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第7章:蒼玉の絆

 紅玉の魔核を手に入れた僕たちは、次の目的地である海底神殿へと向かった。蒼玉の魔核が、そこに眠っているという。神殿へと続く道は、深く、暗い海の底へと続いていた。

「ロゴさん、この辺りは水の魔素が非常に強いです。私の調和の力が、少し乱れやすいかもしれません」

 ミリナが、少し不安そうな顔で僕に言った。僕たちは、魔素の泡を纏い、深海へと潜っていった。海底神殿は、青い光に包まれ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。しかし、その美しさとは裏腹に、強い魔素の波動が僕たちに襲いかかってくる。

 神殿の奥へ進むにつれて、水の魔物たちが姿を現した。水の魔物は、これまで僕が戦ってきた魔物とは異なり、液体のように姿を変え、攻撃を躱すのが難しかった。僕は【翡翠の魔核】で水の魔素を凝固させ、刃や盾として戦ったが、相手の数は圧倒的だった。

 その時だった。ミリナが、突然苦しそうにうめき声を上げた。

「ロゴさん……! 魔素が……暴走しています……!」

 ミリナの体が、強い魔素の波動に包まれていく。彼女の瞳は濁り、意識が遠のいているようだった。周囲の水の魔素が、まるで生き物のように彼女の体に絡みつき、彼女を蝕んでいく。

「ミリナ! しっかりしろ!」

 僕は、ミリナの体を抱きかかえた。彼女の体は、熱く、そして冷たかった。僕の心臓が、激しく高鳴る。ミリナが、僕のために、この旅に同行してくれている。彼女を失うわけにはいかない。

 僕は、自身の【翡翠の魔核】を最大限に発動させた。水の魔素が、僕の体へと流れ込み、そして、それを僕の翡翠の魔核で「調和させる」イメージを強く持つ。

 翡翠の光が、僕とミリナを包み込んだ。暴走していた水の魔素が、僕の力によって静かに鎮まっていく。ミリナの体から、不穏な魔素の波動が消え失せ、彼女の呼吸が落ち着いていくのが分かった。

「ロゴ……さん……?」

 ミリナが、ゆっくりと目を開けた。彼女の翡翠色の瞳には、僕の姿が映し出されている。

「よかった……ミリナ……」

 僕は、安堵のため息をついた。ミリナは、僕の腕の中で、静かに涙を流し始めた。

「私……実は、幼い頃に魔物の暴走で家族を失ったんです。だから、魔素の暴走には、強いトラウマがあって……」

 ミリナは、震える声で自身の過去を語ってくれた。彼女が、魔素の流れを読み、調和させる能力を持っていたのは、幼い頃の辛い経験からくるものだったのだ。

「ごめん、知らなくて……」

 僕は、ミリナの頭を優しく撫でた。

「いいえ……ロゴさんが、私を救ってくれました。貴方が、私の光です」

 ミリナの言葉に、僕の心は震えた。僕とミリナの絆は、この海底神殿で、より一層深まった。僕は、彼女を必ず守り抜くと、心に誓った。そして、この世界の魔素の暴走を止め、ミリナのような悲劇を二度と起こさせないと、強く決意した。

 僕たちは、神殿の奥へと進み、蒼玉の魔核を手に入れた。蒼い輝きを放つ魔核は、まるで僕とミリナの絆を象徴するかのように、僕たちの手の中で静かに輝いていた。

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