仲間の捜索
*この小説はフィクションです。
美鶴たちが戦っている頃、隠れ住処では静かに待っている阻止する者がいた。
彼らは美鶴や勇輝、人々を助けに行った治人たちが戻ってくるのを待っている。時間だけが過ぎ去っていった。
そんな中、辺りが騒がしくなり始める。医療隊員の一人が癒維に駆け寄っていたのが始まりだった。
「癒維さん、大変です。司さんが、」
医療隊員の伊織の慌てた様子に癒維は何かを察する。
伊織は荒い息を整え、状況を説明する。話の内容は別室にいた司の姿がいなくなったという。
司の能力は姿を消せること。医療隊員の伊織はその場に人がいなくても人の熱を感知することができる。
彼女がいれば、司は逃げることができないと美鶴は判断した。だが、能力は常に発動すれば身体に影響を及ぼす。そのため、彼女の能力も長く発動はできない。
「とりあえず、室内を捜してから近辺も捜しましょう。時間が経ってなければ、まだ遠くには行っていないかもしれない」
「はい」
癒維が医療隊員の二人にてきぱきと指示を出すと、司の捜索が始まった。
慌ただしくなる室内に話し合っていた隼人と逸樹も異変に気づき始める。
「何かあったんですか?」
騒然とした雰囲気に隼人が癒維に近づき話しかける。癒維は話すか迷っている。
「もしかして、司さんに何かあったんですよね」
隼人の言葉に癒維の表情が変わる。驚いてきょとんとしている。
「実はいなくなったときにと思って、司さんの服に機械を取り出りつけておいたんです。どこにいるか分かるかもしれません」
癒維はすぐに司の場所を特定してもらうように頼んだ。それでも、自分たちでも捜すことをやめることはなかった。
それから、一時間くらい経った頃。隼人は癒維に報告しに行った。皆を呼び、一箇所に集まる。
癒維、医療隊員二名。隼人に逸樹。合わせて五名。隼人を除いた全員が息をのむ。
「司さんの服にしかけておいた機械ですが、残念ながら感づかれてしまいました。ですが、これを見てください」
そう言って、全員にパソコン画面を見せた。画面に映っているのは出入り口付近。一見したところ、何もないように見える。
突然、出入り口の扉が開いたのだ。通常は侵入者を防ぐため、美鶴以外は外から施錠できない。内から施錠されている。
それなのに、扉が開いた。侵入者は誰もいない。何事もなかったかのように扉が閉まった。
映像はそこで終わっている。不穏な空気が流れようとしたとき、がたんと大きな音がした。
「もう一回、流してもらえる?」
「はい」
突然、声を発したのは医療隊員の一人。熱感知の能力を持っている伊織だ。感知能力は映像越しでもできる。伊織は映像が流れている際にあることに気づいた。
隼人は返事をすると、映像を巻き戻してから再生する。
みんなが画面をじっと見つめる。伊織は映像の一点に目を凝らしていた。
「止めて!」
伊織の声に驚いた隼人がすかさず一時停止を押した。
「ここ。閉まってますよね。ここ見ててください。再生してください」
ある一点を指す。扉の内側にある錠前だ。
言われた通り、その場にいた全員が示された場所に目を凝らす。
隼人が再生を押す。直後のこと。閉じていた錠前がおりたのだ。
次の瞬間、扉が開いたのはほんの一二秒だけ。扉が開いたと思ったら、閉まってしまった。
「これが司が抜け出したってことなのね」
「はい。姿は見えないと思いますが、私には人がいたことが分かりました。司さんが自ら鍵をあけて出ていったんです」
癒維の言葉に返事をし、伊織は映像内で起こったことを説明した。
能力の熱感知により、彼女には人を感知できた。動きからして司だということも。
「出ていったとしても、居場所が分からないとどうしたらいいか……」
「それなんですが、司さんと一緒に行動することが多かったので心当たりあります。もしかしたら、あの場所に」
癒維が迷っていると、不意に隼人が言葉を発した。
ある場所が隼人の頭に浮かぶ。
以前、司は言っていた。
『実は流と初めて会ったのはこの近くなんだ。被害に遭ったら住処に連れていかれると思うが、その前に俺たちは会っていたんだ。一瞬だけどな』
行動をともにしているとき、司は笑いながら隼人に話していた。
それもこの前のことだ。二丈財閥の秘密を探るために蔵に向かっているときのこと。
隼人は隠れ住処に戻った後、パソコンを使って二丈財閥の蔵の周辺を調べた。結果、ある場所が見つかった。
被害が大きかった場所だ。司も流も阻止する者になる前は被災者。
恐らく、被害が大きかった場所に関係していると予想した。
もし違えば、また探せばいい。今は司と関係ある場所が大事だった。隼人は癒維に心当たりがある場所を伝えた。
癒維は悩んだ。美鶴からは何かが起こっても待機するように言われている。
「ごめんなさい。その場所には行くことはできないし、行かないでほしいの。美鶴さんたちが帰ってくるまで待ちましょう」
その決断に隼人の顔色が曇る。司を捜しにいきたい気持ちが高まるばかり。何もできない気持ちに机をどんと叩くと、その場を去っていった。
逸樹が後を追いかけようとするが、癒維が引き止めようとする。それでも、逸樹は隼人のあとを追いかけていった。
次の更新は4月16日(木)の予定です。
*時間帯は未定です。




