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過去から招かれた今亡き人

*この小説はフィクションです。

 瞬は不意打ちに驚いていた。なぜなら、味方だった彼がいたのだから。

 狂から頼まれたこと。過去に戻って、ある人物に会うことだった。人物の名を耳にしたとき、時が止まったように体が硬直してしまった。

 その人物の名は天埜あまのりゅう。今は亡き流を連れてくることだった。

 変える者(ブラックチェンジャー)である瞬さえ、最初は戸惑うような表情を浮かべた。

『どうした? 戸惑う必要などない。俺が話をしといた。後は連れてくるだけだ』

 狂に言われ、一度は不機嫌な表情をする。

『千堂勇輝に勝ちたいんだろ。もし、連れてくることができたら強くしてやる』

 その言葉に瞬の心が揺れた。勇輝に勝ちたい、ずっと思っていたこと。その気持ちに心が動く。

『いいよ。やるよ。流って人を連れてくればいいんでしょ』

 頼みを引き受けたのだった。


 現在。今、瞬の目の前に流がいる。

 流は瞬を不思議そうに見つめている。

「何か用か?」

 ふと声を掛けられ、瞬ははっとして我に返った。

「能力者だよね? 一緒に来てもらいたいんだけど、」

 唐突な言葉に流は目つきが変わる。然し、すぐに思いついたように口を開く。

「あ、君。もしかして、狂さんの知り合いか? だったらちょうどよかった。案内してくれ」

 想定外な言葉に瞬は躊躇った。唾をごくりと飲み込む。

 明らかに阻止する者(ブロッカー)にいた時と違う雰囲気に動揺するばかりの瞬に流は不思議そうに見つめる。

「違うのか?」

 問いかけに慌てて、流の手首を掴んで引っ張る。流は転げそうになるのを立て直すと、瞬の背中をじっと見据えた。

「君の名前はなんて言うんだ?」

 背中を見つめたまま問いかける。然し、瞬は答えない。

「何か理由があるのか?」

 その言葉にふと立ち止まる。一つため息をつくと、流をちらっと見やった。

「俺、一兎瞬。実は、」

 自己紹介のように名前を口にした後、言葉を続けようとした。すぐに言葉を引っ込めた。

 本当は会ったことがあること、他にも流を知っている人がいること、話したいことは頭に浮かんでいた。

 然し、自分の立場を理解し、思い止まったのだ。


 今の瞬は変える者(ブラックチェンジャー)。本当のことを口にすれば、想像できた。

 考えるのをやめ、再び流をどこかに連れていくように強く引っ張った。

「俺は、どこにも行かない。だから、引っ張らないでくれると助かる」

 瞬は掴んでいた手を離した。阻止する者(ブロッカー)にいた頃と違った姿に戸惑いながらも、普段の落ち着きを取り戻す。

 ちらりと振り向き、やれやれと一息つく。

「案内するからついてきてよ。じゃないと、俺が怒られるんだから」

 瞬が前を向きながら声をかけると、後ろから笑みがこぼれた。

 *


 一方、変える者(ブラックチェンジャー)住処アジトでは斉が険しい表情で突っ立っていた。そんな様子の斉に気付いた御角は見て見ぬ振りをする。

「斉、どうした?」

 代わりに普段から寡黙な剣十が斉に問いかける。その言葉に御角は気まずい顔をした。

「狂さんはなぜ、あいつばかりに任務を与えるんだ。入って間もないだろ。しかも、元阻止する者(ブロッカー)だぞ。いつか、裏切るかもしれないだろ」

「斉らしくない」

 剣十が斉の言葉にぽつりと独り言のように言うと、一気に空気が張りつめた。

 ひりひりとした空気に斉が御角のほうを向いた。御角は気まずく視線を逸らす。

「言ったの僕じゃないもん。文句言うなら剣十に言えば、」

 言葉を発した御角だったが、途切れる。斉がぎろりと睨んでいた。

 更に空気が悪くなってしまった。


 突然、三人はある方向に目を向ける。その理由はある人物が現れたからだ。

「狂さん、どこに行ってたんですか? あいつは逃げたんですか?」

 斉は矢継ぎ早に質問をする。然し、狂は答えない。

 無口のまま、辺りを見渡している。

 現在、変える者(ブラックチェンジャー)は斉と剣十と御角。それに加え、能力を持たない千歳もいる。

 狂と瞬もいる。逸樹を除いて全部で六人だ。

 そんな人数に半ば呆れつつ、斉に目をそっと向ける。

「あいつ、瞬はもうすぐ新たな一員メンバーを連れてくる。お前たちの知ってるやつだ。いいか、話を合わせろ。本当のことを言ったら、分かってるだろうな?」

 もう一度、辺りを見渡す。鋭い視線が彼らに恐怖を与える。特に御角にとっては視線を逸らしたい相手だ。

 しばらくの間、重苦しい空気が漂った。


 それから数時間後、とうとうその時が来た。瞬が流を連れてやってきたのだ。

「やっと来たか。何事もなく、連れてきたようだな」

「連れてこないと思った?」

 狂の言葉に瞬が得意げに話す。狂は笑みをにじませる。

「ほら、自己紹介してくれ」

 瞬に連れてこられた流に向かって声をかけると、流は名前を名乗る。

 たったそれだけで、周囲がしんと静まり返る。その理由が分からないまま、彼はある人物に視線を移す。

「神宮先生! お久しぶりです。もしかして、先生も能力者だったんですか?」

「違うわ。私はあなたに会うためにここに来たの。梢ちゃんに頼まれて、」

 嬉しそうな流に対して千歳は深刻な表情をした。千歳の表情に何かを察した流は表情が強張る。

「俺は、梢とは、」

 流が何かを言いかけた時だった。

 不意にぱんぱんと手を鳴らす音が響いた。その場にいた全員が狂に目を向ける。

「昔話は置いとけ。いいか、今から指示をする。()に負けたくないならよく聞け」

 狂の言葉が合図かのように全員の表情が変わった。

お知らせです。

隔週(月2回)の更新でしたが、今月から週1回の更新にすることにしました。

次回の更新日は2月12日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。

もう少し先になるとは思いますが、最終話まで更新頑張るのでよろしくお願いしますm(._.)m

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