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八番目の偽心者  作者: 参龍頭
序章 〜新たな道、目指す先は変わらずとも〜
2/7

白竜

なにかがぶつかった音で起こされる。そんなことはここ最近は全然無かった。

あったとすれば強制的に起こされたあれ。

メイド(ルミネッタ)に気持ちよく快眠しているときに魔法の爆発音で驚いてしまうやつだ。

それはそれはとてもムカつくのだが言っている事が正論しかないので反論できない。

逆の意味を取ると私がただ悪いだけの様に見えるが、それは御愛嬌。

今度こそはどうにかしてルミネッタを見返してやりたいと思っていた。


それはそうとしていま私が抱えている問題は目に見えて2つある。


まず一つ、“ここはどこだ?”

周囲の風景がさっき見ていた夢のリンクして同じように見えてしまう。

雑木林と言っても夢の様な軍隊や開けた土地の部分などは存在していない。

ふと思ったのだが視野が夢のときとは全然違った。

いや、夢の方の視野の方が異常だったのだろうけど、今の数十倍は視野も見ることが出来る距離も大きかった。

だからそれの差が凄いのでその中間ぐらいには視野を広げてほしいと高望みしてしまう。


そして2つ目、“自分の体の異常”

なぜかというと視界が悪いといっても自分の体ぐらいは見ることが出来る。

見てみると結構ボロボロで動くことさえできない感じだ。

しかし痛くはない、痛くはないのだ。

今は岩の上に乗っているはずなのだがその感覚が全く無い。

宙に浮いていると言われても納得してしまうくらいだ。


今までにはこんなくらいの傷を受けたことが…いや、一回あったか。

二回目だとしてもそんな簡単に痛みを克服できるわけもない。

どうしてこうなったのかは全く見当もつかない…()()()

そのようなことを考えている間に森の葉の隙間から月の光が入り込んでいた。


視界も少しは安定してきた。

安定していないほうが良かったと思う。

なぜなら視界が開けた瞬間気づいてしまったのだ。

今私が乗っているものが岩などではなく魔物だったのだ。

それも私が子供の頃によく読んでいた昔話“勇者冒険譚”などで邪悪な敵として登場する、ドラゴンである。


神話では漆黒の鱗に禍々しい滅紫(けしむらさき)の角や翼を持っている、という描写だったが、見た限り純白の鱗に神聖な角や翼を持っており、瑠璃色の瞳で綺麗だった。

物語の全くの対極になっている。


見た感じは寝ているみたいだが今起きられると絶体絶命だ。動けても結果は変わらないと思う。

それに背に乗っている様な感じになっているので降りただけでもバレることだろう。


ドラゴンの瞳が少し開き、光が映った。


「………………………………」


少し立ったがそのドラゴンは目を開いたまま動かない。

少し試してみるか。


「あの…ドラゴンさーん?起きてますか〜」


物語と同じだとドラゴンは話せたはずだ。

予想通り…動いてほしくはなかったのだがそのドラゴンは首を上げるようにして答えた。


「はい、起きております。()()()


「はい?!」


思わず声がでてしまった。

絶対人違いでは?!と思っているのでその疑問を伝えようとした。

しかし……


「いえ、人違いではありません」


彼女は私の心を見透かしたように答えてきた。

綺麗な声だな、と思った。

これは現実逃避だ。

心が見透かされているような感じなので下手なことを考えるわけにはいかない。

だが聞かなければならないことがある。


「“竜王様”ってどゆこと?」


自分の知らないことから知っていかないと話が進まないからだ。


「記憶…ないのですか?」


私が聞くとふざけているように感じるが彼女はいかにも真面目に聞いていた。


「私、記憶喪失した覚えも、周りからもそんなことは言われたことないのだが?」


「そうなのですか……では少し説明してもよろしいでしょうか?」


「ち、ちょっと待って。その前になんて呼べばいいの?」


名前がわからないのは少し不便だからね。


「そうですね。種族名でいうと“白竜”、個体名で言ったら、()の主には“ハク”と呼ばれていました」


ハクさんって……ちょっと動物みたいな名前だな。


「変な想像をするのはわめてくださいませんか?」


また、心が読まれたように彼女―ハクさんは言った。

これについてもあとでしっかり言及しないといけないな。


「それより説明してもよろしいでしょうか?」


ハクさんの口調は真面目な口調に変化した。


「別にいいけど…」


「はい!了解しました。それではまずここに来た経緯から―――




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