表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/95

流れる時代 ― 混沌

仲間たちの胸に去来するものは、それぞれ異なりながらも、ひとつの記憶へと収束していく。

そして、長い旅路の途中で――ひとりの男が、封じてきた過去と向き合おうとしていた。


見渡す限りの大自然。

その合間に、人の建造物が目立ち始めた頃――何時しか、大きな流れが動こうとしていた。


セシルは大きな影の前に立つ。


「獣人か?怪物の噂を聞いてわざわざ来てみれば……興醒めだな。」

この当時、リバースという総称はまだ存在せず、異能の存在は怪物伝承として各地に語られていた。


セシルが一歩踏み込み、獣人の胸に拳を突き上げる。


「ドドーン!」

怪物は爆ぜるように宙へ浮き、そのまま足元へ崩れ落ちた。


「フン。噂ほどでもない。たかが人の三、四倍程度の腕力しかないとは……。」

眉一つ動かさず、獣人を倒してのけるセシル。


微かに生き続けたネアンデルタールの血統の突然変異。

変異理由は――ウィルスか、放射線か、宇宙規模の介入か?

それは分からない。


しかし、それはリバースの枝葉の始まり――獣人伝説の始祖であった。


セシルは丘の上に立ち、遥かな人里を見つめる。

時代は動いていく。


リュイヌ公が病に倒れたのち、ルイ13世は国務会議による統治を始める。

しかし治安は定まらず、戦争は続いていく。


気まぐれに眺めるように、セシルの目は時代を見つめていた。

興味があるわけではない――永遠という流れの中の、ただの風景に過ぎない生命の歴史。


人は瞬く間に老いる。

死する前に子を残し、紡がれていく。


半面、戦争は続く。

理由なき同族の殺し合いは終わらない。


不死ゆえに「生きる」ということが理解できない。


それでも、時代は流れていく。

四歳にしてルイ14世は王位に就くが、争いが終わることはない。


たった数十年、王が変わろうと戦が起きようと、セシルには同じ景色にしか見えなかった。


17世紀後半――やがてスペイン継承戦争が始まる。


そのころ、セシルはフランスを離れ、イギリスを放浪していた。

愚かと蔑む生物――人間が、なぜここまで気になるのか。

セシルの頭の片隅には、もう何年も前から疑問が浮かんでいた。


不死の命ゆえの戯れだった。

セシルはその長き営みの途中で、人の書物を見つける。


書かれていたのは――

神が天地を創造し、アダムとイブが人の始祖だという記録。

ノアの箱舟……。


「神だと?この世界を作っただと?」

書物を握るセシルの手が、紙を裂きそうなほど強くなった。

「――とんだ戯言だ。」


「なら、私の存在は何だ?」

セシルの紅い目が、悲しみとも怒りとも取れない炎をともす。


しかし、それを期に――

セシルはその書物を起点として、手当たり次第に古文書、科学書、哲学書などを読み漁り、無限の時間を書に沈み、その先で“人という存在”の謎へと迷い込んでいった。


「不死 ― 生命」へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ