オメガワン ― 大空へ
夕闇が剣の町を包み、静かな気配が山間に満ちていく。
仲間たちはそれぞれの想いを胸に、新たな旅路へ踏み出そうとしていた。
剣の町に夕闇が舞い降りる頃、山間部は静かな胎動を響かせていた。
結界で封鎖された空間――目には映らぬが、慌ただしさの感覚が漂う。
アリアがセシルと金長に告げる。
「小隊配備完了。装備の確認、全てオールグリーンです。」
ただ、呆気に取られるルクジム、ヌエ、アカ。
「三人共、達者でのう。ヌエをよろしく頼むぞ。」
金長がセシルとルクジムに告げる。
ヌエは深く頭を下げた。
「長、御身の御恩、必ずやこの旅で報いて参ります。武人として、異国の武道を見聞して参ります。」
「……離陸、いつでも可能です。」
アリアが静かに告げる。
「ありがとう。」
セシルが短く返す。
「スーマ様、コクピットにご案内します。」
アリアがスーマを連れてタラップを上る。
「なあセシル、シスターは何でスーマだけ“様”呼びなんだ?」
ルクジムがぼそりと言う。
「私にも分からないことはありますよ。」
セシルがニヤリと返す。
(恐らく、バレン卿との因縁から来ているのでしょうね……。)
タラップをスーマと楽しそうに上るアリアの姿が見える。
「なあアリア。おめえキャラ変わってねえか?」
スーマが画面に“?”マークを映し出す。
「そんなことありませんわ。」
だが、任務前の緊張が解けたのか、どこか声が柔らかい。
オメガワンの双胴エンジンに青白い火が灯り、重低音の唸りが山間の岩肌をわずかに震わせた。
暖機が始まり、機体の黒銀が夕陽を反射する。
やがて、巨体がゆっくりと浮上し、結界の光を切り裂いていく。
その瞬間、剣山の空に新たな旅路の軌跡が描かれた――。
パウラの日記
20××年 11月27日(木)
最近、日記をサボってました。
でも最近、町が妙に静かで……逆に落ち着かないよ。
相変わらず、ルクジムさんもセシルさんも連絡来ないし。
古書店に掃除に行くのも飽きちゃったよー!
早く帰ってきてください。
「黒曜の翼 ― 世界へ」へ続く。




