行。聞き耳を立て会話を拾う。


「明日も朝の4時に来るからよろしくなの♪」


「いや、来てもいいけど……」


 悠はほのかが部屋に来てベッドにまで侵入する事を、とっても嬉しいながら困った事としている。


「悠、これはスキンシップなの、大切な事だと思うの」


 ほのかが言うと巻かれてしまう。よく長いモノには巻かれろと言うが、ここではかわいいモノには巻かれろだ。巨乳には巻かれろっていうのもあろうか。


 そういうのを聞いて小春は左手を額に当て同様。クラクラっとして、悲劇のヒロインみたいにバッタリ倒れてしまいそう。


「朝の4時? スキンシップ?」


 青ざめる小春が数学のように組み立てていくと、高確率でエロい事が浮かび上がってくる。朝の4時はアサガオで、スキンシップは……とか。


「中学生のくせに巨乳とかハンパなくムカつくわね」


 怒りの矛先が男子ではなく女子に向いた。小春は大急ぎで帰宅。早々に寝る。あの会話通りなら巨乳は朝の4時に中津井家。そこを捕獲しいおう。小春はそれを、メスブタ捕獲計画と心の手帳に書き留めた。


 翌朝。というより夜中。


「バカっぽい巨乳のくせに早起きが得意とか」


 眠気を抑えながら身を潜めている小春がいた。午前4時ごろ、ようやく待ち人が到来したら動き出す。自転車が一台、悠の家の前に止まる。門を開けるため、自転車から下りた女子。


 いまだ! 


 まるで虎のように構えていた小春が飛びついた。後ろから口を塞いで捕獲、電柱まで引っ張って行く。


「ふむぅむんぅ」


 動揺している女子。手を離したら爆弾のように叫ぶだろう。


「まぁまぁ、おちつきなさい」


 口を塞いだまま反対側の手であるモノを取り出した。わたしとの会話が終わったら外してあげるとか言いながら、女子にひも付きの首輪をかけた。叫ばないでよ? と念押ししてから口ふさぎを解除。


「お姉さん誰?」


 女子はおどろき年上の女を見る。


「中津井の彼女になろうと思って成り損ねた女よ」


 憎らしいとばかりヒモをクイクイ引っ張る。


「そんな事されたらメス犬みたいな気分になっちゃうよぉ」


 ほのかは困惑しながら顔を赤め恥らう。


「あなたいくつ?」


「中2で~す」


「おっぱいどのくらいあるか教えなさい」


「いきなりそんな質問されるのはおかしいの」


「余計な事は言わない」


 グイっと強くヒモを引っ張る。女子が軽く窒息。


「Eカップ……」


「やっぱり! 思った通りDカップ超えなのね」


 いま一瞬、左手でビンタしたくなった。右手はグイっとひも強く引っ張りたくなったが我慢して話を始めた。何がゆえに悠を喜ばすのか、なぜ自ら喜んで中津井悠の妻になるのか。


「妻じゃないよ、家政婦なんだよ」


「そういう細かい所はいいの、早く質問に答えなさい」


「だってそれはぁ……」


 ほのか、ほんのり赤い頬に両手を当て語る。大キラいな退屈は退治できるし、悠に選んでもらいたくがんばるのも楽しい、それで他者を打ち負かして選んでもらえられば愛の営みに発展。


「愛の営み?」


「うぅん、わかってるくせにぃ」


 モジモジして小春を見る。


「まったく盛るメスブタ」


「そういう言い方はひどいと思うの、同じ女同士なのに」


「私は、年下のくせに乳がデカいってキャラは許せないのよ」


「神さまがプレゼントしてくれた物なんだよ、受け入れるしかないの」


「あなたは私の質問にだけ答えて、喋るとマジでムカつくわ」


 怒る小春は問うた。もし悠が他の女を選んだら、それは捨てられるのと同じ。普通の女は耐えられない、そんな酷い事を悠はやっている。あなたは選ばれなかったらどうするのか、その辺りを聞かせて欲しいわと迫る。


「選ばれる自信あるもん、悠はおっぱい星人で私は巨乳、結ばれるべき2人」


「それでも必ず選ばれるとは限らないでしょうが」


 怒った小春にヒモをグイグイ引っ張られる。するとほのかは急に表情を変え、選ばれなかったら潔く諦めるよと述べる。


 やるだけやってダメだったら、その時は執着なんかしないで、他に新しい幸せを見つけるための努力をするとか言う。突然に出た意外な感じ、思わず小春は面食らった。


「バカのくせに真面目に考えてたりするんだ?」


「バカだけど愛に生きるんだもん」


 訴えるような目。


「ふん、おっぱいが大きいしか取り柄がないくせに」


「ちがうの、それだけじゃないの」


「何よ」


「大きくてやらかいおっぱいなんだよ、それすごく大事なの」


 一瞬絞め殺してやろうかと両手が動きかけた小春、でも年上の女に必要な寛容で水に流した。一つだけ条件を付けて。


「あなた、Eカップのおっぱいがどういうモノか見せなさい」


「ダメだよぉ、外でやったら捕まっちゃうよぉ」


「誰も脱げとか言ってない」


 胸元を覗き込ませろと指示。つまり、おっぱい星人ってバカな男が身を乗り出すような絵。


「お嫁に行けなくなっちゃう……」


 ほのかが開いた。小春は、気持ち急く男子のように覗き込む。上から見る年下のそれは、大変に恵まれたボリュームでブラのカップと相成って小春の目をクラクラさせて止まない。息づく悩め香しさハンパない。


「ついでよ、少し触らせなさい」


 興奮した小春は、言うと同時に服の上から揉む。本人が自負するだけあり、たっぷり・しっかり・やわらかい弾力。あまりにも気持ちいい手触りだから意識が飛びかけてしまった。


「あ、あなた私のペットにならない?」


「なるわけないの、お姉さんが言うと全然笑えないの」


 ほのか、首輪を指差しアピール。早く外してと子猫のような目。外してもらった大きくニコっとしてバイバイと小さく手を振って、それから中津井家に入っていった。いたって当然の事って感じに。


 小春は電柱にパンチしたくなった。自分を裏切った中津井悠がエンジョイ生活。こんな事あっていいんだろうか、いいわけがない。


「中津井め!」

 

 まだまだうす暗い通りの中、女子大生が怒りに満ちて月を見上げていた。


    ***


 以前のある日。小春は友人から合コンに参加しないと誘われた事がある。初めてではなかったので、慣れたように即答で否定。


「遠慮するわ」


「小春、彼氏が欲しいと思わないの?」


 友人は色っぽい会話をしたい様子。。


「合コンなんか非効率なのよ、正直言えばウザいわ」


 その理由を人数が多すぎるからだと言う。飢えた男女が同空間に大量に居合わせるのは、交尾したいブタがブーブー鳴いているようなモノ。時間と体力を消耗だと皮肉一杯の口調。


「2回ほど合コンに参加したけど消耗するだけ。かったるいわ」


 苦々しいと訴える面持ちでコーヒーのカップを口に当てている。すると対面している友人が恐る恐るって雰囲気にて口にした。


「もしかして……」


「何よ、言いなさいよ」


「いや、小春って少しワガママなのかなと思って」


「この私がワガママですって?」


「あくまでも可能性の一づだから気にしないで」


 違うかな? 言うべきじゃなかったかな? と冷や汗な友人。小春に睨まれると、白いヘビの赤い目に見つめられ動けないネズミになったような気分。話の矛先変えなきゃ、焦った友人は両手を合わせてにっこり。


「ソーシャルサービスって何かやってる?」


「急に何?」


「ヤラカシターとかの類、あれで恋人作るとか本当に出来るのかなと」


 それ聞いて小春しかめっ面。全力で否定してけなした。あんなのこどもがやるもの、ちょっとでも大人の脳みそを持ってたらやるわけない。あんなモノにすがるくらいならカラオケで演歌で熱唱するがマシと口調も荒々しく。


「小春って否定形が多いなぁ。もうちょい肯定的かつ大らかに」


「ふん、肯定しただけで明日が変わるわけじゃないわ」


 小春はテーブルの上に立てた左腕に頬杖。あなたは今まで、何回くらい合コンに参加したんだっけ? と問うた。


 友人、気恥ずかしそうにもごもご。だから小春が言ってやった。24回だったよね? と。以前に聞いてあきれた記憶あり。


「それで彼氏は出来ましたか?」


「出来ないから25回目にトライするわけじゃん」


「よくやるわね、感心するわ」


「行動しておけば一応は納得できるって気がしない?」


「分からなくもないけど」


「じゃぁ合コンに来る?」


「遠慮する」


「彼氏とか欲しくないの?」


「相手は欲しいけどムダな努力はしない主義」


「なんか小春って寂しいよねぇ」


「余計なお世話、そういう事は言わないで」


 不機嫌な顔をして立ち上がった小春。口にはしていないが、バカにするな! って友人に怒ったことは明らか。友人はスマホを取り出しつぶやいた。恋人が欲しい。青春したい。大人とかいう年齢になる前に、甘いレモンティーに堪能するような恋をしてみたいとかなんとか。


小春とほのかの絡みは書いていて楽しい

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