オメガ・ライン ― 新たな力
戦いの余韻がまだ残る境内に、思いもよらぬ来訪者が現れ、
物語は静かに次の段階へと歩み始める。
邪気が霊気に阻まれ、地表へと吸い取られていく。
四国を見下ろす阿波の山間部に、不釣り合いな巨大な影が潜んでいた。
スーマが静かに語り出す。
「この輸送機は Ω1(オメガワン)。そしてミラたちが所属するのが――**オメガ・ライン(Omega Line)**だ。」
「オメガ・ラインは俺様の発案で、レルバドール財団が出資して設立された非合法組織。私設特別警備警護対策班だ。」
スーマの画面がピカッと光る。
「レルバドール財団! イギリスの名家財閥じゃないか! なぜそれが?」
セシルの困惑が伝わる。
「俺様がある人物と相談して出来上がった。」
スーマがキメ顔で言う。
「スーマ……まったく話が掴めないのだが?」
セシルの声に苛立ちが滲む。
「その人物は――イギリス貴族、レルバドール財団第一後継者、アリア・レルバドール。」
スーマがそう言い放った瞬間、タラップからもう一人の影が下りてきた。
「お久しぶりです、御二方。それは私です。」
映し出される懐かしい顔。
「――シスター・アリア‼」
セシルとルクジムが同時に声を上げた。
戸惑いと驚愕が交差し、思考が追いつかない。
ヌエが怪訝な顔でアカに囁く。
「輸送機だの財団だの、貴族だの……話が、一気に遠い世界に飛んだぞ。」
熱くなりかけた頭に、優しい風が通り抜ける。
一呼吸おいて、スーマが続ける。
「あのグレイヒルでアリアの幻術を解き、記憶をスキャンした時に俺様はこの事実を知った。」
「その時、この計画を思いついた。オッサンに言えば反対されるのは分かってたんで、密かに連絡を取って進めてたんだよ。」
スーマは画面で目を閉じる。
「本当はもっと早く組織したかったんだが……。」
「スーマ様、そこからは私が。」
アリアが話に入る。
「耐性があったのか、二度目の幻術は掛かりませんでした。スーマ様はそれを知って私に連絡をくれたのです。」
「我らの財源で世界が救えるなら、迷うことなど何もありません。」
空を見上げるアリア。
「私は皆さんの一添になりたいという思いと、家柄に縫い付けられた生活が嫌で修道女になりました。」
「幸か不幸か、この世界に踏み入り、あなた方に助けられた。」
「どうか、私の出来ることをさせてください。」
その決意は揺るがない。
……。
「言葉もない……全て見透かされ、置いてけぼりを食ったような感覚ですな。」
セシルがため息交じりに言う。
「危険なんだぞ、シスター。いいのか?」
真っ直ぐにルクジムが問う。
「はい。」
目を逸らさず答えるアリア。
「話の腰を折るようで悪いがのう。守護を任せろと言われても、お前さん方で守れるのかのう?」
金長の心配は当然だった。
「それでは、我らの戦力を説明いたしましょう。」
アリアが金長に語る。
――オメガ・ライン、その実力は如何なるものなのか?
ベールが、今、明かされていく。
「オメガ・ライン ― 実力」へ続く。




