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繋がる記憶

*この小説はフィクションです。

 美鶴と隼人、勇輝の三人は御角を連れて阻止する者(ブロッカー)の隠れ住処アジトへと帰還する。

 最初に会ったのは瘉維だ。瘉維は三人が無事に戻ってきたことにほっと安心するが、見慣れない子どもを連れていることに不安を見せる。

「その子は?」

 美鶴が抱えている子どもは御角だ。御角は眠っている。よく見れば、手足を縛られている。

 もし目覚めて美鶴たちに危害を加えれば危険な存在。

 そもそも、御角は変える者(ブラックチェンジャー)だ。

 勇輝が大丈夫と言っても、何をされるか予想がつかない。美鶴は御角を眠らせた後、解けないように縛ったのだ。無事に戻るまでは安心はできない。なるべく起こさないように連れてきた。


 美鶴たちが何も答えないことに疑心をいだき始める瘉維。

「この子は変える者(ブラックチェンジャー)。危険だけど、勇輝くんが連れていこうと言ったのよ。彼に何か考えがあるのかもしれないと思って連れてきたわ」

 美鶴の言葉に瘉維は勇輝にちらっと視線を向ける。勇輝はきょとんとしている。


 勇輝は心配そうな表情を浮かべるが、その理由が分からない美鶴は怪訝な様子を見せる。

「司たちが戻ってきています。一旦、顔を見せてから治療を受けてください」

 瘉維が説明するように言葉を口にすると、美鶴たちは唖然とする。

 司たちも敵の住処アジトを目指していたはず。それなのに、戻ってきているということは同じく敵に遭遇したということ。

 不意に美鶴は駆け出す。

「美鶴さん!」

 呼び止めようと声を張り上げる瘉維の声は届かない。その場にあっという間にいなくなってしまった。


 瘉維は仕方なくため息を漏らし、その場に残っている勇輝と隼人を連れていこうと二人を見やる。

「瘉維さん。僕、見たんだ。この子の過去を。嫌な記憶だった。飛行機が、」

 勇輝は淡々と話す。黙って聞いていた瘉維と隼人。

 突然、隼人が右目を隠すように押さえる。その場にしゃがんだ。

「隼人くん、大丈夫?」

 隼人の様子に瘉維は心配そうな表情を浮かべ、呼びかける。それでも、ずっと押さえている。

 少しも瘉維のほうを向こうとしない。


 隼人は忌まわしい過去を思い出してしまっていた。きっかけは勇輝の『飛行機』という言葉。

 勇輝は敵である御角の思念を読み取った。御角の過去は飛行機が関係している。

 隼人の過去も飛行機に関連している。そのせいで冷静な隼人に変化が現れる。

 隼人の過去を癒維は知っているため、すぐに変化を感じとる。


 ある日、報道で流れた飛行機墜落事故。その原因が変える者(ブラックチェンジャー)によるものだと美鶴たちは知る。

 翌日、隼人は力弥によって保護された。

 その時の隼人は悲しげな表情をしていた。今の隼人も悲惨な過去を思い出して苦しげだ。

 一緒にいた美鶴は司たちがいる場所へ行ってしまった。美鶴も隼人の過去を知っている。それは隼人を保護した力弥もだ。

 美鶴が隼人たちをこの場所に置いていったということは、何かあれば癒維に任せるということ。

 然し、隼人の変わりようは予想外だった。次第に癒維は焦りの色が隠せないほど戸惑い始める。

 隼人は蓋をしていた悲惨な過去の光景を思い出し、混乱状態に陥っている。


 そんな状況の中、勇輝は平然としていた。癒維と同じく、隼人の心配はしている。

 なんとかしなければと気持ちが焦るも深呼吸をして考えを巡らせる。

 力弥ならどうするだろうと考え始めた。

 ふと癒維を見やる。迷うことなく、首にぶら下げているペンダントを握りしめる。癒維の不安が伝わってくるのを確認すると、はっとして顔をあげる。

「瘉維さん。とりあえず、隼人とこの子の様子を見てて。僕、みっちゃんを呼んでくる」

 言葉を残して駆けていった。


 勇輝が走り出して、着いた場所はとある部屋の前。

 この部屋は怪我などした人が休む場所。その前で立ち尽くす。

 深刻な顔で美鶴は行ってしまったはず。それなのに、聞こえてくるのは楽しそうに話す声や笑い声。

 勇輝は一歩踏み出し、部屋の中に入った。

「みっちゃん! 突然、隼人が片目をおさえて苦しみだしたんだ。癒維さんがいるけど、戸惑ってる。今すぐに来て。お願い!」

 勇輝の大声に部屋に居た者が一斉に振り向く。そんなことは気にすることもなく、勇輝は美鶴の腕を掴んで連れていこうとする。

「分かったわ。ごめん、司ちゃん。あとでまた話し合いましょう」

 返事を聞くこともなく、美鶴は勇輝と一緒に元いた場所へと戻っていった。

 部屋を出る際、勇輝は一瞬だけ探のほうを見やる。探は体の至る所に絆創膏が貼ってあったり、包帯が巻かれていた。

 きっと、強い変える者(ブラックチェンジャー)と戦ったんだと勇輝は察する。

 今の探は勇輝に合図を送るように視線を向け、大丈夫だと示すほどまでに回復している。

 勇輝はその姿に少し気持ちが楽になった。


 そんなことを思いながら、勇輝は美鶴とともに隼人が居る場所へと急いだ。

隼人、大丈夫かな…

まさかの御角と過去が繋がっているなんて思ってもいなかったよね

しかも辛い記憶っぽいし…

だれかああ(つД`)


今まで冷静だったはずの隼人。

そんな隼人を苦しめる過去。言葉は出してしまいましたが、想像以上かもしれません。

ですが、それを乗り越えてこれたのはやはり力弥や美鶴たちのおかげかもしれません。

次回、隼人の過去編です。

もしかしたら、年内最後の木曜日なので登場人物など追加項目も更新するかもです。


次話更新日は12月26日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。

よろしくお願いしますm(._.)m

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