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ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


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最後の砦 ― ファントムの力

言霊の効力が消滅し、バイパーの圧倒的な攻撃が迫る。

ファントムは微動だにせず、理を打ち消す特異点として立ち尽くす。


新月の闇に染まった山間、熱を残した空気が纏わりつく。

激闘で立ち上った塵が、穏やかに地上へ帰ろうとしていた。


しかし、その奥から――乾いた恐怖と憎悪の念が、瘴気となって近づいてくる。


契約者の気配に気づいたセシルは、静かに呟いた。

「ルクジムたちは……無事なのか」


金長が徐に言葉を落とす。

「年寄りをこき使いおって……お前たちは、この敷地に入れん!」


その瞬間、ファントムの影が歪んだように見えた。

影の奥で、一瞬だけ“別の顔”が覗いた気がした。


「ザッ」

境内に、バイパーとファントムの姿が現れる。

ファントムの仮面の下で、一瞬だけ羅針盤のような模様が光った。


その時、金長から放たれた言霊の金の波紋が、彼らの足元に到達する直前で、音もなく『消滅』した。


何事もなかったかのように立ち尽くす契約者二人。


「何をした? なぜここに入れる?」

金長の顔に、焦りが走る。


「俺一人で来た以前とは違う……もう幻術で惑わされることも、理を変えられることもない」

バイパーが、不敵に言い放つ。


スーマの画面が真っ赤に点滅する。

「こりゃまずいぞ! 狸は言霊で因果律を変えたはずだ――『お前たちはこの敷地に入れん!』ってな」


「はてさて……何が起こっているのでしょうかね」

セシルの顔にも、曇りが見えていた。


「狸じじいの能力が消えれば、赤子の手をひねるようなものだな」

バイパーが笑いながら言う。


「フンッ!」

バイパーの攻撃が飛んでくる。


「バキバキメキメキッッ!」

骨をきしませるような衝撃音が、闇に響いた。


間一髪で金長を救出するセシル。

後方の大木が、無残になぎ倒された。


「盟約に基づき――闇を執行せよ!」

セシルの詠唱が飛ぶ。


バイパーとファントムの足元から、黒い影が立ち上がり、相手を攻撃する。

「ガガガガーッ!」


だが、バイパーは全てを一瞬で砕き払いのけた。

ダメージは――皆無。


「……攻撃をブロックした……」

セシルは微かな違和感を覚える。


「その攻撃は、自分に帰る!」

金長が言霊を発する。

言葉が放たれた瞬間、空気が反転するように震え、淡い金の波紋が地を走った。


「ブウンッ!」

セシルが金長を押し、攻撃を避ける。


「ほっ……」

金長が思わず声を漏らす。


「理は言霊で発生率を書き換えておるのに……回答にたどり着けん!」

眉をしかめる金長。


「ドンドンドドドーッ!」

怒涛の拳撃が、地を割るように迫った。

バイパーが攻撃を仕掛ける。


ファントムは――微動だにしない。


懸命に回避する金長とセシル。

森は、不気味にほくそ笑み、妖気をばらまいていた。


何かを察したセシルが、小石を拾い、二人に投げつける。


「ガッ」

「ポスッ」

小石は、バイパーとファントムに当たった。


当然、ダメージなどない――だが。


「フム……大男はともかく、あの透けている者にも当たったか……」

セシルの目が、鋭く光った。


(干渉が可能か。影の実体化が不完全なら、理の綻びが見えるはずだ。)


「最後の砦 ― 反撃の狼煙」へ続く。

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