最終決戦 ― 合流
絶望の闇に押し込まれる戦場。
疾風のように駆けつけたヌエとルクジム。
大地の轟きが闇に吸い込まれ、山間の冷たい空気は戦場の熱に押されて上昇する。
絶対不利――それは窮地ではなく、勝機への布石。
「ゴチャゴチャと戯言を並べるな!」
バイパーの吐き捨てる声に、かつての余裕は消えていた。
「なぜ、攻撃をしないのですか? 図星でしたか。」
セシルが皮肉を込めて返す。
緊張が空気を裂くように沈黙を走らせる。
スーマがセシルにそっと囁く。
「事実が分かっても、あのデカブツを何とかしねえとジリ貧だぞ。」
「そうですね……。しかし、あの仮面の男に無条件で物理攻撃が届くかどうかは、まだ検証できていません。」
「無暗に仕掛けるのは、リスクが高い。」
セシルの声にも、焦りの色が滲み始めていた。
その声には、冷静さの裏で――仲間を失う恐怖が潜んでいた。
「わしも体力の限界じゃ……。なんとかせんとのう……。」
顔色の悪い金長が、かすれた声で呟く。
震える手で数珠を握りしめる。
その音が、静寂に小さく響いた。
……耳鳴りか、幻聴か。遠くに風切り音のようなノイズが滲む。
その瞬間――疾風が一閃。二手の間を駆け抜ける!
闇を裂く光の尾が一瞬走り、地面の砂を舞い上げた。
「ズバンッ!」
姿を現したのはヌエ。
そして、その後ろにルクジムの影。
「そのデカいのは俺に任せてくれ!」
引き継いだ心と怒りが、ルクジムの瞳を琥珀色に染めかけている。
「ルクジム、無事だったか!」
セシルが叫ぶ。
「二人とも無事か?」
「ワン公、大丈夫だったか?」
金長もスーマも、喜びを隠しきれない。
星の瞬きしか差さぬ新月の夜。
その闇の中に、確かに明かりが灯っていく。
「ワン公、カッパは無事か? あいつ、俺らにお前らの危険を知らせて、何か持って跳んでったぞ!」
スーマの画面が黄色く点滅する。
「アオトはアカが守ってる。大丈夫だ。」
ヌエが静かに答える。
ズシンッ!
大地が呻く。
周囲の枝が震え、夜気が重く沈む。
バイパーが地を踏み鳴らす。
「何だ、さっきやられた奴じゃねえか! 死にかけてたのに元気だな。」
「……その戯言は聞き飽きた。」
ヌエが静かに言い放つ
「剣山 ― 反撃開始」へ続く。




