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恋の四つ巴交響曲  作者: jun( ̄▽ ̄)ノ
3/13

第三章・琴美はスゥイーツっぽい女子

*一話の冒頭「キャスト」の欄で「音川琴音」って書いてましたが、これは琴美ちゃんのお母さんです。ヒロインは琴美ちゃんです。

ごめんなさいです。訂正しました。



 琴美ちゃんががんばってくれます!

 

 今日は出だしアツい一日。朝の事は後にするとして、とにかく悠が急いで学校から帰ってきた。


 玄関のドアを開けると琴美のクツがある。わぉ! とか言うより先にドキドキする。一足先に学校終えた琴美が来ている、悠は自分の家なのにキンチョー。ちょっと声が震えてしまった。


「ただいま」


「おかえりなさい」


 琴美が出迎えてくれた、まったり甘い笑顔で。マシュマロかマカロンのやさしい笑み。彼女は悠より悠の家に近い高校に通っている帰宅部。というわけで悠より早く家にたどり着くという寸法。


 上がった悠、琴美が応接間の掃除する気なんだろうを見る。聞けば母の許可はもらっているそう、やる気満々だ


 母さんは片付けがヘタクソだからなとぶついて、階段を上がろうとしたら後ろから言われた。先に悠のルームを簡単に掃除したと。


「悠」


「ん?」


「人に見られて困るモノは、もうすこし上手に隠さないと……ね」


「み、見たのか」


「なんなら一緒に隠す場所を考えてあげようか?」


 ニコっとスマイル。悠は恐る恐る聞いた。こういうの怒られるんじゃないの? と。さすれば、いまさら怒っても必要ないでしょう? と返される。そして、最後は私に到達すれば良しと言われる。甘いけど、少し首筋がゾクっとしたかもしれない。


「き、着替えてくる」


 悠は先に言うべきことがあった。でも急いで部屋に駆け込む方をとってしまう。そこはもう、朝の散らかりようとは別物。


「掃除してもらったんだなぁ」


 ユメみたいな気持ちでつぶやいて、机の上に積み重なっているモノを見たら現実。隠すのやり直し! って言われているみたいだ。いや、多分そうなんだろう。


「掃除されても見つからない場所ってどこなんだ?」


 つぶやきクローゼットの中に放り込む悠。単純、そして深呼吸。


 カバンの中より弁当箱を取り出す。琴美が作って渡してくれたモノ。早起きして作ってくれて、わざわざ自転車に乗って家に届けてくれたって。


 フツー考えれば、ここまでされたら結婚するしかないじゃないかってレベルかもしれない。


「その、ありがとう。とてもおいしかったです」


 テレくさそうに言って空っぽの弁当箱を洗う悠。


「全部食べてくれて嬉しい」


「そりゃぁ食べないと罰が当たるじゃん」


「いずれは私のことも……」


「ん?」


「ううん何でもないわ」


 にっこりとした微笑み。弁当箱を洗い終えて返すと、部屋の中を巨大なハートマークが包んでくれているよう。色ボケかもしれないが、悠はそういう想像におぼれた。


     ***


 次の日。ザーザー降りの午後。天気予報を軽んじ報いを受ける悠がいる。


「ちくしょうめ」


 自転車で台風に突撃するリポーターみたいだ。ここまで激しけりゃ傘は役に立たない。それに危ない。潔く濡れる男らしさも必要。


 家についた頃には、髪の毛も制服もズボンもパンツもドップリ濡れて家に到着。全身雑巾、そこに待っていた琴美が出迎え。


「たいへん、すぐにおフロに入って」


「おフロ?」


「もし悠が傘を持って無くて雨に濡れたらと、一応入れておいたの」


「すごい、なんて気が利くんだ」


 アニメのような想像。パーッとまぶしいバラ色。目を輝かせるような絵。それくらい感激し、すぐに洗面所に入って鍵をかけた。

 

「琴美に彼氏がいないなんて、キセキってあるんだなぁ」


 言いながらビショビショの服を脱ぎ捨てた。浴室に入って温かいシャワーに飛びつく。からだと感覚を覆っていた不快感が消えていく。


 そこにコンコンと音が。洗面所のドアをノックしている音だ。どうしたのと聞けば、必要なモノを忘れているとか言う。仕方なく洗面所のロックを外してからすぐ浴室へともどる。何も考えずシャワーの前に立ったのだが後方から声。


「悠、体を洗ってあげる」


「ぇ?」

 

 おどろき振り返れば浴室のドア。薄っすら透けて見える向こう側には水着姿の琴美の姿あり。浴室内の明かりに頭を殴られたような気がした。


「み、水着って?」


「こういう事もあろうかと備えておいたの、万事が備えだもの」


「こっちは気持ちが備えられてない」


「もう水着なの、仕事させて」


「じゃぁ……背中、洗ってもらおうかな」


「うん、分かったわ。真心を持って尽くすわ」


 ガラっと扉開く音。衝撃、自宅でこんなことが発生するなんて。自分を打つシャワーを止めた悠。目の前の大きなカガミでチラッと確認。


 琴美が本当に水着、ワンピース。案外胸がある方。なかなかだとか見惚れると少しヤバい。日常で堕落するいけない感じ。


「今から背中を洗うね」


「よ、よろしく」

 

 という事をしてもらい始めた。鏡を見ても自分の後ろにいる琴美の髪の毛や顔の一部しか見えなくなる。後ろから伸びてきた手。洗ってもらう時間。気持ちいい? とか言われたら胸が熱い。


「では背中を流すよ?」


 言って優しくお湯をかけてくれる。風呂場=ラブラブ。で、悠は思う。琴美は? 琴美はどうするの? 


 女の子は甘い声で、自分はシャワーするだけでいいよとか言う。けど風邪を引かれては困ると悠は返した。湯船に浸かって背中を向け「紳士」という2文字宣言。どんなに見たくても、悪魔がささやいても紳士たる意思表示。


「じゃぁ、軽く」


 で、しばし静かな風呂場。見たい、でも見てはいけません。悠は紳士を継続させた。ふだんの3倍速くのぼせても耐えた。ボーっとなりながら、水着が似合っていると感想を差し出したりした。


「本当はビキニにするつもりだったんだけど考えたの」


 琴美が湯船のヘリに手を当て、ジッと悠を見てつぶやくのだった。最初からビキニにすると後が無くなっちゃうでしょうと、クスっとかわいく。ゆっくり魅せたいから察して欲しいなとやわらかい雰囲気。


 しかし悠は会話たのしむ余力がない。後は琴美一人でゆっくり浸かってと立ち上がった、が、フラフラで滑る、ガンと浴槽で頭を打つ。都合よく気を失ったりはしないものの、あせった琴美も足を滑らせた。そのまま2人で浴槽に沈んだりするくらいはやった。


 ☆ 


 夕飯。琴美も一緒に4人で食事。一人ふえた以上の変化が生じていた。


 悠が思うに琴美は雰囲気を心得ている。和むという言葉がこの場にあるのは彼女による所が多いと感じずにいられない。


「天気予報を甘く見た悠が悪い」

 

 母が怒っている。一緒にお風呂に入った事というより、琴美に気を遣わせてどうので怒っている。本当ならに怒る位置がちがうのだろうけど、いまの息子はホッとする。


「私は全然気にしていません、怒らないでください」

 

 おっとり湯呑を両手に持つ。四方八方へ心を配るのが家政婦の務めとか口にし、悠のお世話を心得ている者のよう。


「悠の相手なんてもったいないわ」


「いえ、私は自分を心得ているだけなんです」


「そうなの?」


「悠と相性が合う事はまちがいありません。こういうことはフツーに出来てしまいますから」


 琴美と母、女同士の会話。横からわりこめない悠は黙る。しかたなく、口数を減らすかわり過去映像のプレイバックさせた。たのしさといけない感覚の協調。たいくつな日常に咲いた花ひとつ。


「きょうはどうもありがとう」


 泣きやんでいる夜空の下を歩く2人。悠は途中まで琴美を送って行ったわけであるが、バイバイ! と、言った少女と別れたら……急になにかのしかかってきた。


「なんだろう……」


 さみしさなのだろうか。たのしさの反動なんだろうか、疲れたようなさみしいような、床を這いずるような何か。胸の左側に、ちっちゃい穴が開いたような感じ持って家に帰った。


     ***


 ここはとある高校。夕方になって下校せんと一人の女子が靴箱の前にやってきた。そこに別の女子がやってくる。ゴシップ大好き! みたいな感じで騒ぎたてる。


「琴美、聞いた?」


「どうしたの?」


「有川がラブレターもらったらしいよ」


「ラブレターかぁ、いいわね」


 うっとりしたような目を見せ、中からとり出したクツに穿き替える琴美。となりの友人は、なんで有川がラブレターもらえるのかなと、にくたらしそうな顔してる。。


「ダメよ、そんなひどい事は言うもんじゃないわ」


 やんわり釘を刺し、嫉妬するキモチも分かると少し思いやる表情。怪しげな女子みたいな雰囲気。琴美のそういうオーラに友人は突っ込んでみた。


 琴美は男子に不自由しそうな気がしないとか、実は7人の彼氏がいるんじゃないの? などモロモロ。


「そんな、モテる女ってわけじゃないわ」

 

 クスっと笑ったりして、小学生の時からずっとモテるなんて縁がなかったと言う。でも大切なのは自分を心得ることだったとも笑み。


 何事も時期。旬という言葉あり。おそらく今くらいからそれが始まるんだと述べる琴美。風に吹かれる髪の毛、相変わらず雰囲気あるなと思う友人は、もう少し会話続けようとファーストフードの方にウインク。


「そうだね、お茶していこうか」


 同意した琴美、相方といっしょに赤色と黄色が目立つ看板へと向かっていった。

 琴美ちゃんは書いていて楽しいけど難しいキャラ

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