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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

汚泥の天使

作者:はまゆう
最終エピソード掲載日:2026/02/28
 野上繭、二十九歳。東京の安アパートに暮らす、どこにでもいる女。
 三年間、彼女は藤堂勲の世話をし続けた。七十二歳の元官僚。亡き妻への一途な愛を守り続け、清廉潔白と評判の老人。週刊誌は彼を「昭和最後の紳士」と書き、近隣の老人たちは彼を「聖人」と呼んだ。
 繭だけが、知っていた。
 あの善意の底に、何があるかを。
 藤堂の慈悲は美しかった。しかしその美しさは、繭を永遠に「哀れな弱者」という檻へ閉じ込めるための、世界で最も洗練された暴力だった。彼は繭を、自分と同じ人間として一度も見たことがなかった。
 だから繭は、計画を立てた。
 藤堂が守り続けた清廉なキャリアを、性的異常者の末路に書き換えること。亡き妻への純愛を、偽善の仮面として暴くこと。「聖人」の死体を、汚泥の底に丁寧に沈めること。
 共犯者は小川。同じ施設に出入りする、欲望を隠す気もない中年女。繭は彼女を利用しながら、自分が少しずつ小川と「同じ肉塊」になってゆくことに、気づかないふりをし続けた。
 そして藤堂勲は、死んだ。
 復讐は、完成した。
 しかし野上繭の内側にある重くて粘ついた「何か」は、一グラムも減っていなかった。夢の中では、老人がいつも同じ姿で現れる。血も涙も流さず、ただ穏やかに微笑んで、繭を見つめるだけの幽霊が。
 怪物は、どちらだったのか。
 天使は、最初からどこにいたのか。
 悪女の内側を描いた心理サスペンス。全四章・短編。
第1章 供物の値踏み
2026/02/25 23:36
第2章 解体の作法
2026/02/26 23:02
第3章 泥の聖餐
2026/02/27 15:06
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