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ナイトコードΩ 【残響の封印】  作者: 神北 緑


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剣山 ― 星を受け取った者

ルクジムとヌエは傷を癒し、再び立ち上がる。

父の犠牲と仲間の献身が重なり、守護者の覚悟が宿る。


山岳が霊気を孕み、静かに騒めく。

星の明かりしか差さない闇の中、大地に残る微かな温度が靄へと姿を変えていく。


アオトは言葉を添えず、穏やかな表情で星を差し出した。


「良いのか?これはあんたの命だろ?」

ルクジムはアオトを見つめて呟く。


アオトは何も言わず、静かに頷き、もう一つをヌエに差し出した。


「アオト……」

ヌエが言葉に詰まる。


もう一つを差し出そうとしたアオトに、アカが呟く。

「俺は大丈夫だ。回復しても、この二人の速さに付いていけねえ。ここでおアオトを守るくらいの体力は残っている」


アオトはニコリと笑った。

ルクジムとヌエは目を合わせ、頷いて星を握った。


星々が大空を行き交う。

命が芽吹く。

大地は呼吸する。

朝と夜が繰り返し続いていく――。


二人の身体を起点に、指先から水玉の光がほとばしるように広がった。

光は筋肉の裂け目を埋めるように流れ、肉を縫い戻すかのように傷口を閉じていく。


ルクジムとヌエの傷とダメージが、見る見る癒えていく。

胸の中が高揚と充実感に満たされていく。


ルクジムの頬を、自然と涙が伝った。

(父さんは、世界のために岩になった。アオトは、俺たち仲間のために命を削っている……俺はもう、逃げも隠れもしない!)


その光景を優しく見守るアオトの甲羅が薄く透け、皿の水が音もなく引いていく。

アカの目が潤む。『アオト…』と誰かが呟く。


「この思い、必ず報いる!」

立ち上がるルクジムの全身に力が漲っていく。


「アカ、アオトを頼む。ルクジム、お前の露払いは俺に任せろ!」

ヌエは炎のような瞳で叫ぶ。


アカが答える。

「アオトは任せろ!長達を頼む。アイツらに吠え面かかしてやるぜ!」


一陣の風が吹き抜ける!

舞い上がる木の葉が震えている。


「退路は俺が作る。お前は後ろに続け、温存しろ!」

ヌエの声は短く鋭く、発した瞬間に彼は疾風のごとく猪群へと突っ込んだ。

「残空・八双飛燕!」


猪たちが一直線になぎ倒されていく。

「ドガガガガッ!」


「まだ礼は言わねえぞ、ヌエ!」

その後を、ルクジムが烈火のごとく駆け抜けた。


二人の後を風が舞い、静と動が入れ替わる。

残った猪たちの瞳が、アカとアオトを捉えていた。


「このアカ鬼様を見くびるなよ!手負いでも、お前らなんかにゃ負けねえぜ!」

曲がった棍棒を構えて、アオトの前に出るアカ。


山鳴りが山びことなって消えていく――希望をつないだ風に乗って。



「最後の砦 ― ファントムの力」へ続く。

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