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八番目の偽心者  作者: 参龍頭
序章 〜新たな道、目指す先は変わらずとも〜
6/7

二択

「あのー。何から話しましょうか?」


イアが申し訳無さそうに言った。

先ほどとは違い、イアの仮面は外れていた。


ルーミェは一瞬演技かと考えたが、イアと同じ状況に陥り、演技ではないと悟った。


「では、本音で話そうではないか」


笑みを浮かべルーミェはそう言った。


それから二人は()()演技をしながら本音で話し合った。

イアはこの場で竜と出会い、少しすると何もせずに飛び去っていたと説明した。

ルーミェはそれに対して3つほど質問をし、満足したのかそのまま質問をするのをやめた。


ルーミェは真実を話すようにして飄々と嘘をつく輩と何度も話している。

そのためイアの真実も疑っている。

しかし、ルーミェたちはイアの言っていることしか情報がなく、それを一応信じるしかなかった。


さらにイアは自分の情報はあまり開示せず、自分が今何故ここにいるのかさえ分からないとしか情報としては話していない。


対してルーミェが開示した情報は、自分らが冒険者であること、竜が見えたのでギルドに報告、その後自らで状況を確認しに行ったということ、その二点である。


ある程度情報をすり合わせた結果、イアが森を出るまでルーミェたちが一緒についていくことになったのだった。




▼▼▼




はぁ〜、びっくりした〜。

あの人なんで急に変なこと言い出すのかな?


そういえば気づいたら最初にあった体の傷も治っているし…


【一応直しておきましたよ。彼女らと会話する際にボロボロだと変なことが起こるかもしれませんので。】


えっっ!?

あんなひどい傷もハクさんは治せたのか。

なんか助けてもらってばっかだな。


【いえいえ、そんな。私はただ配下として当然のことをしたまでです。】


やっぱり恩返しは忘れないようにしないと。

というか、竜に恩返しって実感がわかない。

そういえば……


「名前……。」


まだ誰のことも知らないな。

そう思っていると黒髪の女性が言った。


「ふむ…そういえば、そうだったな。」


「すみません。声に出ていましたか…。」


そう私が言ったのだが、なぜだか木賊色の髪の女性が目を輝かせているように見えた。


「……フィフィー…。」


は?……

おっと、危ない。思わず言いそうになってしまった。

急にどうしたんだこの人。

さっきからずっと男の人の後ろに隠れて少しずつ顔を出したりしていて。


「あの〜どうしたのですか?」


私が発言した途端彼女はピクリとして動かなくなった。


「すまん! 一応こいつは人見知りだからな。

何か聞いてほしかったのだろう。お前が「名前」つったから自分の名前答えたんだよ。ちなみに俺の名はランス、ランス・ビジョンだ!!」


なるほど、名前を伝えたかっただけなのか。

ランスさんの発言からフィフィーさんの行動の理由が分かった気がする。


「そなたら…、もう少し警戒心と言うものをだな…。 まあ、良い。 二人も名乗ったわけだからな、我も名乗らなくてはならぬ。ルーミェ・エレネイル。それが我の名だ。」


心で思っていたことが口に出ただけなのに、なぜだか名前を教えてくれた。

まあ、教えてくれただけありがたいのだが…

これだと私まで名乗らないといけないのでは?!!


「それで王子、名は?」


「私の名前はですね………あッッ!!」


…完全にやらかしたな。

あーあ。こっからどうしよう。

というか、今の感じだと最初から知っていた感じなのか?

なぜか隠れているフィフィーさんが口を抑えているのだが……

たぶん知らなかったのだろう。

はぁ〜


「ご存知の通り、私はこの国、セントリア王国の第二王子、イア・ラヴィア・セントリルと申します。」


反応はない。やっぱり当たり前だ。おそらく最初からではないとは思うが、途中からバレていたのだろう。

私が状況に合わせてそれに合った言葉で返していることも。


「ちょうど、と言うより、自己紹介をしたばかりなのだが、そなた、自分がここにいる理由はわからなくとも、()()()()()()理由はわかるのではないか?」


この人、ずっと痛いところついてくるんだけど!!

助けてハクさん!!


【わかりました。燃やし尽くせとの御命令あらば。】


ちょっ!! それもちろん冗談だよね?


【いいえ?燃やしてほしいのではなかったのですか?】


もしかしなくとも、ハクさんって冗談通じないタイプなのか?


【???】


やっぱり通じないというか天然なのか。

それより王宮にいない原因か…となるとあれしかないな。


【なるほど。それなら確かにそうですね。】


だよね!普通に考えたらそれしかない。

今回限りは嘘は無しだ。


「それはですね…。いつも通り暗殺未遂になってしまう思うのですが…。今回ばかりはなぜだか分からないのですが、いつものような食物に毒を含ませたり、私物に爆発物を仕込ませたりなどとは傾向が違うのですよね…。」


私がそう言うと、何故か2人は驚いたのか少し顔を引きつらせていた。

フィフィーさんは目で何を考えているのかが非常に分かりやすい。

今は私に対してなぜだか哀れみの視線を向けている。


「どうしたのですか?何か驚いているように見えますが?」


単純な疑問。それを3人に対してぶつけた。


「ちょっとルーミェさん?この子不味くない?育ち方がさぁ。」


ランスさんが見た目にそぐわぬ発言をした。

私はただの暴君に心配されるほど弱くはないのだが…。


「ふざけるでない、ランス。だいたい、王族というものはほとんどこのようなものだぞ?貴様は毎度毎度宿で逃げ込んでいるから知らないだろうが…。このことに関してはフィフィーの方が上手だと思うぞ?」


ルーミェさんが常識を示すよう言った。

その後はただのランスさんに対しての愚痴なのだが…。

さらにルーミェの発言に対してフィフィーさんが誇るような表情をした。

よほど貴族たちのパーティーに行くのが嫌いなランスさんに手を焼いているのだろう。


「そうですよ。私たちの国はまだマシな方だと思いますよ。派閥が二分している国はもっと酷いといいますし。」


私の国でも暗殺は面倒だと思うけど。


「理由は理解した。いろいろと事情があると言うことだろう? それで、これからどうするのじゃ? 自らの城に戻るのか? それとも暗殺から逃れるため他国に逃亡するか?」


私が考えるひまもなくルーミェさんは二択を出してきた。



▼▼▼



ルーミェがこの二択を出したのはただのその場の思いつきではない。

ルーミェの頭の中では貴族は欲にまみれた愚か者が四分の三、民を思う心優しい者が五分の一、それ以外は民をただの数字て判断する合理的な者と判断している。

ランスが貴族を嫌っているのはその四分の三に多くあっているからだ。

他の心優しい貴族に一人だけは会っているがそれだけで印象が変わることはないだろう。


(判断材料としては乏しいけど、大きく分けることはできるでしょうね)


イアが城に戻る判断をしたときには最悪でも死ぬ事を恐れていないと言うことにはなる。

しかし、ルーミェの前でまだ猫を被っているという可能性も否定できないので、確認という手段をとった。

それはイアが他国へ逃げる選択をとったときだ。

つまり死を恐れる、こう言うと当たり前のことであるが、王位継承権を持っているものでありながら、他国へ逃亡するのは国を見捨てると同然であり、兄と姉の二人がいるとはいえ、せめて別の領地に少しの期間隠居するということが正しいだろう。


「ルーミェさんたちは冒険者なのですよね?」


先ほどの二択に対して全く関係ない質問。イアが発したのはその言葉だった。


「そうだぜ。これでも結構ランクは高いんだぜ。」


イアの発言に対してランスが勝手にルーミェたちのことを話した。

ルーミェもそのことは承知だったのか全く気にしていない様子だ。


「そうですか…。」


イアは不服そうに答えた。

思っていた者とは違う答えだった、というのが読み取りやすい姿であった。


「二択を先に答えてほしいのだが、先にそなたの問の意図を聞いておこうか。」


「私の考えですか?ただ身なりからして一般人ではないと思いまして、その上武器を持たれておりましたので冒険者ではないのかと思ったので、聞いてみただけですよ。」


ルーミェはイアを注意深く見ていた。

やはり、違和感は全くない。

辻褄が合っていないわけでもない。



▼▼▼




「それで、実際の目的は違かろう?」


単刀直入。遠回りに自分の目的を達成しようとするやつにはやっぱりこれが一番良いのだろう。


「気付きますよね…。実際のところは迷惑になるのでやめておいた方が良いと思ったのですが、チャンスは逃さないようにと思ったのです。本音を言うと提案―お願いがあります。」


「と、言うと?」


ランスさんが話を遮るように言った。

すると、ランスさんの後ろに隠れていたフィフィーさんが少し跳躍し、見た目にそぐわぬ腕力でランスさんの頭をつかみ、ルーミェさんのいない方向へ投げ飛ばした。

―ちょっ、フィフィー。テメェ自分の体を隠す場所吹っ飛ばしてどうすんだ!!―と幻聴が聞こえた気が下がフィフィーさんがルーミェさんの後ろに隠れる動きの方が面白くて、幻聴か否かなどどうでもよくなった。


「ランスよ、人が話をしているときに、話を遮るのはマナー違反であろう?」


フィフィーさんの考えを代弁したのか、フィフィーさんは当たり前のごとく頷いている。


「すまぬな。こやつらは場をわきまえぬことが多いのでな」


「いえいえ、全然大丈夫ですよ。それで本題なのですが…」


「良いぞ。」


間髪入れずにルーミェさんが言う。


「は?!」


人の話を遮るなと言ったのは誰だったっけ?

ランスさんよりも酷い気がしたのだが…


「すいません。もう一度聞いても?」


聞き間違いであってほしいというのはおかしいだろうか?


「いや…こいつはマジで言ってるぜ。」


この人たち大丈夫なのか?自分で言ったことを実戦できず、注意されたことをまたすぐやらかして…。

もういいや、考えるだけ無駄だな。


「そうなのですか…では、お願いします。」


「ああ、こちらこそよろしく頼む。しかし、後で理由は聞かせてもらうがな。」


私とルーミェさんの間で相手がわかっているのかも分からない契約が成立した。

この中でただ一人フィフィーさんだけは何故こうなったのかがわからないようだが。


「じゃあ、行こうぜ!!我らがホーム『天王山』へ!!」

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